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行動変容をもたらす映画

2020年も残り2ヶ月となり、今年観た映画の自分的TOP10を考える季節となりました。今年の No.1映画、「TENET」か、それとも(ちょっと反則ですが)私に行動変容を促してくれた政治ドキュメンタリー3本とするか、迷う日々です。

「なぜ君」「ムヒカ」「はりぼて」の3本の映画は、ここ数年、将来を考えるたびに付き纏っていたモヤモヤを晴らすためのきっかけをくれました。

これまで、政治にはまるで興味が無く、むしろ敬遠していました。選挙には毎回行っていますが、支持政党などもなく、都度“まともに見えそうな人”に投票するのみ。

政治家は信用できないし、自分には縁のない世界だと思っていました。けれどこの3作を観て、一体いつまで自分は、将来を想像するたびに不安になったり、政治問題にただ愚痴をこぼしたり、それだけの毎日を送るつもりなんだろう?と不安になったのです。

そしてこの3作を、ただ“消費”するだけで終えたくもなかったのです。政治とは、限りなく“自分ごと”で、自分と、次の世代の子ども達の生きる世界のこと。未来を、今以上に暗いものにしてしまうのか、明るく照らせるかは、“今、自分たちに何ができるか”にかかっているのに。「良い映画だったね」で終わらせていいのかと。

そこで無知な自分をいったん飲み込んで、学ぼうと思い立ちました。いくつか読んでいくなかで、今の自分にしっくりきた本を挙げます。

同じように感じる誰かの“きっかけ”になれば幸いです。


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◆「ええ、政治ですが、それが何か?自分のアタマで考える政治学入門」
岡田憲治 著(明石書店)

政治という言葉には悪いイメージがこびりついている。汚い、金がかかる、うさんくさい…。だが、そうやって政治を忌み嫌い隔離し、放置することで、世の中はある一部の政治にコミットする人間の進みたい方向へと誘導される。政治を特別扱いせず、普段づかいにすることが社会をよりマシに変える第一歩。政治と言葉の問題に取り組んできた政治学者が、政治にこびりついたイメージを払しょくすべく、政治とは何かを豊饒な言葉で語りつくす。(amazonより)

年下の友人と話していた時、「最近、政治の本を読んでいる」と言ったら「えー?きゃはは」と笑われました。「そんなお堅い、意識高い感じのとこにいっちゃうんですか?」というニュアンスかなと。去年までだったら、私もまったく同じ反応をしていたと思います。

政治って、堅いし、小難しいし、今自分に必要なこと(ビジネス戦闘力を高めるとか?)に、何の役に立つの?と。こんなに遠いものになってしまった政治を引き寄せるのは、並大抵のことじゃないけど、イタリア戦国時代よりはまだマシだと思うのですよね、現代日本って。言葉があるのだから、言葉を尽くせば、やってできないことはない、はず。

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◆「なぜリベラルは敗け続けるのか」

岡田憲治 著(集英社インターナショナル)

私は本書執筆で「友」を喪う覚悟を決めた──著者
リベラルで知られる政治学者が書き下ろす警世の書。 いつまでも「オトナ」になれない日本の野党勢力を痛烈に批判する。 (amazonより)

“ちゃんと政治をやろうよ”というメッセージに膝を打つ。“残り時間わずかな試合で、綺麗なパスを出すことや、サッカーの本質にこだわった結果、サッカーの試合に負けているようなもの”。そうだそうだ!と激しく同意したくなります。実現しなくちゃ、いくらお題目を並べていても意味がない。

やるべきことは「現実に引き摺り回されず、思いを学びほぐしながら、それを胸に、語り合える友人を増やすこと」。あと「ダンケルク」を例に挙げて語られている点も、映画好き、ノーラン監督好きとしてはGOODでした。

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◆「リベラルは死なない 将来不安を解決する設計図」

井手英策 著(朝日新書)

「貯蓄による自己責任」か「税による痛みの分かち合い」か。選挙のたびにリベラルは劣勢を余儀なくされる。社会的弱者への配慮や人権の重要性を訴えれば訴えるほどそっぽを向かれる。けれども、新自由主義が吹き荒れたこの国は今、利己的で孤立した「人間の群れ」に変わりつつある。しかもみんなが将来不安におびえている。だからこそ「誰も切り捨てない」「弱者をつくらない」、そんな社会保障を実現する仕組みが必要だ。超党派による本気の提言。(amazonより)

「All for All(みんなの税は、みんなのために。)」。2017年総選挙の直前に民進党が分裂したため、お蔵入りになった政策。心ある政治家が集まり生まれた政策が纏められています。“有権者と政治家がともに未来を語り合うこと以外に解決の道はない”という言葉に、ぐっときました。

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◆「日本改革原案: 2050年成熟国家への道」

小川淳也 著(光文社)

【日本改革原案の柱】
日本が直面する緊急課題は、「人口構造の激変」「人口減少の加速」「エネルギー環境制約」「超国家問題への国際政治の遅れ」。この四つの課題に取り組むべき国家戦略として以下の四つを挙げる。「生涯現役」「列島開放」「環境革命」「国際社会の変革」。必ずや成し遂げなければならない革命である。(光文社サイトより)

「なぜ君は総理大臣になれないのか」を観てから、読みたくて仕方なかった小川議員の著作。図書館にありました!やった!
何度でも読み返したいので、電子書籍で再販してほしい…と願っています。

よくここまで「選挙を背負う政治家にとって勇気ある発信」をされたなと思います。日本の未来に希望が持てる一冊でした。焦燥感も凄いけど、これが実現できたら、とワクワクします。夢物語には、したくないですね。


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岡田先生の本を読んで、主権者教育——というより、意識改革が必要なんだなと、つくづく思いました。

たとえ素晴らしい政治家が表舞台に立てたとしても、ひとりひとりがその言葉に耳を傾け、理解しようと努めないと「消費税上げようとしてるからダメ」「グレーな言い回しをするから、なんか信用できない」と引き摺り下ろしてしまいかねない、と思うから。

引き続き、興味の矛先が向いたものは、どんどん吸収していきたいと思います。「次の世代のために頑張った、マシな日本を手渡せた」と笑える未来を目指して。

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