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「新しい人」の方へ

ノーベル文学賞を受賞した作家・大江健三郎さんのエッセイに『「新しい人」の方へ』(朝日新聞社)があります。

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書店や図書館がお休みなので、書棚の本を読み返しています。この単行本は2003年発行ですが、今は新しい項が加えられて文庫になっているようです。

コロナ蟄居になってウェブサービスをたくさん利用していると、急速に時代が変わっていくことを感じます。デジタルの面だけでなく、環境の面でも、「温室ガス減少、過去最大の見込み」というニュースを聞くと、強制的とはいえ、変わらざるを得ないとも感じます。

大江さんはこの本の中で「新しい人」は、「新しい/人」ではなく、「新しい人」なのだと強調します。2001年に起きたアメリカ同時多発テロの発生をテレビで見た大江さんは、自身が「古い人」だったと思い知ったのだとも。

だからこそ、自身より若い世代に、「新しい人」のほうへ向かってほしいと書きつけるのです。このコロナ禍も、「新しい人」を志向するきっかけにするしかないと思わざるをえません。


「敵意を滅ぼし、和解を達成する『新しい人』になってください。『新しい人』をめざしてください。『新しい人』になるほかないのです。そして、そのためには、どんなに思いつめても、まず生き延びていなければならない。」(大江健三郎/『「新しい人」の方へ』)





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