見出し画像

そうして試練の果てが満開ならば

3月になると肩の力が抜ける気がする。
張り詰めていた2月の寒さが緩み、どこかで開花を予感させる日差しのせいだからだろうか。
2月の昨日と、3月の今日で何かが大きく変わるわけではないのに。

a.k.a Agust D セルアウトなしの剥き出し感が良き…

3月9日は特別な日だ。
3月9日は防弾少年団・BTSのSUGA、ことミン・ユンギが生まれた日である。
彼の誕生日がどれほど喜ばしいかを、130文字にまとめてつぶやくには己の語彙が乏しいし、流れてしまう言葉よりひっそりとnoteに書き留めておこうと思い、今こうして文字を打っている。

わたしはユンギが最推しだ。ユンギが大好きだ。
わたしがBTSにハマり、さらにユンギの沼に落ちた時は、最初何が起きたのかわからなかった。
これまで何かの沼にハマるという経験がなく、何がどうしてこうなったのかわからない。ただ彼らの曲を聴き、パフォーマンスを見て、タリョラで笑っている間に沼にどっぷりと浸かっていた。
恥ずかしい話、最初はメンバーの見分けがつかなかったし、ユンギを1番に認識したわけではなかった。

わたしは元々ヒップホップが好きだった。
RHYMESTER、FG Unitから入り、NITRO MICROPHONE UNDERGROUND界隈が好きで、所謂日本語ラップというジャンルを聴いていた。ちなみにバンタンにどっぷりと浸かる前は舐達麻にどハマりしていたのだった。どのラッパーも日本語特有の韻の踏み方とダブルミーニングが魅力的なのだ。

だからアイドルは彼らの反対側にいるのだと思っていた。しかし、バンタンを、特にラップラインを知り反対側ではないことに気付く。
アイドルらしからぬハイスキル。

韓国語がわからないのが本当に悔しいのだが、おそらくリリックのセンスやライムも秀逸なのだと感じる(掛かってくるダブルミーニングの理解ができないのが心から悔しい)。
特にユンギは声の低さと高速ラップを得意とする。かと思えば、柔らかい歌声、落ち着いたスロウで知的なラップ、また酔ったようなフロウをみせたりと多彩なスキルにゾクゾクしていた。それを認識したときにはすでにわたしはユンギの沼に落ちていたのだった。

彼のバースには時々怒りを含むように感じるものがある。特に「Spring Day」のバースはそう感じる。
怒りとは二次感情で、怒りの前にある一次感情(哀しみや困惑など)が隠れているという。哀しみの感情を怒りに似たフロウで(リリックの内容からも伺える)ラップする彼の沼は深かった。
彼の作る音楽にひたすら魅了され、SUGAではなくユンギと呼ぶことに時間はかからなかった。

ラップラインが大好き過ぎる


余談だが、そもそもわずか4分程度の曲に7人それぞれのパートがあり、うち3人はラップで、かつどのパートも楽曲の中で埋もれないなんてとんでもないことで、それはもうバンタンにハマるしかない現実。


ユンギの本当の人柄はわからない。
それでもメンバーとのエピソード、インタビューで語られること、ファンへの言葉、リリックから垣間見えるもの。知れば知るほど惹きつけられる。

彼の聡明さ、冷静さ。
過酷な業界の中でもブレない芯の強さ。
思慮深い言葉。音楽への真摯な情熱。
ベタベタしないけれど、メンバーを慈しむような目で見ているところ。

それから、強靭な自律。

これはわたしの憶測でしかないけれど、10代後半で患ったという精神疾患は、恐らく彼の根底にまだ燻っているだろう。それを飼い慣らしているであろう彼の精神にわたしは感銘を受けるのだ。

ミクテの「The Last (마지막)」は生々しくそれを感じさせるが故に聞くことにいつも躊躇う。

言わずもがなビジュアルもドストライク

1993年3月9日の大邱がどんな気候だったのかはわからない。身を引き締めるような冷たい風が吹いていたのか、少しずつ春を目指す暖かい空気だったのか。
それでも、その一日は特別な日であったことに違いない。30年前も、これから先も。
潤沢な人生をおくるようにと名付けられた彼の2022年3月9日を祝して。
そうしていつか満開を迎えるであろう、その景色を見届けることを誓って。

생일 축하해요 민 윤기. 사랑해요.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?