未踏に応募して落ちてしまったので供養します(2024)
はじめに
こんにちは、@makiartです。
みなさん、未踏についてご存知ですかね?
未踏(未踏事業)とは、IPAのサイトで記載されている内容を引用すると、
この記事は、つい先日にIPAさんから正式に不採択の通知を受け取ったので、2024年度の未踏への応募することを決めて、提案書などの成果物や取り組んだ内容について、不採択になりました;;というところまでを記事にしています。
この記事を書く動機としては、
自分の取り組みの記録として
不採択とはいえ、少しは今後の応募する人に対して参考になれれば
勇者ヒンメルならそうした
という感じです。
未踏に応募するためにある費やしたものをタイトルにあるように供養する記事となっています。
誰かにとって少しでも有益なものになれば幸いです🙏
また、不採択となった提案資料やアイデアを出すときのFigJamなどについてはGithubのリポジトリで公開しています。
対象読者
未踏の応募に興味のある方
この記事というのは、未踏に落ちたという内容であり、読む人によっては「落ちた内容は参考にならん!」みたいな思想の方もいらっしゃるとは思いますので、時間を効率的に使うためにも画面の前で合掌し、ブラウザバックをしましょう笑
また、私はところどころで記事にくだらないネタを引用しますので、ご了承ください🙇
また、せっかく記事を公開するので、できる限り応募するまでの成果物などをGithub上で公開しています。多少自分の思想的な部分が垣間見える部分があると思いますが、良い意味、悪い意味だとしても、それはほんの一部の私なので、どうかその文章のみで私という人物を定義づけないようにお願いします🙏
この記事は未踏不採択となった事例を紹介しているものです。以下に書く内容というのは一種やって当たり前のことかもしれません。ですが、これは不採択となった物ですので、この当たり前のことをやるだけでは採択されないよということも意識して読んでもらえばと思います!
しくじり先生 tl;dr
私の言語モデルは優秀ではないので、この記事全体の文章の質は保証できません。したがって、とりあえずこの記事のまとめとして、下記を示します。
こんなの当たり前じゃんみたいに思われるような内容ではありますが、よりその部分を意識させるものだと思っていただければ幸いです。
アイデアが一種ありきたりであった。
みんなこうなったら良いよねと思うようなアイデア
ここの独自性を出すことができなかった
もっと早めにプロトタイプを作り、アピールすればよかった
まずは机上でしっかり固めようという意識が今回強かった
極端なことはせず、同時並行で試したりして、得られた示唆をアイデアに反映するべきだった
同じ熱量で取り組む仲間を見つけることを怠った
1人で思考し、進めていったため、周りからFBをもらったものの、アイデアの創造性が活性化されにくかった
タイムライン
まずは、私がどのタイミングから未踏の応募に取り組み始めたのか、時系列で概観を説明できたらと思います。
23/11月中旬
未踏に応募することを決め、情報収集を開始
24/01月下旬
本格的にアイデアを練り始める
24/02月中旬
アイデアを固め始め、周りの人たちにフィードバックしていただいた
徐々に提案書を書き始める
24/03月上旬
プロトタイプ(提案書に載せるデモ)の作成を始める
提案書を一通り書き終える
24/03月中旬(応募するまで)
提案書のFBをいただいて修正する
できる範囲のプロトタイプ開発に取り組む
応募する
24/04月中旬
二次選考の連絡が来なかったため、不採択が確定する;;
24/06月頭
正式に不採択通知を郵送より受ける
未踏に応募する人たちはどれくらいの期間をかけて提案する内容について取り組むのかはわかりませんが、私の場合、本格的に取り組み始めたのは約3ヶ月間でした。
どれくらい時間をかけたら未踏に採択されるのかというのは正直ないとは思います。ただ、必要条件として、提案書の内容を最低でも8ページ以上を埋めきれる時間は必要です。逆にそれ以外の時間は人によって変わってくるでしょう。
大体、応募までの流れを掴んだうえで、ここからは各フェーズに分けて書いていきたいと思います。
アイデア考えるフェーズ
提案書書くフェーズ
プロトタイプ作るフェーズ
アイデアを考えるフェーズ
私は、作りたいものがある→未踏をやるというよりか、未踏やりたいから→作りたいもの考えるというようなスタートでした。本来であれば前者であるべきだとは思います。とはいえ、大抵の人は、何かサービスなどを開発するときにキャッシュポイントを意識して開発することが多いと思います。ので、未踏をやりたいという起点で考えることは、作る物以外のステークホルダーを取り除いて、純粋に自分の作りたいものとはなんだという視点で考えられる良いきっかけになると思いますので、「今、作りたいものがない!」という人でも未踏をやる!という起点で考えてみると良いかもです。
前置きが長くなりましたが、アイデアを考えるために私が行ったことは以下になります。
自分の解決したいことを書き出す(FigJam)
ChatGPT等のLLMを活用し、アイデアを文章化していく
周りの人にアイデアを共有し、FBをいただく
行ったことだけ書いても、あまり身になることは少ないとは思うので、実際のFigJamの内容についても公開していますのでそちらをご覧ください!
1人だけのFigJamで見やすいとは言えないものとなっていますが、基本的には上から下にかけて最終的なアイデアに変化して行っています。
アイデアの変遷としてはざっくり以下のような流れになります。
自分の代わりに最適なコミュニケーション、行動をサポートしたり促したりするシステム
対象範囲が広く、それぞれの具体的な行動がぼやける、わかりにくい
他者とのコミュニケーションにフォーカスし、他者との関係を深めるためのハードルを低くできるような行動の推奨・遂行するシステム
なんとなく、コミュニケーション要らない論のような悪い印象を受ける
これでも、提案する内容が多く、提案内容の解像度がぼやける
自身のあらゆるコミュニケーションを記録し、自身の行動を改善することができるシステム
自身を取り巻く人たちとの関係性や会話特徴をデジタルと対面の両方の会話を記録することで可視化し、自身の社会活動を高度に理解できるシステム
こんな感じで、私の場合は大きななんとなく解決したいことを考え、その内容を取捨選択し、提案内容の解像度を高めるようにしていきました。
解像度を高める上で、意識すべき点としては、以下二つかと思います。
具体的な例をひたすら列挙する
なぜそう思うのかを深掘りする
これらも当たり前のことですが、意外と自分の考えていることは言語化できると思いきや単に抽象度の高いところで思考を止まってしまっていることがほとんどです。ので、定期的に意識すべき点かと思います。
この記事を書いていて思ったのは、具体例がすぐに出てこないようなアイデアというのは、早々に捨てて別のアイデアを考えた方が良いのかもしれません。 そのようなアイデアは、みんながなんとなくできたら良いなと思うようなアイデアで、自身の独自性のないものであるのかも。
独自性のあるアイデアというのは、自身の中で解像度が高いはずですからね。
アイデアが固まってきたら、提案書を書くフェーズに移っていくわけですが、その際はリーンキャンバスを使ってある程度内容を整理するのをお勧めします。それによって、提案書が書きやすくなると思います!
提案書書くフェーズ
アイデアが固まってきたら、提案書を作り始めましょう。提案書はアイデアが完全に決まってからというより、方針が決まってきたら作り始めるのをお勧めします。意外とマインドマップを作る時とは違う視点で新たな気づきを得ることができると思います。
今回は提案書をバージョンごとに公開しています。前節のアイデアの移り変わりが伝わる内容になっていますので、それぞれのバージョンを見てみると少し面白いかもしれません🤔
提案書を書く際は、ごりごりにLLMを使い倒して文章を作成していきました😊
具体的には、箇条書きで書きたい流れをざっくり作ってClaude Opus(from Perplexity)を利用して文章に変換してもらいました。自身よりも高い日本語力を活用していきましょう…。ちょうど提案書を書いているタイミングでClaude 3が公開されて運が良かったです。(個人的にですが、Claude Opusの方がGPT-4よりも作文力があるなという印象です)
これも当たり前のことかもですが、提案書を書く際は幅優先で書いていきましょう。とりあえず全部の項目を雑に埋めて徐々に解像度と質を高める方針で書いていくことで効率よく進めていけるんと思います!
また、提案書は書く内容が決まっているので、応募要項をしっかりチェックしておきましょう。
細かな点については実際の提案書を参照していただけたらと思います。
プロトタイプ作るフェーズ
未踏の応募をする上で、プロトタイプを作って見せることも重要な要素の一つとされていると思います。
稲見先生の言うように「プロトタイプはやる気の結晶」であるため、確度を高めるためにもどんなものであれ、プロトタイプは作ってあると良いでしょう。
私が作成したかったシステムは一つのウェアラブルデバイスでデジタルでの会話(SlackやLineなど)と対面での会話の両方を記録し、自身の社会活動を高度に可視化するシステムです。
私が提案書を作成し始めたタイミングは3月の上旬でした。約2週間で作れる何か見せられるものとして、提案するシステムのオリジナリティの一つであるデジタルの会話を一つのウェアラブルデバイス(カメラ)で記録する部分のカメラからPCやモニターなどの画面領域を認識して、文字認識が行える様子を動画にして提出しようと考えました。
提案書では、画面領域の検出はYOLOv8を利用すると記述していましたが、プロトタイプを開発する段階では、一般的な画面領域のみをセグメンテーションするためのモデルや学習のためのデータセットが見つかりませんでした。
ですので、デモでは、SAM(Segment Anything Model)というモデルを使って、ガチャガチャすることで、無理やり画面領域の検出を行なっている動画を作成しました。
実際に動画を作るために使用した、超雑なNotebookも公開していますので、興味ある人は覗いてみてください。特に参考になることはないと思います…。
そんあこんなで雑にプロトタイプを作ったわけですが、プロトタイプづくりはもう少し早めに取り組めばよかったなと思いした。
これはポジショントークかもしれませんが、私は大抵の場合作りたいシステムが浮かんだら、とりあえず作ってみることが多かったのです。しかし、それだと、途中で方向転換したときに作ったものが無駄になることも多かったので、今回はしっかり作る物をある程度固めてから作ろうと考えたのですが、プロトタイプについては、無駄になるという前提で作ったほうが、顕在化されていない提案書の穴などを見つけやすく、提案書を書くフェーズをより効率的に行えたなと感じています。また、プロトタイプを作成する期間がそこまで長くなかったので、より提案書に入り込んだコアな部分のプロトタイプ作成に手をつけられなかったのも少し悔やまれます。
審査フィードバックについて
3/14に提案書を提出し、1ヶ月後の2次選考の連絡が来ることなく、悲しい気持ちとなり、6月の頭に正式に不採択の通知と提案書についてのFBについていただきました。
多数の応募があったと思いますが、わざわざ私の提案書を読んでいただいたPMの方ありがとうございました。
自身のFBについては以下のような感じでした。
チャットやDMなどの記録の必要性
類似サービスとの差異化
ターゲットユーザと具体的な使用方法
未踏期間内での開発の実現可能性
ハードウェアを含む開発は一名では負担が大きくなるのではないか
また、「口頭での会話だけでなく、チャットやDMの記録も含めることで、より総合的なコミュニケーションの可視化が可能になるかもしれません。」というのが書かれており、提案内容が正しく伝わらなかったのかもしれないです。(or LLMによるもの?笑)
まとめ、結論
以上、アイデアを出してから応募して、不採択になるまででした。
私は今年度採択された未踏の内容や他の方の提案書について、読んでいないので自身の制作物だけでの考えにはなりますが、フィードバックなどを通して、やはり自身のオリジナリティが重要であるなと思いました。そして、自身のオリジナリティを形作るのは経験です。私は今回、アイデアを机上の上だけで考える時間の割合が多かったなと思います。それが結果としてアイデアの尖らせを鈍らせた一つの要因になってしまいました。自身のとりあえず作る、手を動かすという強みを最大限活かし、経験値を最大化すべきでした。
他にも色々と要因はあるとは思いますが、ここでは深くは触れないでおきます。
もし、より詳しく分析したいという方は公開している提案書であったりFigJamの内容を読んで考察してみてください笑
最後に
限られた期間の中でがんばって、不採択となり、悔しい気持ちではありますが、これは通過点として、これからも頑張ります💪💪
未踏に採択されたいなら勝つまでやれば良いわけですからね😊
最後にまた、四畳半神話大系の言葉を引用します。
このブログを見てることはほとんどないかとは思いますが、未踏の応募にあたり、協力していただいた方、本当にありがとうございました🙇🙇