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ニンジャスレイヤーTRPG 日常短編集【ザ・スリー・ウイメンズ・カシマシ】


1,はじめに

ドーモ、マキリ猫です。
これは2024年4月よりKonoe=サン主催で行われている個人サーバーでの「ニンジャスレイヤーTRPG」において、作中世界のソウカイヤに新設された新進気鋭チーム「ステゴマ」所属のニンジャたちの日常を綴るものです。いつみてもひでえ字面だ
ステゴマ隊のリプレイに関しては同サーバでご一緒させて頂いているPL、がーねっと=サンによる素晴らしい投稿が既にありますので、是非とも御覧ください。

2,注意しよう

◯基本的にすべてが不真面目かつ雑で適当です。何でも許せる方向け

◯引用させて頂いて恐縮ですが、時系列やメンツなどはがーねっと=サン
 投稿のリプレイとは全く一致しません。知らん奴がなんか出てくるぞ

◯これはリプレイではなくSSです。場合によっては各キャラクターが
 忍殺TRPG内において全く実現不能な挙動を行う可能性があります

◯忍殺語がフルサポートされていません。不自然なコトダマが頻出します
 私はノリと雰囲気でニンジャスレイヤーを読んでいる。わかったか

何故こんなザマで書こうと思ったのか

全てご理解頂けた方のみ、以下へドーゾ。

3,キャラクター紹介

ブルースチール(画:ハム様)

ブルースチール(マキリ猫)
サイバネを異常愛好する元サイバーツジギリの女ニンジャ。
廉価オイランドロイドめいて無表情ながら外見は整っており、黙っていれば美人に見えるが、サイバネについて語りだすと早口になり気持ち悪くなる。
経歴上、戦闘経験はステゴマ隊の中でも豊富な部類。その胸は標準である

ハム=サンのキャラクターデザインは健康に良い


トゥルーハート(画:Konoe様)

トゥルーハート(Konoe)
元はカチグミスゴイハイスクールに通う2年生。青春真っ盛りな。
所属者の顔面の治安が概ね世紀末以下なソウカイヤの中にあってカワイイを体現する 男 性 ニ ン ジ ャ。 青少年でなくてもなんかがヤバイ。
見た目はカワイイだが芯は強く、チームのムードメーカー的な存在となる。

内腿の少年筋肉アーイイ


アトロシアス(画:がーねっと様)

アトロシアス(カツカツ)
シャチベースの重バイオ改造を施したチーム・ステゴマ随一の豊満要員
幼少期よりニンジャソウルを知覚し、その暴力性を是とした生粋の戦闘狂。先のミッションで「一人ぼっちでなく仲間と一緒に殺す」ことのタノシイに気づき、チームを大事にする優しいお姉さんとなった。ヨカッタネ!(棒)

何もかもがでかくて太い

4,ザ・スリー・ウィメンズ・カシマシ

これまでのあらすじ

横浜での談合中、謎のニンジャ2名からインタラプトを受けたチーム・ステゴマ恐喝部隊。戦闘中のウカツから窮地に陥った(※)ブルースチールだが、ブザマを晒すまいと張る意地をチームメイトに諌められ、アーソン=サンの支援を受けてミッションを達成する。彼女は共に戦った2人にユウジョウを感じ、ミッション後のヤキニクの席でルームシェアを提案したのだった。

※ダイス腐乱によりカラテミサイル4発の直撃で死にかけた。ブッダアスホール!


重金属酸性雨の降りしきるメガロシティ・ネオサイタマ。
その絢爛たるビル群の一角、マンション『ツイノスミカ』37階。

「ワタシはー、ヨメー♪ アナタのー、ヨメー♪」

軽快な歌声が清潔感のあるキッチンに響く。
窓に打ち付ける重金属雨粒までがそれに合わせ伴奏しているかのようだ。
歌声の主は桃色フリルエプロンを付けたニンジャ・トゥルーハートである。

「アーナタとキッチンー♪前後FU↑FU↓~♪」

ボーイソプラノで過激極まりない歌詞を紡ぎながら包丁を扱う彼の手元には、美しくもキュートに剥かれたリンゴ・ウサチャン。慣れた手つきだ。
視線の先には既に調理を終えたとおぼしきミソ・スープやタコス等が並んだオボンがあり、そのうち最も小さい空の皿にウサチャンをそっと乗せる。

ここでこの状況に疑問と不安を持つ読者の方々もいることであろう。
彼の外見がこうであることは既知の事実としても、このニイヅマ・ムーブメントはどうした事か?実際誰かとゴールインしてしまったのか?と。

その心配はない。彼の行いは愛ではなく義務感と責任感からくるものであったし、その義務感と責任感はチームメイトの現状に起因するものだからだ。

「ブルースチール=サン、入っていいー?」
「ドーゾ、開いてるよ」

オボンにのせた料理一式を持って、中2階に位置する部屋に向かう。
ボーイソプラノに応えたのはコントラルト。
ブルースチールはドアを開けて入ってきたチームメイトに深くオジギする。

「アリガトネ、トゥルーハート=サン」
「ふふっ、ヨロコンデー。だってその状態じゃ何も作れないでしょ?」

おおブッダ、何たる光景か!
電動式ザ・イスにもたれた彼女の四肢は根本からケジメされたが如く喪失!
さながらダルマめいた有様である!コワイ!

しかしご安心して頂きたい。彼女の四肢は既にサイバネであり、その全ては部屋の壁面に誂えられたメンテナンス・ハンガーに懸架されているのだ。
輪をかけて猟奇的な光景に見えるが、重サイバネ者にとっては日常の一幕に過ぎない。つまり彼女の四肢は現在メンテ中であり、心優しいトゥルーハートはそれが終わるまでの間、彼女のために料理を作ってくれていたのだ。

「はい右腕。これ途中で取っちゃってもいいの?」

トゥルーハートが懸架状態の右腕を外し、ブルースチールの肩口に当てる。
ガシャン!ジョイント結合!真新しいテッコの幽玄な駆動音が部屋に響く。

「うん、直前の状態を保存するから戻せば続きからやってくれるよ。
 本当はサイバネ医師がいいんだけど、ここ借りちゃったし節約重点」

ブルースチールは答え、今接続した右腕で丁重なイタダキマス・サインを作ると、彼女のリクエストにより本場に寄せた柔らかいトルティーヤで包まれたタコスを頬張る。レタス、サーモン、トビッコ、バルサミコ・ショーユ。
廉価オイランドロイドめいて表情は変わらないが、彼女の感情を示す頭頂部のアホ・ヘアが揺れるのを見たトゥルーハートは満足げな笑顔を浮かべる。
彼と彼女は、泣くヤクザも永遠に黙らせる邪悪ニンジャ組織『ソウカイヤ』所属の無慈悲なるニンジャ・エージェントであるが、これまで共に幾つかの修羅場を越え、仲間同士で確かなユウジョウを育んでいたのだ。

「でもビックリだよねえ。ここカチグミの子も使ってるようなマンション
 なのに、なんであんなに安かったんだろ?」

自分用に用意したチャを啜りながら、トゥルーハートは疑問を口にする。
『ツイノスミカ』は最上とは言えないまでも、相応に設備の整った一級品のマンションであり、一般的なマンション価格帯でいえば「カナリイイ」クラスに相当する。トコロザワ・ピラーにもほど近く、通勤にも都合がいい。
徐々に頭角を表し始めたとはいえ、未だサンシタと言って差し支えない彼らが借りられるようなものでは本来なかったはずなのだ。

「ああ、うん。ヤバイ級インシデント物件だからね、ここ」
「」

ミソスープを啜りながら事もなげに告げるブルースチール。
哀れトゥルーハートは飲んでいたチャをショットガンめいて拡散噴出!

「なんだっけ、ああ。オバケが出て住んでた3人が変死体になったとか」
「マッタ!!僕全然それ聞いてなかったんだけど!?」
「言ってなかったから…嫌がるかなと思って」
「嫌だよ!?スゴイ嫌!!今知ったから余計嫌!!」
「ちなみに同じ事件が過去にも2回起きてるって」
「アアアーッ!!!」

トゥルーハートの詰問と心からの嫌悪シャウトが効いたのか、流石にきまり悪そうにするブルースチール。アホ・ヘアが挙動不審に上下運動!

「でもほら、私達はニンジャでしょう?つまりこう。ニンジャはオバケより 
 強くインシデント物件でも平気。だから高コストパフォ―マンス。完璧」
「そういう問題じゃなくてェ!!」

トゥルーハートは頭を抱えた。彼女に欠片も悪気がなかったのはよく分かるからだ。ブルースチールはイクサや恐喝となればとても頼りになるのだが、育った環境のせいか天然なのか、どうにもウキヨ離れした所がある。第一、食事の件も「新調したサイバネを眺めればそれだけでスシより栄養になる」などと、実際新品テッコを眺めつつヨダレを垂らしながら話す彼女が流石に
ニンジャとして、否、人としてのなんかが不安になった故の行動であった。
彼女は狂ってはいない。だが救いようもなく歪んでいるのだ。

「あら、私もそれ初耳ね?」

そこにペタペタと、フローリングの床に若干張り付くような足音。
ややあって艶のある美声が頭上から二人の間に割って入った。

「アトロシアス=サン、オカエリ。プール終わり?」
「あ、オカ……アイエエェ!!!?」

ナムサン、トゥルーハートが面食らったのも無理はない!
180cmに届かんとする長身にシャチめいた白黒色彩のバイオ義体。
アトロシアスと呼ばれた女性――無論彼女もニンジャである――は、二人のチームメイト兼ルームメイト達を聖母めいた柔らかな笑顔で見下ろす。

その胸は極めて豊満であった。そして…

ブッダ!非常に細いY字型水着のほかは何も着ていない!!
プールでの力泳で熱を持った肌に水滴が光り重大な視覚的危険性!!

「フフ、ここの屋上プール、いいわね。調子乗って泳ぎすぎたわ」
「服着て…!」
「アトロシアス=サンが本気出したら水面割れるでしょ。アブナイだよ」
「ダイジョブよー。せっかくの遊び場だもの、壊さない壊さない」
「アトロシアス=サン!服!!着て!!」

ブッダ!先程の嫌シャウトにも勝らんとする絶叫と共に、トゥルーハートがニンジャ脚力でサンルームから取ってきた、極めてゆったりとしたノースリーブパーカーがニンジャ腕力によりアトロシアスへと高速投擲される!!
仮にモータルならば鉄板を投げつけられたようなダメージを受けるだろう!
しかしアトロシアスは直立不動のまま胸で平然と受け止めた。圧倒的弾力!

「あらごめんなさい。フフ、カワイイ♪」

わざとらしく目を瞬かせ、柔和な笑みを崩さず袖を通すアトロシアス!
耳まで真っ赤にして両手で顔を覆うトゥルーハート!
そして二人を交互に見つめて首を傾げるブルースチール!
部屋のアトモスフィアは混沌を極めていた。

「カワイイといえばあなたもね、ブルースチール=サン」
「私?ナンデ?」

電動ザ・イスを動かし、右腕をハンガーに掛け直すブルースチール。
ガコンプシュー!ジョイント解除!

「ナンデもなにも、そんなに小さくなっちゃって。
 フフ、もしも今、敵のニンジャがエントリーしてきたら大変ね?」

海洋哺乳動物特有の艶めいた光沢ある手指がブルースチールの頬へ伸びる。
アトロシアスは未だ生身部位である彼女の頬や髪を軽くつねり、引っ張り、撫でたりして楽しげに弄ぶ。僅かに開いた口からノコギリめいた歯が覗き、
分厚い舌が唇を舐める。トゥルーハートは少し気まずく視線を泳がせた。

「……くすぐったいよ」
「アハハ、いいわァ…とっても素敵」
「ンアッ」

アトロシアスは赤ん坊にそうするように、軽々と電動ザ・イスからブルースチールの身体を抱えあげ、ハグをした。暴力的豊満がブルースチールの視界を完全に封鎖し、同時に空気の流れも遮断する。

「ンン、アバッ!ンアーッ…」

しかし手足のない今のブルースチールにはもがくことすらままならない。
死肉の上でのたうつ蛆虫めいて身体をくねらせながら、成程確かにこの状態で長時間過ごすのは不用心に過ぎたとブルースチールは反省していた。

「ブ、ブルースチール=サン!?ダイジョブ!?」
「ダイジョブよー、何が来ても守ってあげる。ネ?トゥルーハート=サン」
「そうじゃなくて!いやちゃんと守るけど!!ブルースチール=サンー!」
「モガアバー……」

ケイオス!こういった状況は平安時代の剣豪ミヤモト・マサシがかつて的確なコトワザを以て表している。即ち――スリー・ウィメンズ・カシマシ。

◇◆◇◆◇

「オバケについて話し合いが必要だと思う!」

ブルースチールが豊満圧迫による酸欠状態から開放されて暫くしたあと。
トゥルーハートの発案によって三人はリビングに集まっていた。
話し合いとは勿論、この部屋で住人を変死させたという恐るべきオバケの情報収拾と、その対策についてだ。トゥルーハートはオバケが恐ろしかった。オバケを怖がらない女の子などそうそういないからだ。

「今わかってるオバケの情報はどのくらいあるのかしら?」
「待ってね。エート、死亡直前のIRC-SNS通信記録によると…」

三人で部屋備え付けの有線LAN端末に刺したUNIXのモニタに齧り付く
ニンジャ達。暇な無軌道大学生めいた光景だが、彼と彼女らは真剣である。
途中でカワイイ服や新型サイバネや賞金首情報などに横目し、夜間まで及んだ調査の結果、オバケは『タマシイ・ホノオめいた形状』であり、犠牲者は
呑気にもバエ重点と宣ってそれを撮影しようと試みていたことがわかった。

「ミテーチョースゴーイ」
「オバケ?マ?オバケスゴーイ」
「カワイイー」

荒い画質の動画から知性の欠片もないチャントが響く。しかし、次の瞬間!
けたたましい悲鳴と共に、撮影者がスマートフォンを取り落としたのだ!!

「アイエエエェ!?」
「アイエエエナンデ!?オバケナンデ!?」
「オカシイ!本物とか絶対オカシイ!アイイイ!!」

住人達のパニック絶叫が響く中、落下したスマホがピントのぼやけたカメラで天井を撮り続ける。そして…ナムサン、そのカメラは確かに捉えていた!

おどろおどろしく宙空を漂う、不気味な青紫色の炎を……!!

「アイエエエエエエェ!!?」

トゥルーハートが絹を裂くような悲鳴をあげる!
ニンジャ視力を持っている読者の方々もそうであろうが、ニンジャに粗雑な合成映像による欺瞞などは通用しない。何より一緒に見ているブルースチールとアトロシアスの眼にも、その青紫色の炎は『本物』だと映ったのだ!

「……映像はこれで終わってる」
「フーン。ざっと見た所、ちゃんとしたオバケに見えなくもないかしら。
 トゥルーハート=サンはどう?」
「ナンデ二人共そんな冷静なの……?」

小動物めいて身体を縮ませ涙目で震えるトゥルーハート。
ここにそういう性癖の者が居たならば、かの世界的オードロボが得意とした前後準備動作であるルパン・ダイビングを躊躇なく敢行していただろう。
だがトゥルーハートにとって幸運にも、ブルースチールにもアトロシアスにもそういった趣味はなかった。トゥルーハートにとって不幸だったのは、この二人が各々の形でチームメイトを、ユウジョウを大事にするニンジャだったこと。そして一人は純粋な善意で、もうひとりは悪戯心で動いたことだ。

「トゥルーハート=サン、やっぱりオバケコワイ?」
「う、うん……ゴメンナサイ……」

首を傾げるブルースチールに俯くトゥルーハート。
女の子として正しい反応。しかし彼の胸中には複雑な思いが渦巻いていた。

「じゃあこうしよう。オバケを倒すまで私達と一緒に寝ればいいよ」
「エッ」

ドット・アイズ状態で顔を上げるトゥルーハートを見て、アトロシアスは口角を上げてその鋭利な歯を顕に、とてもいい顔で笑った。

「フフ、楽しそうね。フートンは1つでいい?」
「大きいの使えばそれでいいんじゃないかな。カワノジとかやってみたい」
「ウフフ、それならトゥルーハート=サンが真ん中ねぇ…♪」
「エッ、アイエッ、待っ」
「イヤーッ!!」

うろたえる彼を尻目にアトロシアスは連続側転!さらに高いニンジャ脚力とバイオ義体の筋肉量が生み出す類稀な脚力で一息で自身の寝室へと跳び……ナムサン、一人で使うにはオオキイだが3人で入るにはあからさまに小さ過ぎる絶妙なサイズのフートンを取り出してきたのである!

「こんなのでどうかしら?」

アトロシアスの問いにブルースチールは…ブッダファック!テッコの親指を力強く立て「良い」を示している!トゥルーハートはこれでも彼女らと対等の実力を持つニンジャだが、この流れを独力で断ち切るビジョンが全く浮かばなかった。スレンダーと暴威豊満にハサミ・ウチされた自身を思い、彼のニューロンは己の過去を次々に写し始める。ソーマト・リコール現象……!

(………ああ、そういえば…)

年少であるトゥルーハートにとって、思い出せる記憶は多くはない。その過半は、己がカチグミだった時代。母は去り、厳格な父に自身の後継としての役目のみ求められた日々。冷めきった高級デマエ、毎日の模擬センタ試験。採点、暴言と罵倒、ひとりきりの部屋…家族の温もりなど知る由もない。

(………何かするわけじゃないし、いいよね…?)

楽しげにフートンの敷き場所を吟味する二人のトモダチを見て、彼の顔が少し緩んだ。油断ならぬ状況だったが、それでも、決して嫌ではなかった。

かくて3人の奇妙なニンジャ達の夜は更けていくのであった。


◇◆◇◆◇

通常、オバケが出るとされるインシデント物件を好んで買うような人間は存在しない。いるとすれば『オバケなどこの世に存在しない』と断ずる、日本人にあるまじき狂信的アンタイ・スピリチュアル思想の持主か、或いは単純に「安い」ことに釣られる頭の軽いワカモノである。

そのニンジャはそういったワカモノをターゲットとして、残虐なるファック&サヨナラ行為を繰り返していた。狙うのは「チョットイイ~カナリイイ」クラスのマンションの上階。バカ・アンド・スモーク・ライジングのコトワザを引用するまでもなく、そういった愚者は徒に高所を好み、破滅する。

価格帯を「チョットイイ~カナリイイ」に設定したのは、「サイコウ」帯以上はニンジャといえどセキュリティ突破が厳しく、それ以下のマンションではそもそもインシデント化による価格低下が餌として機能しにくいからだ。

そして何よりも、彼のターゲットとなる女性は「ルームシェア」という行為に比較的抵抗が薄い。男性ならば「ソコソコ」帯に落としてでもプライベート重点を貫くだろうが、インシデントによる低価格化とワリカン行為によるオトク倍点、さらに多同位的レッドシグナル・ワタル効果の相乗によって「チョットイイ~カナリイイ」帯の高層インシデント物件の購入率は女性、しかも3~4人のルームシェアが非常に多くなる。まさにカモネギである。たまに男が混ざるがそれは見せしめに殺すのに丁度いい肉袋になるだけだ。

このマンション『ツイノスミカ』37階564号室への侵入は、彼にとって4回目。設備よく前後中の見晴らしも悪くない、お気に入りの狩場だった。無論、同じ部屋で変死事件が重なれば、マンション側は重く見て対象の部屋にモリジオ・リチュアルを行い封印するなどの処置を行う事もあるだろう。
それで構わない。そうなれば事件は自然にイントゥ・ラビュリンス。
星の数ほどある同じようなマンションで、また同じ事をするだけだ。
ブッダファック!何と邪悪にして緻密なるニンジャ計画性か!

「ハァーッハァーッ……筋肉質ボーイッシュ女子!豊満ケモノパンクス!
 オイランドロイドも連れてるとは随分倒錯的だなぁ、イケナイぞ!!」

狙うは先程ソウルホノオ・トーミで視覚的ファックを行った上玉の女たち。
エントリーし、脅し、ジツで苦しめ隷従させ、そしてファック&サヨナラ。
いつものオタノシミを思い描き、彼はここまでに一度達した。

「ではまずはたっぷり脅かしてやるとしよう。俺は失禁する女をファックし
 しかる後自分の粗相を自分の口で01010101が大好きなのだ!!

ナムアミダブツ!よいこのnoteにはとても書けぬ品性下劣性癖!邪悪!!
枯れ葉めいた色の装束を纏ったそのニンジャは564号室の扉の前に立ち…ナムサン、両手で奇怪なサインを組み始めたのである!

「ソウルバーニング・ジツ!イヤーッ!!」

ワッザ!?不法侵入中故に若干押し殺したシャウトと共に、彼のノッペラボめいたメンポから超自然の青紫色の炎が複数現れたではないか!しかしこれは違う!確かにオバケの一種であるヒトダマに酷似しているが、これは荒唐無稽な怪現象にあらず!ニンジャの使うシンピテキ・パワ、即ちジツだ!!
青紫の炎は厳重なオートロック・フスマをトーフめいて透過!室内侵入!!

「アイエエエー」
「オタスケー」
「コワイー」

中から聞こえる阿鼻叫喚をニンジャ聴力で拾い、メンポの下の目を細める。
部屋の内部を破壊してしまっては単なるハック&スラッシュ犯行と同じだ。
そうなれば普通に警察を呼ばれるかもしれず、それは実際コマル。その点このジツは物理的破壊力はないが、そのビジュアル的オバケらしさでモータルを即座に恐慌状態に追い込むことができ、体内に侵入させればジョルリめいて操ることも可能という恐るべきものだ。ソウル憑依者に過ぎぬ彼は壁越しにはそれほど緻密なコントロールができなかったが、最終的に侵入ファック中ゼロ距離ジツ行使が可能なので問題にならぬ。かつて古代リアルニンジャが屍兵を軍勢と化して操ったとされるジツを、彼はモータルに変態的行為を強要するため便利に用いているのだ。何たる冒涜めいた非道卑劣か!!

「フィーヒヒ…畏れるがいい。失禁しても構わんぞ!」

キャバァーン!先程から地味に続けていたハッキングにて電子ロック解除!
障害をクリアした彼は部屋の中に入ると努めて静かにフスマを閉じ、改めて回転ジャンプでリビングへとエントリーした!!

「動くな、私はオバケでありニンジャ!これから貴様らに罰を…ヌゥッ?」

彼は困惑した。本来ならこのエントリーに合わせ心地よい悲鳴や失禁音が聞こえるはずなのだ。だが真っ暗な部屋には時計の運針音以外は何も聞こえずそれどころか一切の存在の痕跡がない。そして異変を悟った彼のニンジャ第六感が警鐘を鳴らすより早く、部屋の電気が一斉に点灯したのである!!

「ワッザ!?」

急激な光に怯むニンジャの前に、回転ジャンプでエントリーする3つの影!見よ!彼女らは既に装束を纏いアイサツ姿勢だ!

「ドーモ、オバケ=サン?アトロシアスです」
朗らかな笑顔と豊満、しかしぬらりとした光沢の肌に漲る縄めいた筋肉!
「ブルースチールです。ソウカイヤな」
表情を伺えぬゴーグル、その四肢は恐るべき戦闘用サイバネ!胸は標準!
「トゥルーハートでーす♪ オカクゴ、ヨロシ?」
最も正統派カワイイだが、声と体つきは紛れもなく男!!ニューロン混乱!

「……アイ、エ」

哀れなニンジャは狼狽し、彼らの装束にあしらわれた威圧的クロスカタナのエンブレムを見て、漸くオノレの軽率と、それが招いた確実な死を悟った。

しかしアイサツされれば応えねばならない。古事記にもそう書かれている。
故にそのニンジャは決断的に手を合わせ、オジギし、アイサツした。

「ドーモ、ソウカイニンジャ=サン。カレオバーナーです」
「一応聞くけど、前の変死事件も君?」

ブルースチールのゴーグルの奥から氷のレイピアめいた視線が突き刺さる。
カレオバーナーは無言で頷くことしかできなかった。

「何が目的?」
「目的だと?知れた事よ。俺はこの偉大なるニンジャソウルに選ばれし男。 
 故に愚昧なる女共に己のウカツを思い知らせ、服従させ、そしてファッ」

「「「イヤ―――ッ!!!」」」
「オゴゴアバッバッバババババグワ―――――ッ!!!!?」

ゴウランガ!三方向から無慈悲カラテ連撃全弾直撃!!

「サヨナラ!!」

カレオバーナーは爆発四散した。
彼は実際、タマシイ・ニンジャクランのグレーター級ニンジャソウル憑依者だったのだが、その恐るべきソウルバーニング・ジツは再び闇に葬られた。


◇◆◇◆◇

その数日後、3人は『ツイノスミカ』を引き払い、それぞれの住処に戻っていった。ブルースチールは「オバケは退治したし住み続けても良いのでは」と2人に持ちかけたが、アトロシアスの「他人が好き勝手前後してた部屋のほうがオバケより生々しくて嫌じゃない?」という返答にぐうの音も出ず、シェアハウスの解散を了承した。彼女のアホ・ヘアは悲しげにしおれた。

ちなみにトゥルーハートは別居してからもしばらく寝る前に色々と困った。

「うぅ……もうシェアハウスはこりごりだよ~~~!!」

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