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夏の終わりのゾッとした話。

夏の暑さが少し落ち着いた朝。

その日は室内よりも外の方が涼しく、
普段開けることがない窓を久々に開けて、外の空気をとりこもうとした。

ガララララ

久しぶりに開ける窓。

涼しい風が部屋の中に流れてくる。

空気の通り道を考えると、反対の窓を開けた方がいいな。

網戸を逆側に移動させる。

ギッ、ギギギッ

長い間動かしていなかった網戸が音を立てる。


家の中で一番大きい窓だったため、
腕を伸ばしただけでは反対側に届かず
逆側の窓に移動する。

ギギギギギギ

ガッ


おかしい。

網戸が閉まらない。


ガッ、

ガッ、

ガッ、


何度も引っ張ってみるが
ぴったりと閉まらない。


何かにぶつかっているような
手ごたえを感じた。


ガッ、

ガッ、

ガッ、



窓枠と網戸の隙間を
足元からゆっくりと頭の方へ
ながめてゆく。

ああ、サッシに虫が死んでいる。

ああ、汚れがたまっている。
掃除しなくては。


そんなことをぼんやりと考えながら、
目の高さよりも高い位置に
視界が動いたとき


ソレ

は、


あった。



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全身から血の気がひいた。


あわてて窓をしめる。


その瞬間、網戸に巨大な生き物が飛んできた。


間一髪。

5センチをこえる生物は
網戸にくっついて蠢いている。

一瞬でも判断が遅れていたら
部屋に入っていただろう。



さて、

おわかりいただけただろうか。


そう

「蜂の巣」


家の窓に、蜂の巣が出来ていたのだ。


巣の形状と、蜂の姿から
どうやらアシナガバチと推測される。

窓の側に赤ちゃんを寝かせていた。

もし、室内に入ってきていたら、
赤ちゃんを刺したかもしれない。


大きな音に驚き、泣きわめく赤ちゃん。

網戸で思いっきり潰してしまった蜂の巣。

相当ご立腹であろう、飛び回る蜂。



蜂の巣は縁起物らしいが、
怖いものは怖い。

旦那と実家に相談して駆除を決めた。


翌朝、おそるおそるカーテンを開ける。

うん、夢じゃなかった。

網戸がめりこんだ蜂の巣に、
元気な蜂が動き回っている。

そしてソレは長い足をぶら下げて、
夏の空に消えていった。



具のない🍙まき子(@makicome1986








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