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Nulab Podcast Guide 2020

以前に会社のブログで紹介して、細かい機材や配信までの流れを書く機会がなかったのでスナップショットとして2020年版ということで書き留めておく(実は2019年の年末に書く予定だった)
社内podcastを始めた経緯や効果などはヌーラボブログに書いているのでそちらを読んでいただければ。
ヌーラボブログ:https://nulab.com/ja/blog/nulab/nulab_podcast/

これからPodcastをやりたい人や、やってるけど他の人がどうやってるのか気になる人は参考になるかもしれません。

はじめに

この記事は社内でPodcastを始めてもうすぐ2年になる経験と考えを元に書いています。ここに書いているのが最適解というわけではなく、改善しながら模索してきた結果という前提で書いているので、まだまだ変わっていくと思われます。

僕たちがやっているpodcastの基本スタンスとして、継続できなくなるという懸念をなるべく減らすために、出来るだけ手間を掛けずに、でも音質にはこだわるといったスタンスで活動しています。
なので内容自体は、OP、EDなどのジングルもなく、ぬるっと始まっていつの間にか終わっているという、いい意味で手を抜いているような感じになっています(一部例外あり)

収録方法はレコーディング編で詳しく書きますが、基本的に直接顔を合わせた状態での収録方法を採用しています。

キャスティング編

NulabのPodcastは社内の誰かをゲストに、司会数名と会話するような方式をとっています。なので通常はゲストのキャスティングから始まります。
流れとしては、ゲストに参加の交渉を行いOKが出た段階でTypetalkの専用トピックに招待して、話したい(話せる)内容をざっくりと洗い出してもらう。この段階でレコーディング日を決定しておきます。

当日になったらレコーディング前の10-20分程度、話の流れや掘り下げる話題を打ち合わせして、レコーディングを行います。
最近はGoogleのmeetを使ってLIVE配信も同時に行うようにしました。

レコーディング後はポストプロダクションとして編集などを行いgoogle siteをつかって公開します。
公開後はTypetalk上でお知らせして配信完了となります。

配信後、もしくはレコーディング前に次のゲストのキャスティングの交渉などを行い、配信後に期間が空かないように次のゲストの確保を行っておきます。

配信ペース

一度のレコーディングで前半後半の2本分を撮り、最初のころはそれを週1ペースで配信していましたが、このペースだと毎週ゲストのキャスティングとレコーディングが必要で想像以上に大変なので、途中から2週間に1回の配信にするようにペースを調整しています。

これとは別にPodcastメンバーのみでレコーディングを行って一回で完結するものを不定期で配信しています。これは事前の打ち合わせをほとんどやらずに、特定のテーマに沿ってレコーディングするスタイルにして、ゲストの都合が合わずに配信に空きができそうな時に行ったりして調整してます。

ゲストがいる回は前半後半合わせて1時間超える場合が多く(長い人で3時間超える)、全部聞くのは大変ということもあって、ゲストなし回は30-40分で終わるようにして、長いエピソードばかりにならないようにしています。

ゲストなし回は社内で話題になったことや、みんなが知りたい内容などをネタにしていることが多い。

マイク編

使用マイク:
Aston Microphones / AST-ORIGIN(メイン/3本)
ZOOM H2N(サブ/1本)

使用マイクはAstonのORIGINを使用。
これを選んだ理由は見た目のかっこよさもありますが、マイク単体でポップガードやショックマウントの役割を組み込まれてるのでセッティングが楽というところに惹かれました。基本的にメインマイクは人数分用意して使用。

これはコンデンサーマイクのため電源が必要です。オーディオインターフェースを使って電源供給しながら使います。使ってる機材はSteinberg UR44

メインとサブを使っているのは、録音時に入力設定を誤ってPCの内蔵マイクの設定にしたまま録音してしまうことがあったのでサブ機を使ってます。

以前はBlue Microphones Yetiを使っていましたが、1つのマイクに向かって複数人で話すと必ず誰かの声が遠くなったり、小さな声が聞こえづらかったりしてイマイチな場面があったので、人数分のマイクを用意するようにしました。お金はかかりますがこちらの方がしっかりと声を拾えて良いです。

Yetiは東京オフィスでもPodcastのレコーディングをするようになったので、それ用に使われていたりします。

ちなみにAstonのORIGINには入力レベルを-10dB下げるスイッチがあるので、このスイッチを入れてレコーディングしています。入力レベルを小さくすることで急に大きな声を出してピークレベルが上がっても調整しやすいようにしています。

レコーディング編

拠点が分かれているのでリモートでやる選択肢もありましたが、今の所は同じ拠点のメンバー同士で収録しています。こちらの方がセッティングの手間も少なく直接話しながらなので簡単なため。

レコーディング環境

「良いマイクを使っている=良い音が撮れる」と思われがちですが、僕の考えではマイクが良くてもレコーディング環境が悪いと効果を発揮できないです。

悪いレコーディング環境の具体的な例としては
・エアコンや空調のノイズがする
・声が反響する
・周りの騒音が聞こえる
などがあり、これらが発生する場所だとどんなにマイクが良くても(というかマイクが良いと余計に)聞きにくくなります。
実際に何度かレコーディング場所を試してみてますが、会社内でレコーディングに適した場所というのはそんなにないです。
後処理でなんとかなるでしょ、と思っていると上手くいかずに痛い目に合います

とりあえず手持ちのマイクやPCの内蔵マイクでテスト収録してみると感覚が掴めると思います。僕らも最初はMacの内蔵マイクでレコーディングしました。会議用で使ってるマイクは割と微妙です。

会議室でレコーディングしている人もいますが、会議室は物が少ないので声が反響するのとエアコンなども稼働しているのでそれらの音まで拾ってしまいます。特にコンデンサーマイクはかなり小さな音まで拾うので環境を整えないとピンポインで声だけ録音するというのは出来ません。僕らが普段耳にしている音楽やラジオはプロが整備した環境でレコーディングしたものなので、見えないところで余計な音が入らないように工夫されているのが分かります。

気持ち的には専用のスタジオを借りたいところですがそうも言ってられないので、会社内で近い環境を再現できる会社の倉庫(物置部屋)を使ってレコーディングしています。倉庫は備品やダンボールなどの音を吸収してくれるものが多いので反響音が出にくく、エアコンもついていなかったのでノイズの影響も受けずにレコーディングできるためPodcastには適した環境でした。

もし自宅でレコーディングするのであれば、クローゼットがオススメです。衣類は音を吸収してくれるので反響音が出なくなり、エアコンなどのノイズも入りにくいため適した環境です。

そこまでのクオリティ求めてないのであれば、マイクをダイナミックマイクを使うことをオススメします。コンデンサーマイクほど小さな音を拾わないので扱いに気を使わなくてもしっかり声を拾ってくれます。

レコーディング環境はおざなりにしてしまいがちですが、どんなにコンテンツが面白くても聞いていてストレスを感じる音だと聞き手は気持ちが削がれるので、かなり気をつけることをオススメしたい。


レコーディング中の注意点

使用しているAstonのマイクは指向性はありますが、離れれば離れるほどしっかり音を拾えなくなるので、会話中は基本的にマイクから距離を離さないようにするのがベスト。
なんやかんや喋っていると盛り上がって口元をマイクから外れてしまったり、癖で椅子にもたれかかったりしてマイクから離れてしまい音が遠くなり声を拾いづらくなるので注意が必要。

会話中に相槌をうつタイミングがあるが、あまり頻繁にうっていると結構うざく感じるので、控えたほうが無難。
また、ぼくらはプロではないので、笑い声や急に大きな声を出してしまいピークレベルを急激にあげてしまう場合がある。ある程度は仕方ないものと割り切りながら、調整できる部分はCompressorやLimiterなどで調整すると急なレベルの変化による聞き手のストレスを軽減できる。

言わずもがなですが、レコーディング中にマイクを触ったり動かしたりするのはやめましょう。机の上の振動や接触音なども拾うため必要のない場合は基本的に机に触れないほうがベストです
(PCの操作音はある程度諦める)

ポストプロダクション編

いわゆる編集作業編ですが、ここに時間がかかってしまうと継続するのが辛くなってくるので、ここで頑張らなくてもいいように、レコーディングの段階でどれだけ良い音を撮るかという部分に注力したほうが個人的に楽だと思う。何度も書くけど、後処理でなんとかなるでしょ、と思っていると上手くいかずに痛い目に合います

編集作業は Logic Pro Xを使用しています。カットに関しては基本的に最初と最後のタイミングの調整以外はほとんどそのまま使います。
使用しているエフェクトは
Compressor:音の圧縮率と適応範囲を調整して音の粒度を揃える
DeNoise:ノイズを低減させる
Limiter:一定以上のレベルにならないように抑える
DeVerberate:反響音を低減させる
CompressorとLimiterは Logic Pro X標準の機能ですがそれ以外は有料のプラグイン。レコーディングの段階でかなりよい音が撮れるようにしているため、Compressor以外のエフェクトはそこまで強くかけることはほとんどないく、レコーディングがうまくいくとCompressorのみで良くなることもあります。

基本的には笑い声などの急激にレベルが上がるところに注意しながら、Compressorで全体のレベルを調整して、それでも難しい場合にLimiterで抑えるようにしています。

エフェクトを強くかけすぎると、声がエフェクトの効果に影響されて自然な音からかけ離れていくので、後処理でなんとかしようとすると声がガビガビになる。なのでレコーディング時の音源のクオリティを可能な限り上げておくのが大事。

配信編

社内向けのコンテンツのため、社内のメンバーだけ見れるようにGoogle Siteを利用して配信。
おそらく多くの会社で使われているGoogleアカウントであれば退職者や外部のメンバーなど統一して管理されているため、気にせずに運用できる。音声ファイルなどはGoogle  Driveに保存しておき、会社のアカウントを持っているメンバーのみに共有させておけば、Google Siteに表示させるだけで配信環境としては整います。

スマホ用配信

PCであればGoogle Siteで十分ですが、スマホから聞く場合Google Siteを開いても音声ファイルが再生されないようです。なので別途スマホ用に配信方法を検討する必要がある。

方法は色々ありましたが、現在はBacklogのファイルに「音声」と「配信用に記述したxmlファイル」をアップロードすることでヌーラボアカウントの二段階認証を利用してpodcastアプリなどで配信内容を聞くことができるような環境にしました。

配信時はGoogle Siteの更新とスマホ用の配信作業を行っていますが、Google Siteの公開手順が手間なので近いうちにwebサイトもxmlファイルからデータを取得して音声を作成できるものに変更する予定。

社外への公開を前提とするなら SoundCloud や Spotify という選択肢があるのでそれらを利用するとよさげ。

配信のお知らせ方法

今の所Google Siteで公開したページのURLをTypetalkでお知らせしている。

ここは特に変わったことはしていないが、URLだけだとそっけないので、話している内容がある程度分かるようにリストアップしたり、ざっくりとした感想などを添えてお知らせしている。

LIVEの配信についてはGoogle CalendarでPodcast用のカレンダーを作成してLIVE配信する予定が決まり次第、予定を追加している。
このカレンダーは、他のメンバーが任意で自身のカレンダーに追加できるので、聞きたいメンバーだけがLIVE配信のお知らせを受け取れるようにしている。

Google Siteのコンテンツ内容

Google Siteに載せている内容としては
・音声ファイル
・司会とゲストの写真アイコンと名前
・レコーディング時の写真
・ShowNoteとして会話中の参考リンク
というのを必須項目として載せている(ゲストなし回はレコーディング時の写真はない)

これは社内メンバーの顔と名前を一致させるのが大変ということもあり基本的にゲスト回は写真を撮るようにしている。
特に新入社員は顔と名前を覚えるのが大変なので、それに一役かっている。

まとめ

Podcastは楽しい。

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