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「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」を観て

「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」を観てきた。

障害、難病系とか、感動系なストーリーは苦手なので、観るのはドキドキしていたけれど、障害当事者からも好評なので観てきた。

ここまで見せてくれるんだ!と感動した。

映画の原作は、渡辺一史さんの「こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち」

私は、主人公の鹿野さんと同じ筋ジストロフィーの当事者。(筋ジストロフィーには、様々な型かある。型は違うが。)

私が高校生ころ(2009年くらい?)に原作を読んだ記憶がある。高校生時代、私は医療福祉センターという障害児者の医療施設に入所していた。医療従事者や介助者がすぐそばにいて「守られた環境」「管理された生活」を送っていたころ。原作を読んだ当時、正直私の生活には関係ない、遠い話だと思っていた。「こんな生活無理だなあ」と。

そんな私も、今年3月末から自立生活10年目がスタートする。そして、自立生活運動に関わって6年目がスタートする。

私の生活は、重度訪問介護というヘルパー派遣制度のひとつを使い、ヘルパーさん(介助者)に来てもらって成り立っている。無償ボランティアではない。

鹿野さんが生きた時代は、今よりも制度が不十分で、公的な制度だけでは生活が成り立たないから、ボランティアを募っていた。24時間、365日、1日最低でも4人は介助者が必要だったとのことだが、本当に人を集めるのは大変なことで、すごいなと正直思う。

ただ、

今の時代は違う。

本当は、必要な分だけの、公的な制度として、介助保障がされなければいけない。それが人として当たり前の権利。

権利としての介助保障。

人として魅力があって、惹きつけられるものがあって、本人も相当の努力をしているからたくさんの人に支えてもらえる…そういうふうに頑張らなきゃ、生活が成り立たない、というのは、違うと思う。

鹿野さんのように、制度が不十分であった時代から、障害者の自立生活の重要性を訴えて、声を上げてこられた方がいたからこそ、だんだん制度ができてきた。

当事者もそうだけど、支援者や、普段はあまり障害者との接点がない人たちが、映画を観て、「すごいなー」で終わらないよう、ぜひ原作が広がってほしいと思う。

原作を読み直し、また映画を観に行こうと思います。






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