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第4話 フラミンゴ

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シクシクシク
おちこんじゃった。
かいだんなんてだいきらい!!!!!

「あー、とべない・・・」

そらを2わのとりがとんでいく。

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「あっ、ハルカとおなじ!サギだ!!!!!」

わたしはおちこんでたこともわすれてサギのあとをおった。

「まってー!ハルカは?ハルカはどこ?」

わたしははしった。はしった。はしって・・・またこけた。

「あーいっちゃったー。」

サギたちはわたしがおいかけてることもしらずにとんでいった。
みえなくなっちゃったら・・・
おちこんでたことをおもいだし、ヒザとおでこがものすごくいたいことがわかった。

「あーいたい!いたいよー!」

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ん?なにかみられてるきがするわ。
なにこのみられてるかんじ?
わたしはみられているようなきがするほうをゆっくりみてみた。
するとそこにはあざやかなピンクいろをしたほそながいとりがたくさんたくさんこっちをみていた。

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「わーっ!」

わたしはおもわず、こえをあげた。
すると20わぐらいいるとりたちもいっせいに
「わーっ!」

うるさいうるさいうるさーい!!!!!
まあ、わたしがさきにさけんだんだけどね。

「ちょっとそこのセニョリータ、そこのセニョリータ!」
「えっ?わたし?」

たくさんいるなかでもいちばんおおきなとりがわたしにはなしかけてきた。

「こまるなー。そんなおおごえだされたら・・・。ぼくたちはおくびょうなとりなんだよ。」
「ごめんなさい。・・・でも・・・・・・わたしよりずっとうるさかったわ。」
「それはこんなにいるからさ。1わはちいさなこえでもたくさんいるとうるさくなるんだよ。」
「1わでもかなりうるさかったわ。」
「きのせいだ。」
「いや、うるさかったって。」
「きのせいだっていってるだろう!!!!!」
「うわーっ!」

わたしよりうるさいのにこのとりたちはおどろかないのね。
わたしはこのハデハデなとりをしげしげとみつめた。

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「なーにをみてるんだい?」
「あなたたちはなに?」
「ほー、しらないのかい?わたしたちはフラミンゴだ。」
「フラミンゴ?」
「そうだ。」
「はではでなツルがフラミンゴ?」
「ちがうな。ぜんぜんちがう。」

もういちど、よーくみてみた。
ほそくてながいくびとあしはツルをいっしょだけど、くちばしはそんなにながくない。
みじかくて、ちょっとクルってしてる。
なんかヘンテコなかおだちだけど、いろがあざやかでとってもキレイ。

「きみはなんだい?」
「わたしはペンギン。フンボルトペンギン。」
「はじめてみるなー。どこからとんできたんだい?」
「いいえ、へやからでてきたの。」
「へやから?かわれてたのに?どうしてでてきたの?」
「そらをとぶためよ。」

キョトンとしているフラミンゴたち。
やがてなにかそうだんしはじめた。

「どうしてとびたいの?」
「とりだもの、そらをとびたいでしょ?」

またそうだんしてる。

「べつに。」
「とびたいとおもわないの?」
「ちっとも」
「なんで?」
「とぶなんてあたりまえすぎるだろ?」

なにをいってるの?チンプンカンプンだわ。

「フラミンゴってとべる?」
「フラミンゴがとべるかだって?・・・ハハハハハハハ」

フラミンゴたちはけたたましくわらいだした。
あーうるさい。

「なんべいのそらがピンクいろにそまるんだ。
そのりゆうはフラミンゴでそらいっぱいになるからだよ。」

ピンクいろのそらかー・・・キレイだろうなー。
みてみたいなー。
そうだ!おねがいしてみよう。

「ねえ、とびかたをおしえてよ。」
「なんで?」

さっきのわたしみたいにきく。

「じぶんのとびかたでいいんじゃない?」
「いやー・・・」

なんていったらいいかな?
ん・・・・・ん・・・・・ん、そうだ!

「ながくとんでなかったらとびかたをわすれるんだよねー。」

ツルがいってたことをいってやったわ。

「そんなもんかなー・・・とりなのに。」
「そんなことよりおしえてよ。」
「ああ、それなら。」

バタバタしてフワッととびあがった。

「こうだよ。」

ツルとおなじとびかたをした。
あーあ、それはちがうんだなー・・・
さっきしっぱいしたところなのよ。

「そのとびかたじゃ、ダメだわ。わたしにむいてない。」
「でも、これがとびかただよ。」
「ちがうわ。もっとペンギンようのとびかたおしえてよ。」
「えっ?それはフラミンゴにきくことなのかな?」
「そういうのをむせきにんっていうのよ?」
「いやー、・・・・なんでせめられてるんだ?」
「もっとしんせつにひとつひとつおしえてよ。」
「えーだから、はねをバタバタして・・・それからどうするんだっけ?」

ダメなとりだわ。

「それでほんとにとべてるの?」
「ああ、バタバタして、まえのフラミンゴがとんで、よこのフラミンゴがとんで、うしろのフラミンゴがとんだら、じぶんもとんでる。」
「なんなの、そのほかのとりまかせは!!!!!」

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「ほかのとりまかせといわれても・・・このこ、とびかたおそわりにきたんだろ?」
「もっとしっかりしなさいよ!                    もし、ここにとべないとりがきて、とびかたをおしえてくださいっていってきても、そんなおしえかたじゃきっとガッカリするとおもうわ。     わたしじゃないけど」
「じゃあ、だれなんだ?」

あっ、いけない。また、えらそうなくちをきいてしまったわ。

「ごめんなさい。あんまりとびたいもんだから、ついいいすぎたわ。はんせいしてます。」

わたしはあたまをさげてとぼとぼあるきだした。

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「ちょっとまって、セニョリータ。」
「なに?」
「そんなかおしてたら、なにもかもしっぱいしゃうよ。」
「そんなかお?」
「いやなことがあっても、すぐにわすれちゃえばいいよ!たのしんだものがちさ。」
「たのしんだものがち?」
「ああ、リズムにあわせて、からだをうごかすんだ。」

フラミンゴたちがリズムをくちずさむ。
とってもノリのいいリズム。
からだがしぜんとうごきだすかんじ。
それに合わせてフラミンゴたちはおどってる。
あしをあげたりさげたり、くびをなげたりのばしたり。

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「じゅんびたいそうだよ。」

そして、はねをバタバタしだした。

「いっしょにやってごらんよ。」

フラミンゴたちがわたしをみてる。

「いやだわ。」
「なんで?」
「わたし、うまくできないわ。」
「そんなこときにしなくてもいい。さあ、やってごらん。」

えーっ、だからダメだって。

「やって、やって、やって、やって、やって、やって、やって、やって、やって、やって」

フラミンゴはたくさんでいってくる。
やらなきゃいけないかんじ?
わたしはあしをあげた。これがわたしのせいいっぱいよ。
くびをのばした。ええ、フラミンゴみたいにうまくできないわよ。

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「とべる、とべる、とべる、とべる、とべる、とべる、とべる、とべる、とべる、とべる」

わかったわ。やればいいんでしょ?
バタバタバタバタ

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するとフラミンゴたちもバタバタしてる。

「バタバタバタバタ」
「バタバタバタバタ」
「バタバタバタバタ」
「バタバタバタバタ」

みんなでとぼうとしてくれてる!!!!!

「わたし、とべるきがしてきた。」
「いや、わたしたちだろ?アミーゴ」
「アミーゴってなに?」
「ともだちっていみだ。」

わたし、フラミンゴのともだちなんだ。

「バタバタバタバタ」
「バタバタバタバタ」

フラミンゴたちはかるくういてる。
わたしはいつまでたってもうかばない。

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「きっとじょそうがたりないんだよ。」

そうか、いきおいがたりなかったのね!
わたしははしりだした。
うしろにフラミンゴのバタバタをきいた。

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「とべるようになったら、ここにもどってくるんだよ!」

もちろんそのつもりよ、アミーゴ。
フラミンゴのへやのうえにたって、

「ありがとう!アミーゴ!」

っていうんだから。
わたしは、はしってる。
いや、じょそうしてる。
このじょそういつまでつづくかしら?
いつまでだっていいわ。
いつかかならずとべるんですもの。
ペンギンはとりなんだから。

わたしはふたたびとべるというじしんをむねに、さきをめざすのでした。

つづく。

                      イラスト  あぼともこ


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