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子育て回想録 なぜゲーム機を買わないことにしたのか

日本ではあまりおもちゃというものが、こどもの成長に重要視されていない。ドイツやヨーロッパの国ではこどものおもちゃへの考え方が違う。例えばドイツでは武器のおもちゃや戦闘機、タンク兵隊などのおもちゃはあたえない。もしも誰かからプレゼントされたら丁寧にきっぱり断る。またこどもの発達のみちすじを考えたおもちゃや家族でコミュニケーションが盛り上がるボードゲームなどが豊富である。おもちゃについて考えだしたのは保育士をしだしてからである。 保育所でこどもが遊ぶおもちゃがおままごとやプラスチックの井形のブロックがメイン。なんだか中途半端なものだらけ、人形といえば、予算もない保育所などは、なにかの景品の寄付されたぬいぐるみ。なんてことが多かったのです。男の子は、その井形のブロックをつなげ銃のようにしてバンバンーーー。としてたりなんとかレンジャーになりきりけったり取っ組み合ったり。なんだかなぁな遊び。

そんな時、休日にいった研修会でおもちゃ屋のおじさん、宇治にあるキッズいわきの岩城さんの話をきいて目からうろこボロボロな上に、ずっと感じていた中途半端なプラのブロックでのバンバン銃をうってるつもりの遊びへの違和感がそうよ。これやんとなってそこから私はおもちゃについて、岩城さんの本はもちろん他にもいろんな本を買いまくり読みまくり、研修があれば足をはこんだ。

で、電池で動くおもちゃをはじめ、ゲーム機は買わない与えないという子育てをすることにしたのだった。電池で動くのは、ぽちっと押したら、アンパンマンがしゃべるとか、ボタンを押すといろんな音がでたり、電車が電池が切れたり壁にぶつかるまで走ったりするもの。赤ちゃんの時は、ベットメリー(曲がなってぐるぐるまわるもの)も、電動ではなく モビールにした。はっきりした色と形のドイツ製のモビールだった。それを天井からつるすとちょっとした風にふわふわとモビールは動く、その動きは無軌道でひたすらぐるぐる回るものではない。ふわふわ動くモビールをじっと目で追いみている時間は赤ちゃんはご機嫌ですごす。音の出るものはオルゴールくらいがよい。一回ねじをまわして止まるくらいでちょうどよい刺激なのだ。    四六時中音が鳴り続けるのは、刺激が強すぎる。

乳児期はとにかく刺激が少ないものからが大事。情緒の安定に関わるから大人も1日中騒音の中にいたらイライラするのを考えたら、いいと思っている音が意外と赤ちゃんにはよくなかったりするのです。特に機械音はよくないのでCDなども赤ちゃんの時にはかけなかった。

私がこどもを育てていたころは、スマホはなくタブレットもない時代。ですが今は、ベビーカーにのせてタブレットを持たせて動画をみせている姿に驚いてしまう。

こどもの発達とおもちゃ、とかこどもの心によいおもちゃなどの講演をしていた時にいつも話してたのは、ハイテクゲーム機はこどもに百害あって一利なしの言葉。ゲーム会社やゲーム開発者に怒られそうだが、今でもそれは思っている。乳児や幼児にまで年齢が下がってきていて、以前よりも危機感を感じている。よく講座の中で、ハイテクゲーム機を高カロリーのおもちゃと話していた。「ポテトチップスが好きだからと毎日3食食べさせないでしょ?おもちゃも食事と同じに考えてみてください。」と高カロリーばかりとっていたらどうなるのか。

そしてハイテクゲーム機もタブレットの動画も、受け身な遊び。そこにはこどもが考え工夫しということは何ひとつない。脳をつかっているように見えるのだが、反射神経みたいなものなので、思考する部分の脳は使っていないのだ。ひたすらゲーム会社の開発者の手の中で遊ばされているのがゲーム機である。

こどもが遊ぶのではなく遊ばされている状態。主体的にこどもは遊ばないと思考も育たないのです。受け身の遊びは、学童期になって学ぶ時に、受け身の学びに移行するのです。学校に行って自ら考えるよりひたすら受け身の姿勢になってしまいがちです。急に自分で考えて工夫しなさいといっても基礎のチカラが育っていないとそれはとても困難なことになる。

そしてゲーム機には中毒性があり、一日1時間だけよ、お約束よ。と約束してもほぼそれは守られることなく、やくそくしたでしょ!!!!と怒る親とあとちょっともうちょっととなるこども、そのうち親の見えないところでひたすら夢中になる。それはある意味当たり前なことである。やめられないようにもっとやりたくなるように制作しているのだから。 大人もおもしろいとなかなかやめられない。自制心がそれでも大人はそれなりにあるけれどまだまだ自制心が未発達なこどもにはそれはとても難しいことなのである。そしてやめなさい、いやだ などの親子でもめる、親は約束守らないことにイライラする。心理的にも良いことひとつもないのではないかとよくお母さんたちやお父さんたちにむけての子育て講座で話したものである

講座で話もしていましたが実際に自分の子育てでもゲーム機はいっさいあたえないを実践した。こどもたちはどう思っていたのかと時々聞かれますが、恨んではいませんでしたよ。(笑)よかったよゲーム機なくてと話していました。サンタさんに頼んだのになぜうちにはまるで違うおもちゃが届くんだとは思ってたけどね。と息子は笑っていた。

ゲーム機やタブレットで動画をみせたりしていると、おとなしくしばらくは一人ですごしてくれます。外出中や家の中でちょっとおとなしくしてほしい時に便利なのだとは思うけれど、安易におとなしくするからと与えていいのかどうか、ちょっとその先を考えてほしいなぁと最近の子育て中の親子をみて思う日々。

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