アルバムを捲るように… 「one oF them」を観劇して沸き上がる想い

これは、観劇評、などではなく、ただ単にたまたま観ることができたとあるお芝居から貰った、忘れてた僕の「想い」をつらつら綴るものです。独りよがりな言葉の羅列になるかもしれませんが、ご興味を持って頂けたなら最後までお付き合い下さると嬉しいです。

元々、舞台役者なぞを15年近くもやりつつも、色々あって役者を「封印」し、日々の仕事に忙殺される生活になって約7年。演劇は今でも大好きだし観にも行きたいのだけれど、仕事柄なかなか時間が合わず、とんと演劇という空間から離れた毎日でした。

それが、たまたま貰った公演案内…しかも送ってくれた彼女は、なんだかんだで10年以上も会っていない人。(まあ今でも演劇活動している事は知っていたが、直接関わることは皆無だった)

そして、これもたまたま奇跡的に公演日が休みの日だったので、懐かしさもあり、観に行くことを快諾。

懐かしさ

そう、そう公演の行われる場所は、劇場ではなく、大阪ミナミの小さなBAR…所謂、「カフェ公演」なのでした。そしてその場所は、かつて僕も公演を打ったお店でもありました。

しかし、観に行くよ、とは言ったものの、その彼女の出演するお芝居の内容もなにも全くノープランな状態でして…まあ久々に彼女の顔を見れるしBAR公演だからお酒やタバコも飲みながら気楽に観れるし、と、存外、内容をあまり気にせずに「ちょっと遊びにいく」くらいの感覚でお店に足を向けたのです。

客席へと入ってみれば、見慣れた面々、、とはいえ、それほどツーツーに仲が良い訳ではなく、

あーどっかでなんかお会いしたなー、もしくはどっかの舞台で観たけど名前がなー

くらいの間柄。多分、向こうもそう。そんな空気。で、互いに微妙な会釈を交わしあう。

そして、前説もそこそこ、舞台(とするエリア)の明かりは落ち、芝居が、世界が始まる。

広がり始めた世界には、男一人に女が二人。

すわ、朗読劇のような体で、それぞれ手紙や台本?を読み上げながら綴られる。

解き放たれる言葉…セリフを聞きながら、じわじわと

「この世界」

を理解し始める。

それはかつて

僕も関わり、一緒に芝居を作り(いや作らせてもらい)、とんでもなく芝居を嫌いになりそうでやっぱり芝居…演劇って世界が好きなのだと再認識させてくれた人の話。

人としては多分、とんでもなくクズだけど天才であったあの人。

それは、

今は亡き【深津篤史】という怪人を偲ぶ言葉の羅列でした。

深津篤史

知らない人は全く知らないだろうし、知ってる人からすれば

神か乞食か

くらいの、なんとも

怪人

としか言えない、とことん【演劇人】な人でした。

彼の人となりや功績は(またはダメ人間ぶり)は枚挙に暇がないのでここでは割愛します。気になった方はぐぐってみてください。

ここでは、彼がどれだけどう凄かったかダメだったかを綴るのが目的ではなく、ただただ、彼と出会い一緒に演劇作品を作り、そして、

そんなことをしていた時の僕はといえば、

という回顧録。

そう、芝居の中身は

偲ぶ、といっても、ただただ、

僕も、

演じている、彼ら彼女らが、深津氏と交わしたであろう、稽古場でのやり取りであったり、稽古終わりの飲み会の風景であったり。

まるでそれは、本当に僕が一度封印した、

役者としてやってきた「日々」

を、引っ越し前にふいに見つけた昔のアルバムをつらつらととめどなく捲ってしまうような、

そんな、

旅愁感に似たものを感じて。

約1時間の内容。終わってみれば、なんとも特に湿っぽい空気でもなく、

終演後に、出演者はじめ他のお客さん(ほぼ深津関係者)と飲みながら懇親会みたいな雰囲気になり、

ああ、これは、

お通夜だな。

いや、

法事

だ。

親戚関係者が久しぶりに集まって、わいのわいのと飲みながら

あーあいつはなー

あんときなー

なんて思い出話に花を咲かせて酒を飲む。

僕も、今回誘ってくれた女優の彼女と酒を交わしながら

「久しぶりやね、まだ役者やってるんやー。いくつになったん?」

「やってますよー。えー歳聞きます?w アラフォーですよ」

そつかー、と笑いながら周りを見渡すと、確かに昔見慣れた役者の面々も、当たり前だが皆さんそれなりに歳を重ねていらっしゃる。

それでも、

そか、この子もみんなも、まだ演劇やってるんや。

「あー、なんか深津さんの話したらまた芝居したくなってきたわー」

??

やったらいいですやん

おー、やったらええやん。


なそうなのだ。

何を逃げていたのか。

演劇ってこんなに楽しいではないか。

こんなにしんどいけどね。

それを教えてくれた深津氏とのアルバムを

見付けてしまった、その日。


忘れてたものを思い出させてくれた、と、

そういうものは、意外にふとした意識しないときに不意討ちをくらうようにガツンとくるものなのだなぁと。

それは、

なんとも幸せなところに自分がいるのだな、という……

ねえ、空の上の深津さん、

相変わらず酒とタバコにまみれてるのは僕も同じです。

そして、貴方の残した「足跡」から目を背けていた僕は、もう一度だけその足跡を踏んでみたいと思いました。

ので、

足掻いてみます。

もっかい、役者

やりますね。


「んー違う違う、悩まないで、、はいもう一回」

と、稽古で同じシーンを17回もやらされた倉橋里実より!!!

(タイトルの「one oF them」をここで知る。one は僕だし、Fは大きい深津だ)








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