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ほしいもの

夏休みを取った。正確には、夏休みなう。
昨年から今の事業の立ち上げにバタバタで、年末年始以外まとまった休みが取れなかったので、こんなにゆったり過ごせるのはいつぶりだろう。

そうは言ってもこのご時世、遠出もしづらいのだが、一応ワクチンは2回打ち終わり2週間ほど経っているので、学生時代に過ごした街を久々に訪れている。
懐かしの場所を散歩するなど気の赴くままに過ごしているが、今日はホテルでゆっくりしている。

昨日、バイトしていた居酒屋に顔を出した。
といっても今は営業休止しており、お店の内装工事をしているとのこと。
店長が食材を仕入れていないからとデパートで鯖寿司を買ってくれていた。中途半端に口が開いたままの割と良い日本酒が数種類あり、そのままにしていても古くなるだけだからと好きなものを飲ませてくれた。

お客さんのいない店内で久々に酒を飲み交わす。
仕事の話、恋愛の話、店長の子どもの話、そして飲食店が置かれている状況の生の声。
色々話して気づけば4時間半は経っていた。

終盤に差し掛かった頃、何かの話の流れで店長にこう聞かれた。

「あんたは、何が欲しいん?」

問い詰めるような言い方ではなく、純粋な質問という感じ。その後店長はこう続けた。

「俺は、金が欲しい。金を子どもに残さないと」

少しはっとしてしまったのは、欲しいものがその場で何も思い浮かばなかったことである。
特にない、というのが(口には出さなかったが)その時の回答だった。

それからというものの、昨晩から先ほどに至るまでボーッと考え続けている。私の欲しいものは一体何なのか?

金、地位、名声、安定、愛、美、夢
広いお家に住みたい、出世したい、有名になってステータスを上げたい、あるいはどこかの場所に落ち着きたい、結婚したい、子どもが欲しい、老けたくない綺麗になりたい、でっかい夢を持ちたい、、

うーん、なんかどれも渇望しているものではない。
子どもは数年後欲しいけれど、今じゃないな。。

自由が欲しい?自由ってのは何なんだ。自由と責任は表裏一体。自由が欲しいと言っている人にはなんだか胡散臭さを覚える。

色々考えた結果行き着いたシンプルな答えは、「時間」だった。時間が欲しい。
じゃあ時間があれば何をしたいのか?

たくさん本を読みたい。
たくさん映画を観たい。
歴史の勉強とかやり直したい笑
料理をしたい。
絵を描きたい。

で、思った。別に特別なことないじゃんっ、と。
そして時間が欲しいと言っている人に必ず向けられる言葉は、「時間は作るものだよ」ということ。

その通り。

少し前に児童書のモモを読んだ。
現実の世界にモモはいないけれど、灰色の男たちは存在している。無意識のうちに灰色の男たちに支配されている、かもしれない。

この回はこれくらいにして、次の回で時間をどう作るか書き留めておきたいと思う。

最後に。
欲しいものがすぐに思い浮かばないということは、多分自分は結構満たされてる。毎日必死に働いて、それが充実してたりもするし、ちゃんと評価してもらえるから上司からの愛情も感じている。良い人間関係に恵まれている。
働いた後の酒は美味いし、ご飯も美味い。
心配してくれる家族がいる。きょうだいもいる。
毎日通る公園の自然が綺麗だと思う。蝉の合唱も好き。
お風呂が気持ちいい。

そんな感じで、生きている。生きているって思いながら生きている。
当たり前のようにこんな日々を過ごせることに感謝したい。
私は間違いなく、幸せなのだ。

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