障害者は自分よりランクが「下」だと思っている皆さんと思っていた僕へ
かなりデリケートなテーマで、書くのもギリギリまで躊躇ったのですが、オリンピック開幕直前に連続しての関係者の解任劇を見て、思うことを発してみようと思いました。批判は覚悟です。
予め断っておきますが、僕は障害を持った皆さんを「障害者」と表記しますが、
「『害』って字が対象者を貶めている!失礼だ!」
というご意見を「言葉狩り」だと思っていますのでそのまま表記します。
そんなものは発する方の気持ちの問題だろ。すり替えるな。
僕が20歳の頃、専門学校に通いながら夜はショットバーでバーテンのバイトをしてました。マンションの1階にあるテナントで、カウンターとテーブル席2つくらいのこじんまりしたお店でした。マスターは20代後半の若いマスターでしたが、音楽好きで店内ではこだわりでアナログ盤で70~80年代の洋楽を流し、僕の事も弟のように可愛がってくれてとても居心地のいいお店でした。
そのお店には、2日と空けず来てくれる常連さんがいました。20代半ばくらいのいつもスーツ姿でビールをのんでるAさん。
彼は「障害者」でした。
先天性で、骨盤が曲がってしまってて歩行困難なのと(でも杖などは必要ないレベル)、軽度の言語障害。なんというかいつも「呂律が回ってない」感じのお喋りでした。
Aさんが来て飲みながら喋ってると、時々聞き取れない時があります。
でもそんなときマスターは、
「はあ?A君わからんわ~!ちゃんと喋れや!!w」
てな返しをしてました。
僕はといえば、
「いやいやマスター、明らかに障害者さんやのにツッコミ厳しすぎるやろ!あかんて!! それ差別発言!!」
といつも心の中で思っていたものです。
とある日。
お店が休みの日に、マスター、僕、常連さんで、「バーベキューにいこう!」となり、10人位最寄り駅に集まりバーベキュー場に向かう。
件のAさんも参加されてて、ニコニコしながら待ち合わせにやってきました。
そこからの移動の最中、当然ながらAさんは足に障害があるので、みんなの動きに遅れてしまいます。そんな状況でもマスターや他の常連さんは
「A君なにやってんねん!おっそいなー! 置いてくで~!!ww」
え、いやちょっとマスターそれは(特に公共の場では)アウトやろ!あかんやろ!
と、冷や汗だらだらの僕だったのですが、意外に
いいや、
自然に
Aさんが
にっこにこ笑いながら
「待ってや~~ もう!」
って返してたこと。
にっこにこ笑って。
その日はほんと盛り上がって、お店に帰ってきてまたみんなで飲んで、、、
凄く楽しい一日だったのですが、
帰りにマスターに聞いたんです。なんであんなにAさんに厳しくあたるのか、と。
曰く
「Aにな、店来た時に最初に言われてん。
『僕はこんな障害持ってるけど、腫物を触るような対応はほんとしてほしくないねん。僕だって人間や。足が悪くてちょっと言葉も通じづらいかもしれんけど、それって『障害』って言われるけど僕はちゃうねん。この『できない』ことは、例えば『絵が下手だ』とか『足が遅い』とか、そんな風に思ってほしいねん。だから逆に、僕が足が遅かったりちゃんと喋られんくても、「あほやなー!」ってツッコんでほしいねん。それが『僕がみんなと一緒や、一緒の人間なんや』と思えることやから』
ってな」
、、、言葉が出ませんでした。そしてすとんと腑に落ちました。
僕らは腫物を触るように障害を持った皆さんを扱っているけどそれは違う。
差し出した手や憐憫の情は、ともすれば裏返すとそれこそ「差別」の行為ともなる。
なんともおこがましい。
勿論、アゲインストのある人に手を貸す(それこそベビーカーを持ち上げられない妊婦さんとか)のは、人としてこれからもできる限りお手伝いしていきたいものではるけど、
身体的・精神的に障害を持った皆さんと
友達になれたなら
まずは
「あほやなーお前!w」
って背中一つぱーんと張れる。
そんな関係になれるのが、一番いいのではないかなあ。
最後に。
タイトル「~自分より『下に』」とは、これも敢えて批判覚悟でつけました。大なり小なり、そんな自分が心の中にいませんか?
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