フィクションの話
自分に対しての戒め強め。※2022年2月の記事です。
数年前にジャーナリストが武装勢力に捕まり、その中に日本人もいたことで国内でも大きく報道され自己責任論が噴出した件、
各々思うことは色々あるだろうけど、戦闘のないor少ない環境で暮らしていると現在進行形でそういう国や地域があるということは忘れがちになる。
また、そもそもこの世界が弱肉強食の側面が小さくないことに気づけなかったりする。
これはそういう戦闘地域に乗り込んだ架空の国の人たちの話。
ある者はジャーナリズム精神から、ある者は人助けのため、またある者は自分探しのため。。。
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「俺は1日10時間も訓練している。」
「私は強くなるために自発的に頑張っている」
「僕は軍事マニアで知識なら誰にも負けない」
「サバゲーで鍛えてきたから大丈夫」
「私は少しだけ参加できればそれで良い」
「精神力さえあればどうにでもなる」
「味方の振りをして騙す奴が許せない」
「生き延びている人は人格的にも素晴らしい」
「自分らしい理想の生き方を実現するんだ」
「確率の高いほうを選んで進軍するのみ」
と、上記は戦闘地域に自己責任で乗り込んだ者達のグループ。
皆武器は身に付けていない。マニュアルはある。
自称傭兵から50万円で買った、「誰でも強者になれるサバイバル教本」。
なお、100万円のは高くて買えず30万円のは内容が薄そうだったので、悩んだ末に50万円のやつにした。
自称傭兵は「読んだらあとは実戦で慣れてください。」とのこと。よーし、実戦でバリバリやってやるぞ。
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まずは「戦闘地域ではない」とされている場所で野営をすることにした。
いつの間にか1人いなくなったけど、戦闘地域ではないはずなので間違ってもさらわれたとかではなく、腹が痛くなって草むらにでも用を足しに行っているのだろう。さっそくサバイバルじゃないか。そのうち戻ってくるはず。
だが、以降そいつが戻って来ることはなかった。
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「お前よー、精神力でどうにかなるわけないだろw 」
「うるせぇ!お前こそ、理論ばかり詳しくて何になる!」
「なんだ、てめー!」
「やんのか、こら!」
と、後ろから・・・ダダダダダダッッ!!!!
以降、2人の姿を見た者はいない。
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「アナタタチ、コンナ所デ何シテル?ココニイタラ、ゲリラニ狙ワレルヨ!」
「え、だってここは公式に非紛争地だと聞いたよ?」
「ソンナノ当テニナラナイヨ!ココハ危ナイ。サアコッチダヨ。」
「危なかった。良い人がいて助かった。」
建物裏で、「手ヲ上ゲロ!」
身ぐるみ剥がされ、放り出される。
「絶対許せない。良い人のフリをして近づいて騙すなんて!次はもっとちゃんとした人を頼ろう・・・。」
以降、(省略)
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「俺は1日10時間もトレーニングをしている。これだけ意識が高い俺が失敗するわけがない。(会社ではダメだったけど)
ここでは勝者だ。俺の計算は絶対だ。(仕事はダメだったけど)・・・ふぐっ!? ぐぬぅ!?」
ザクッ。
以降、(省略)
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気づいたら泥沼。ちょっとのはずだったのに。こんな所に乗り込む前に時間を戻したい。でも今さら戻れない。
貯金も使って自分探しのために乗り込んできたけど、もうどうにもならない。凄い写真を1枚でも撮れたら元が取れると思っていたけど、そんな余裕なんかない。
夜も眠れない。せっかく寝付いても自分の唸り声で目が覚める。
楽しもうとか言っていた自分は何だったのか。サバゲーと全然違う。
政府は「国連が管理している」と言っていたのにこの空爆は何だ?
武器を頼んだはずの売人に金を渡してから音沙汰がない。
同じく迷い込んだ奴から貰った旧式の銃が一丁はある。
「武器は何でも良い。当たれば関係ない。腕が大事。」って言ってたっけ。でもどうやったら当たるんだ。
相手は戦車に戦闘機で攻めてくるのに。こんな所に来るんじゃなかった。 ああ、神様。。。」
ボカーッン!!
以降、(省略)
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激しい戦闘の最中、誰かに首根っこをつかんで引きずられた。
「馬鹿やろう!何をボーっと突っ立っていやがる!死んでしまうぞ!」
「もうどうやっても生き延びられそうにないんです。。。どうしたら良いのか分からなくて。あなただってそうなんでしょう?グスッ。」
「ふんっ。俺は、この国へ渡ってきて10年も生き延びてきた。そんじょそこらの自称つわものとは違うんだ。」
「どうやったら強くなれますか? お願いします、僕を鍛えてください!」
「よーし、分かった。どんなに辛くても付いてこられるか?もうここで生き抜くしかないと覚悟を決められるか? 絶対俺の言うことを聞くと誓うか?」
「はい!もう頼れる人がいないんです。死ぬ気で頑張ります!」
結果
「‘でも、でも’っていちいち口答えしやがるんじゃねぇ! てめーみたいなクソガキはさっさと国へ帰れ!」
「`でも’、今さら帰れないんです!」
「この野郎!!」
以降、(省略)
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「わはははっ、敵の倒し方が分かったぞ。罠をしかけるんだ。もうこれで絶対に負けない。
馬鹿正直にマニュアルどおりに戦ってどうする。敵もまさか女の格好をした俺が急に撃ってくるなんて思いもよらない。
実際ここ数日は敵を倒してばかりだ。このまま敵の本拠地まで行って、横っ腹から急襲してやる。大将首を取るのも時間の問題だ。名づけて`桶狭間作戦’なり。我ながら天才だ。ふふふ・・・。」
敵の本拠地付近にて。
「やはり女に飢えている敵兵は、簡単に騙されやがる。もう敵の本拠地だ。
あれか、なんちゃら大佐が隠れているのは! ん? なんだ? あっ!奴ら、幼い子供でデスレースをやってやがる!
銃で狙われながら走って逃げ切れたら助けてやるっていうあれか! なんてひどいことをしやがる! 人間の仕業じゃねえ!
こっちだ、こっちまで走って逃げて来い!」
命からがら逃げてきた子どもが、もう少しの所で転倒した。
「ちっ、何してやがる!くそっ」
とっさに助けに近寄り、子どもを担いで森の中へ逃げ込んだ。
「敵にオレの存在がバレてしまった。せっかくここまで来たのに。・・・・でもまあいいか。子どもを見捨てるなんて俺にはできな・・・
ズキューン!!
な、何しやがる、お前・・・」バタッ。
子ども「ニヤッ」
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命の危険を受け入れて楽しむか悟るか尖るか、、、とにかく普通の感覚では生き延びることが無理なのは冷静に考えれば分かること。
「いや、自分はちょっと体験するだけで本当に危ない所なんかには行かないよw」と思っていても、気づいたらひざ下まで泥水に浸かり、あっという間に下半身、上半身、首元まで埋もれている。
ベテランのあの人がまさか!?という感じで行方不明になることもザラにあり。
知らぬ間に死神が手招きをしている世界。
最も生き延びられる方法・・・、それは紛争地帯に足を踏み入れないこと。
まともな感覚の人間なら、家族が戦場に自ら赴こうとしたら全力で止める。
ただ、それでもやはりその道に進んでしまうのは無知からか欲からか。
※実際の戦場カメラマン等、命を賭して活動されている人には頭が下がるということは付け加えておく。
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さて、このnoteを見ている人はほぼほぼある「修羅の道」を選んだいわば`仲間’であると思うけれど、
言いたいのは
「失敗しても命までは取られない」ということ。
高確率で破産はするかもしれないけれど、必ずしもイコール破滅ではない。だったら1回死んだ気になってやれば良いじゃんと。
死んだ気になっているうちに普通の人生には戻れなくなっているかもしれないけど、それもまた人生。
フルマラソンを走ったことのある人は理解できると思うけど、35km過ぎの最も辛い時に
「何でオレはこんな辛いことをやってるんだ?ああ、辞めたい。辛い。倒れたい。でもここまで来て辞められない。」
と息絶え絶えに苦しみながら狭くなった視野でふと周りを見ると、他のランナーも同じ状況であることに気づく。決して直接は手を触れられない。皆自分のルートを走っていて絶対に自分とは交わらない。でも、苦しいのは自分だけではないと悟る。
まさに人生の縮図。
そして、横で苦しさと、ある意味での楽しさを共有している人に抜かされたとしても出てくる感情は
「行け~!あと少しでゴールだ!オレにかまうな、先に辿りつけ~!」
そして願わくば、後からコースの難所を振り返り一緒に語らいたい。動かない脚を殴りつけ雄叫びをあげ、自然と溢れる涙を拭く気力もなく、それでも前に進み続けてゴールにたどり着いた喜びを分かち合いたい。
そして、「完走して嬉しい!」とテンションが上がった後にこそ、体が動かなくなるほどの後遺症や故障が待っているかもしれない恐怖も。
おまけ
紛争地域に乗り込み幾多の危険をくぐり抜け、高い戦闘力を身に付けて生き延び、無事に帰国した者がいた。
紛争地域では次の瞬間に死んでいるかもしれず、普通のメンタルでは睡眠すら取れないような状況の中、自分をコントロールする術を身に付け、敵と対峙した瞬間もまるで殺気がないかのように冷静に対処できるレベルで悟りを開いた。敵側からも一目置かれ、高官としてヘッドハントの声がかかったりする中、「自分は近しい人を助けに来ただけ」とクールに断った。
「もうあとは自分のペースで入門者に教えながら暮らそう。結婚もしたい。」
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婚約者の家にて
「娘さんをください!職業は元傭兵ですが、今は教官の職を探しています。」
「お父さん、この人は人格者なの。本当よ!」
「お前みたいなアウトローな奴なんかに娘はやらん!!」
以降、(省略)
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