「例の漫画」のマネジメントについて考察してみる

お久しぶりのnoteです。まきなLv39です。一応生きてます…。前回の記事の続きを書きたかったのですが、今回は少し寄り道させてください。

というわけで今日の本題です。いま巷で流行っている「例の漫画」ですが、個人的にマネジメントについて腑に落ちない感があったので、拙いながら整理しようと思い立ちました。

Q.例の漫画って何ですか?
A.探せ!

以下の内容で進めていきます。

1. 発注者と受注者の状況整理

まずはこの漫画から読み取れる発注者と受注者の状況を整理してみました。

 ■発注者
 ・インディーズゲーム制作歴が長い
 ・デザイン周りのスキルはある
 ・初めての外注
 ・受注者とは会ってから3日程度

 ■受注者
 ・有名な芸大の学生(社会人ではない)
 ・油画のスキルは高い
 ・ゲームイラストは未経験
 ・初の仕事受注(仕事の実績がない)

こんなところでしょうか。
では続いてこの漫画のゲーム開発プロジェクトの状況を見ていきます。


2. 本ゲーム開発プロジェクトの目標確認

個人的には以下の内容と読み取りました。

 【スタート】
 ・インディーズとしてそこそこ注目されている

 【ゴール】
 ・ゲームの注目度をさらに上げる(MUST)

 【課題】
 ・デザイン周りを担当できる人材の確保
 ・デザインの継続的な供給

よりクオリティの高いゲームを作って注目度を稼ぐために、デザインを重点的に強化していこう、という趣旨のプロジェクトかなと思います。


3. チームマネジメントの評価

この漫画の登場人物は1チーム3名しかいないので、チーム内のマネジメントが該当するかと判断しています。
指標としてはPMBOKの知識エリア体系を基にします。
10エリアのうち、今回の漫画に関係がありそうな5エリアを抽出しました。

 ・コスト管理
 ・スコープ管理
 ・資源管理
 ・コミュニケーション管理
 ・リスク管理

次の内容は発注者が今回のプロジェクトリーダーと想定した場合の、これらのエリアに対する発注者の行動評価となります。

■コスト管理
○人材調達コストを安く抑えられている
 →(お値段そこそこという言葉から類推)

■スコープ管理
×当初のゴールとは別のゴールが発生し、方向性がブレた
 →チームとしての成長という目標が突如POPしている

■資源管理
○優秀な外注を確保した

■コミュニケーション管理
×何がダメなのかを伝えようとせず、受注者とのコミュニケーションを阻害している
×受注者の作業プロセス改善の要望(より具体的な指示)を却下している
 →具体的な指示が出せない場合でも、何らかのアプローチ方法を検討する必要はある
 →(さらに言及するならば、発注者は今までデザイン周りも担当しているので、具体的な指示は出せるはずではある)

■リスク管理
×明確な根拠に基づいた行動をしていない
 →「人を見る目がある」というのは主観でしかない
×受注者の作画以外の能力を考慮していない
 →仕事経験がない人物に「発注者の欲しいものを作る」という、ヒアリングなどを含めたコミュニケーション能力も問われる分野の仕事を丸投げしている
○ダメならやめてもいいという選択肢を予め提示している
 →突然辞められるよりは良い


これらをまとめると、「優良な外注先をコストを抑えたうえで確保できたが、受注者との十分なコミュニケーションができておらずリスク管理も不十分。さらに途中で目標を追加しており、そのことに関してのケアもしていない」というところでしょうか。初めての発注ということを鑑みると、問題解決のためのフローも十分ではないと考えられるためプロジェクトの状態としてはあまりよろしくはないのかなと思います。この状況下において、受注先がスペシャルなパワーを発揮して問題解決してしまったので、その辺りが腑に落ちないなあと改めて感じます。これを踏まえて次の内容を検討してみます。


4. 正常な状態を考えてみる

「ではどんな状態のプロジェクトであれば良かったのか」ということを考えてみます。先ほどの内容を整理すると、

 ・当初立てた目標を忠実に守り、プロジェクトを進行させる
 ・受注者の立場を考慮したコミュニケーションを行う
 ・リスク分散のための行動を起こしておく

という方向で動けばいいのではないかと思います。
これらのポイントに基づいてプロジェクトの進行を考えてみると、

「チームとしての成長は次の目標とし、まずは受注者にデザインを供給してもらうことを主眼とする」
「受注者がこちらの意思をくみ取りやすくするため、積極的に情報開示していく」
「チームの作業プロセスを見直す」
「自身の主観をなるべく排除して、客観的なリスク管理を心がける」
「チームメンバーの能力を正確に把握し、不足している個所を埋める行動をとる」

これくらいやれば、ある程度平穏なプロジェクトにはなりますかね…ところでこの改善したと思われるプロジェクトを漫画にしたら面白いんでしょうかこれ。


…というようなことを考えると、あの漫画はあの展開でよいのかなあ、なんて思ったりもしたのでした。
ひとつの漫画に色々と考えさせられた一日でしたね…。
駄文でしたが最後までお付き合いいただきありがとうございます。
それではまた。

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