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窮鼠ナントカ(2020.12.15)

キューソナントカという映画が話題と聞いて(正確には『窮鼠はチーズの夢を見る』)配信が始まったら見てみようと思いつつ、なんとなく気になって原作を読んでみました。

別ジャンルのコミックとして発行されましたが、内容は男性同士の恋愛を描いたもの、つまり一般には大まかに「BLもの」と分類されてしまうのでしょう。
(→内容的にも、厳密にはBLの掟の地雷?を踏んでしまっていたり『萌え』の要素があまりなかったりということで、例えば原作者の水城せとなさんご自身も、この作品をBLとは考えていないそうです)

結果から言えば、そういう分類自体が無意味なものかもしれないと思い知らされましたが…

私自身もこういった作品を読むのは初めてでした。抵抗感はない(まったくない)けど、あえて読みたいと思ったこともなかったし…

読み終わってみて。。。
窮鼠はチーズの夢を見る → 俎上の鯉は二度跳ねる
いやはや‥ものすごく感動しました。こんなに感動するもんなんだとびっくりした。ここ数年で一番心を揺さぶられたかもしれない。数日間あんまり人と口を聞けなかったもん。

「人を愛するとは?」を息苦しいほど突き詰めた、本当に面白い作品だと思いました。

有性生殖を行うヒトだから男女が恋愛するというのは進化的に妥当な流れだし、これだけ高度に社会的進化を遂げた我々だからこそどんなに純粋と思える恋愛も(たとえ自分は意識していなかったとしても)社会的価値判断に基づく打算や妥協から完全に自由になることはありません。

だからこそ、男性が男性を想うという設定でなければ(本作では異性を愛する「ある意味凡庸な、ごく普通の」男性が同性から圧倒的な恋愛感情を寄せられる設定)描けなかった情動や純粋さがあると思う。
(設定が同性婚もcivil partnershipも未だ認められていない日本だからなおさらそう感じるのかもしれません)

そういう意味では、「男性が男性を」の物語だとレッテルをつけて「読まない」と思ってしまうのはもったいないなあと感じました。これは、恭一が「男性を」愛せるかの物語ではなくて、人が人を愛すことを学んでいく成長譚なのだと思います。

この作品を行定監督が映画でどう料理したか、ぜひいつか見てみたいな。

原作はこちら→ https://www.amazon.co.jp/gp/product/B086JY2Y8M/

- Originally Written on 15 Dec 2020 in Kyoto, Japan by makiterao

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