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セレッソだけにとどまらない。スタジアムDJが考える「舞洲を盛り上げる方法」とは

<掲載日:2017年6月6日>

※こちらは過去に実施した舞洲Voiceのインタビュー記事になります。

セレッソ大阪のスタジアムDJを務める西川大介氏を迎えた今回、前編ではスタジアムDJになった経緯や、スタジアムを盛り上げるために心がけていることなどを中心に話して頂いた。

後編ではチームのクラブハウスがある舞洲という土地について、そして本拠地を同じ場所に持つ他のスポーツチームとどういった形で“大阪を盛り上げていきたいか”という、彼の掲げる未来像を中心にお届けする。

(取材・文:竹中玲央奈)

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他クラブのスタジアムDJとの繋がり

湘南ベルマーレがコール&レスポンスをやったのも、曺貴裁監督がやりたいと言っていたからなんです。それもロンドさん(三村ロンド 湘南ベルマーレのスタジアムDJを務める。前編参照)から連絡あったんですよ。『西川くんのところはどんな風にやってる?』と。


僕らJクラブのDJ同士でも情報の受け渡しはあるんです。例えばセレッソにいた選手が湘南に行くと、『なんて呼ばれていた?』とか『どういうキャラだった?』と聞かれますからね。


例えばアーリア選手(長谷川アーリアジャスール 現大宮アルディージャ)がそうですね。『アーリアくんの時はなんて呼んでいた?』と聞かれました。“アーリア”はお父さんの姓なので、“アーリア”とお客さんが呼べばお父さんが喜んでいたという話を伝えました。僕らは何かを省略しようとしたんですよ。でもお父さんが喜ぶからアーリアも入れてフルネームでいこうとなって。それを湘南側に伝えました。

長い名前の選手が来た時も全部言います。セレッソのこだわりとしては『こう呼んでくれ』という選手の希望があればそちらで呼びますが、それがなければフルネームで呼びますね。だから読むのはすごく大変な人もいます。

アーリア選手の時は僕が「長谷川」と言ってサポーターが『アーリアジャスール!』というスタイルだったのですが、何万人もが“アーリアジャスール”って合わせなきゃいけないというのは、今考えるととんでもない作業ですよね。でも、セレッソはチャレンジャーなのでどんどんこういうことを試していくんです。

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舞洲に移転したことで…


試合以外にも練習取材へ行っていますが、舞洲はすごいところだなと毎回思いますよ。セレッソは昔からちょこちょこ来てはいたんです。南津守の芝の張り替えで舞洲の天然芝のサッカーコートを使っていたことがありました。それで馴染みはあったんですけど、こんなに立派なクラブハウスができるとは思ってなかったのでびっくりしました。風呂場とか見ました?すごいですよ(笑)


このクラブハウスは他のチームから来た選手もびっくりしていますし、サッカー選手は特に車移動なのでアクセスも良いんです。神戸の方に住んでいた選手もいましたし。こういう“城”ができたことでセレッソが根付いて来ている感覚はありますし、良い歴史がスタートしたのはこのクラブハウスができてからなんだろうなとは、強く思っています。


名波浩と大浴場


舞洲のクラブハウスの大浴場がすごいんですよ。そういえば昔、ジュビロ磐田から名波(浩)さんがセレッソに来て、挨拶行った時に「風呂場がない!」って言っていたんです。「風呂場ってそんなに大事なんですか?」『大事だよ、何言っているんだ!』というような会話をしました。


練習の後に湯船に浸かって顔を合わせることが大事だと名波さんは言うんです。それがないとダメだと言っていたのがすごく印象深いですね。それもあって、舞洲のクラブハウスになって大浴場があるのは素晴らしいなと思いました。

外にあるセレッソの森には、サポーターからの募金によって桜の木が植えられました。募金した人たちの名前が刻まれたプレートもカフェにある。照明機器も基金で管理していますし、“みんなで作ってきた”からこそ帰属意識がすごいです。ただ作っただけならここまで愛されないと思うんですよ。みんなで植えた桜を前にみんなで花見もするし、僕もMCとしてそのお花見大会に行くんです。その後、グラウンドを使ってサッカーをするんです。普段はU-18が使っているグラウンドに元選手が来て、大人のサッカースクールみたいなものをします。


クラブハウス基金を募金した人がクラブハウス内を見学できる機会もありますし、そこで僕は案内人をすることがあります。サプライズで選手を呼んでくることもありますね。この場所ができて、以前はできなかったことが本当に色々できるようになりました。

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舞洲を盛り上げる“関西スポーツMC会”


舞洲にはエヴェッサのスーパーアリーナがあって、オリックスも最近、グラウンドを作った。ちなみに、オリックス・バファローズのDJの平野(智一)くんとエヴェッサのたつをくんと僕は同い年なんですよ。


“関西スポーツMC会”と銘打って、2,3ヶ月に1回飲み会やっています。たつをくんがMCをやっているレギュラー番組に僕らが出演して「一緒に関西盛り上げたいね」という話もしていた中、舞洲に3チームが揃ったんですよ。これはすごいことですよ。

ただ、何ができるかと言われたら、これからだと思うんですよ。僕もセレッソのDJを17年やって、たつをくんもエヴェッサの顔になっていて、平野もオリックス・バファローズで選手紹介とかやっていて。エヴェッサの声の人、セレッソの声の人、オリックスの声の人が今、40歳。僕らがスポーツDJとしてやっていけるのもあと10年、15年ですよ。次の世代に受け渡すと考えると、関西を声で盛り上げている人たちはこうなんだよ!ということをチームとスポーツの壁を越えてもっと発信していきたいんです。

例えばオリックスで柿谷曜一朗が始球式をするときの選手紹介は僕がするとか、オリックスの選手が来た時には平野が選手紹介をするとか、そういった“声”でも絡みたいなと思いますね。『めっちゃ仲良いやんこの人ら!』、って3クラブのファン達に思わせたい。それによって子供達がサッカーじゃなくて野球も観に行きたいと思うかもしれないし、みんなで楽しむなら舞洲に来て色々なスポーツを見ることができたらいいよね、と。そういった未来像について3人で話しています。

まだそれぞれの施設の中には入ってないんですけど、お互いで情報共有はしていて「こんなイベントやりたいね」「売上関係なくボランティアでもいいのでなんか1発どでかいの打ちたいね」と話しています。こうやって同じ場所で3チームが一緒になって、かつ僕ら3人が仲良いというのもたまたまなこと。これを面白いように次に繋げていきたいなと思います。

スポーツを楽しめる舞洲という場所をもっと認知されたい


今からの3年ぐらいは認知されたいなと思いますよね。セレッソのクラブハウスがここにあるのもそうだしオリックスもそうだし、スーパーアリーナでエヴェッサのホームゲームがあるということはもちろんなのですが、どんなアクセスでどんな施設があってとか駐車場はどうで…という全てを認知されたい。これだけ気軽に来れてこれだけ楽しめるというのを認知してもらった上で、それを合わせたイベントができれば良いんじゃないかな、とぼんやりですが思っています。今はこの3チームが合同で何かやろうとしている事実をみんなに知ってもらおうと動いている段階です。来る人が増えたら全てが変わると思います。練習場やアリーナに出るバスの本数とか、色々と変わってくると思います。それを変えるためには人が来ないといけないので。そして、人が来るために僕らが何かできれば良いなと。


スポーツの夢のプロジェクトが舞洲でできると思っています。これだけ良い土地でこれだけの環境があるんですよ。他にはない。バスケットもサッカーも野球もあって、1つの駐車場に車を止めれば、歩いていける。そんな中で、舞洲で3つのスポーツを見てきた少年が将来、それぞれのクラブの選手になったら夢がありますよね。エヴェッサの選手が『ここで昔セレッソの練習を見たんだよ』となれば素晴らしいと思います。どんどん、子供達の夢を叶える土地になってくれたら良いですね。


小学生が学校教育の中で、スポーツ施設を見に舞洲に来るのも良いと思いますし、“Made in舞洲”をもっと作っていきたいですね。“サッカー王国静岡”みたいな形で、”プロアスリートは舞洲から“みたいな。そういう世界を作っていきたいと強く思っています。

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【プロフィール】
西川大介(にしかわ だいすけ)
1977年1月6日生まれ。徳島県出身。小学生時代にサッカーを始めるも、高校生のときに怪我でプレーヤーを断念。その後、好きな音楽の分野でラジオDJを始め、2001年よりセレッソ大阪のスタジアムDJとなり、現在に至る。

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