消費者金融からお金を借りた

22歳の10月にお金を借りた。消費者金融から。

当時、財布に入っていたのは免許証と預金のない銀行のキャッシュカードと150円。

コンビニでアルバイトをしていた私は勤務明け、タバコのお供にコーヒーを買い全財産を使い果たした。

タバコを吸っているとき頭をめぐっていたのは

(お金返せないな。返事どうしよう。)

このことを語るには少し話を遡る必要がある。
本題に入る前にお付き合い頂きたい。

高校を卒業した私は4月から始まるキャンパスライフに心踊らせていた。私が住んでいる地域では比較的、学力も規模も上位の大学に進学を決めていた私は人一倍楽しもうと意気込んでいた。

-4月
目まぐるしく過ぎる日々に戸惑いを感じながらも新生活を楽しんでいた。大学の友人は社会に出てからも付き合うとよく言われているが、本当にこれから先も繋がっているのであろうかと思うくらいの友人はできた。まぁ、端的に言うと微妙な関係の友人。

-5月
授業にも慣れてきた私はアルバイトを探し始めた。4月は慣れるために学校にだけ力をそそいでいたが、色々とお金がかかることに気がついた。

教科書や昼食、授業後の交遊費。
流石に母親から援助してもらうのも心苦しいくらいの額であった。

タウンワークを見ているとコンビニのアルバイトが私の目を引いた。理由は楽そうだから。時給は低いものの働くという行為の中でも最も手軽なものと認識していた私は自然とその中から一つ選び電話していた。

-6月
朝起きて、電車に乗り学校へ。授業を受け昼食。学校が終わるとアルバイトへ。これが日常化した。

電話したアルバイトは面接したその日に採用された。思っていた通り仕事は楽であった。

-7月
初めての給料日がやってきた。今までアルバイトをしたことのなかった私はATMの前でにやけていた。きっときもかったであろう。しかし、画面に表示されている70000円(当たり前であるがピッタリではない)という数字ににやけずにはいられなかった。

ATMから全額おろすとすぐに定期を買いにいった。4月に買った(買ってもらった)定期は3ヶ月がたち期限がきれていた。たしか、乗り換えも含めると2枚で30000円ほどであった。

残りの40000円から携帯代を払い、これからはじまる定期テストに必要な様々な勉強用具を買うと、手元に残ったのは25000円であった。

(もうすぐテストだしお金を使うことはないだろう)

と思った私は母親にコップをプレゼントした。
今でもそれを大事そうに使っているのを見るとどこで間違えたのだろうかといつも思う。

つづく。