かぞくのはなし①

ここでは、ある“かぞく”のことについて書いていきます。
重い話だと思うので嫌な人は去ってもらって構わないし、事実なのか創作なのか、とかも、ご理解はお任せします。

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episode1

「偽装結婚」「契約結婚」
こんな言葉を聞いたことがある人は多いのではないだろうか。マンガやドラマに割とよく出てくる。結局最後は結ばれる系のアレ。

じゃあ、「偽装離婚」は？
たぶん聞いたことがある人は少ないだろう。
というか そもそも何それ？と思うだろうか。

これは、ひとつの家族が「偽装離婚」がもとで
壊れていくお話。

○登場人物
・アキ：高校3年生
・リク：中学3年生、アキの弟
・モモ：小学3年生、アキの妹
・ハル：小学1年生、アキの弟

アキの両親はもともと、そんなに稼ぎが多い方じゃなかった。一応、共働きだけど、アキとリクがいっぺんに受験生になった時に必要なお金をちゃんと払える自信はなかった。

だから2人は、ある作戦を考えた。
それが「偽装離婚」。
これは奨学金などの資金援助をより多く受けるための手段で、

1.法律上 離婚する
2.母が子ども4人分の親権を持つ
3.シングルマザー用の特別な手当てが入る
4.それを貯金して受験費用にする

という流れで作戦は実行された。

これが2年前の話。

それからアキの日常は大きく変わった。
一番ひどかったのは家事。兄弟4人はみんな年下だから、料理とかの負担が全部回ってきた。

アキはバイトもしてたし部活もやってたから、学校に行きバイトに行き帰ったら家事をやり…
勉強する時間なんてとれなくなった。

心に余裕がなくなっていった。

朝なかなか起きられなくなり遅刻回数が激増。
出席日数も足りないし、休日に部活がある時は部員のみんなにも迷惑をかけてしまう。

学校の先生やスクールカウンセラーにも相談してみたけど、大人に言われるのは決まって同じこと。


「やっぱり自分が変わるしかないから…」

周りに期待してても何も良くはならない。
なら自分の心の持ちようを変えるしかない。
そういう話。

「気持ちの波とうまく付き合って勉強しに学校においで」

私が悪いわけじゃないのに。
どうして私が変わらなきゃだめなんだろう。

一度 嫌な気持ちになってしまったら自分ではどうにもできなくて、時が経つのを待つしかなくて、そうすると先生は怒るし、進級もできないかもしれないし、不安で、
でもどうしようもなくて、また暗くなって落ち込んでしまう。

この繰り返し。