あと1年半!2024年から義務化される電子帳簿保存法 いま中小企業がやるべきこととは?

ふた昔ほど前のお話しです。

何度目かの転職先の老人ホームを経営していた会社では、ペーパーレス化に取り組むとのことで、そのためのシステム選定を進めているところでした。

今でこそペーパーレス化に取り組むことが一般的になってきている中で、当時としてはちょっと珍しいなという印象でした。

相当後になってから,2005年の「e-文書法」に対応する取り組みの一環であると知りました。

その後、さらに何度目かの転職先の電鉄系関連会社では、国税関係書類をペーパーレス化せよ。

またまたさらに、その次の転職先の不動産系関連会社では従業員の使用した経費の領収書を捨てることができるようにシステム検討しなさいと、私が転職する先では様々なペーパーレス化対応への取り組みをしておりました。

これらも全て、電子帳簿保存法改正への対応の一環でした。

え?気になるのは電子帳簿保存対応ではなく、私の転職回数?

それはまた後日お話しする機会を頂戴するといたしまして、今回は電子帳簿保存法についてお話ししてまいります。

電子帳簿保存法について

電子帳簿保存法とは、国税関係(法人税法や所得税法)の帳簿や書類を一定の要件を満たした上で、電子データで保存することを認めることを定めた法律です。

毎年のように改正が行われ、DXの推進や経理業務のデジタル化による記帳水準や、生産性の向上などを目的としております。

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電子帳簿保存法上、電磁的記録による保存は、上記の3つに区分されております。

今回は③電子取引について取り上げてみます。

電子取引の概要

電子取引とは、取引情報の授受を電磁的方式により行う取引をいいます。

つまり、メールやインターネットのホームページから請求書、領収書、契約書、見積書、注文書などをデータでやりとりすることをいいます。

国税庁ホームページには

(1) 電子メールにより請求書や領収書等のデータ(PDFファイル等)を受領
(2) インターネットのホームページからダウンロードした請求書や領収書等のデータ(PDFファイル等)又はホームページ上に表示される請求書や領収書等の画面印刷(いわゆるハードコピー)を利用
(3) 電子請求書や電子領収書の授受に係るクラウドサービスを利用
(4) クレジットカードの利用明細データ、交通系ICカードによる支払データ、スマートフォンアプリによる決済データ等を活用したクラウドサービスを利用
(5) 特定の取引に係るEDIシステムを利用
(6) ペーパレス化されたFAX機能を持つ複合機を利用
(7) 請求書や領収書等のデータをDVD等の記録媒体を介して受領

と具体例が挙げられております。

直近の電子帳簿保存法法改正

2021年改正:出力書面による保存の廃止

これまでは、電子取引であっても紙にプリントアウトして保存していることがほとんどであったと思いますが、この改正ではプリントアウトした書面の保存制度を廃止し2022年1月1日以降、データ保存を必須とするとされました。

2022年改正:2年間の猶予

2021年改正への対応が間に合わない企業が多かったことにより、「やむを得ない事情があると税務署が認め」かつ「税務調査時に出力書面の提出をする場合」という条件付きで2年間は紙での保存を可能とするという宥恕規程が設けられました。

ですので、2024年1月1日以降、保存要件を満たした上で電子取引のデータを保存すれば良いことになりました。
このあとは、電子帳簿保存法改正に対応するための手続きを簡単にご説明してまいります。

改正への対応準備

電子取引の整理

ますは、自社の取引でどのような電子取引があるか確認することから始めましょう!

備品などインターネットで購入した場合の領収書やメールで送られてくる請求書などをPDFやスクリーンショットなどのデータで保存する必要があります。

対象となるのは電子取引で受け取る側だけではなく、送る側も対象となりますので、お気をつけください。

業務フローの整備

電子取引の整理ができましたら、次は業務フローを整備する必要があります。

・管理者を誰にするか
・データをどこに、どのように保存するか

管理者は「今までの処理方法が、今後このようになりますよ」、「このようなデータを保存する必要がありますよ」ということを社内へ周知する必要があります。

さらに、どの様に保存する必要があるのかということも決める必要あります。

改ざん防止措置

①タイムスタンプ付与・・・コストや手間がかかります
②履歴が残るシステムでの授受・保存・・・JIIMA認証を受けているソフトを導入
③改ざん防止のための事務処理規程を定めて守る・・・システム導入不用、手間もかかりません

中小企業向けに最もおすすめの③についてご説明してまいります。

事務処理規程を定める

国税庁のHPには事務処理規程の法人用、個人用のフォーマットが提示されております。これを活用して管理責任者、電子取引の範囲、取引データの保存場所などのほか、訂正・削除の扱いも決める必要があります。

どこまで整備すればデータ改ざん等の不正を防ぐことができるのかについては、事業規模や業務フロー等を踏まえて個々に検討する必要があります。

検索機能を確保する

事務処理規程と合わせて必要となるのが検索機能です。検索機能というと「結局システムいれなきゃならないんじゃん」となりそうですが、エクセルなどの表計算ソフトで「日付・金額・取引先」で検索できるように、索引簿を作成することで事足ります。

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このほかにもフォルダの検索機能が活⽤できるようにする方法として、データのファイル名に規則性をもって「日付・⾦額・取引先」を⼊⼒し、特定のフォルダに集約しておくことで対応ができます。

電帳

いかがでしたでしょうか?
そんなに手間をかけなくても、十分対応が可能なことがお分かりいただけたことと同時に2024年1月1日に向けて、やらなければならないことの一例をしめせたことと思います。

昔の私に、「あと何年かするともっと楽にお金も手間もかけなくても簡単に電子帳簿保存できるようになるよ」と声をかけたいくらい取り組み易くなりました。

電子帳簿保存法改正の施行まで、お時間はまだまだありますので、じっくりご検討いただければと思います。


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