親代わりとして選手生活を見守る。バファローズ選手寮長がその仕事を語る。
<掲載日:2017年6月13日>
※こちらは過去に実施した舞洲Voiceのインタビュー記事になります。
大阪・舞洲にあるオリックス・バファローズ選手寮「青濤館」で寮長を務める宮田典計氏のインタビューとして、前編では現役時代の王貞治氏との対戦、引退後のイチロー選手の打撃投手を務めた話など、寮長になるまでの経歴を伺ってきた。後編となる本記事では寮長としての具体的な仕事に迫っていく。
選手の生活を見守る、寮長の1日。
−寮長の仕事の1日の流れを教えてください。
朝5時半に起きて、寮の出入口のセキュリティを解除したり、色々な所の鍵を開け、新聞を取り込んでホッチキス留めをして食堂に置きに行きます。選手は大抵9時半に練習開始なので、その前の7時15分から45分までは散歩をするようにしています。そこで誰が顔を見せたかチェックして、起きていない選手は起こします。ほぼちゃんと起きて来ますよ。
私は8時前に朝ご飯を食べ始め、8時20分ぐらいに寮の事務所に戻ってきます。9時半になって、選手が出ていったら寮の中を見回りに行き、選手の部屋の施錠等をチェックします。
休み明けの日はPCのメールが溜まるので、それのチェックもします。誰が怪我してるとか、連絡が来るんです。選手がどんな状態なのかは把握しておかないとね。
寮の門限は2軍選手の場合、23時です。1軍選手は試合から帰ってくると23時を過ぎますからそこは任せています。門限の時間に点呼を取るんですけど、2軍の中でも早く寝たい選手は22時過ぎになると自分から「もう寮から出ません」と言ってきたりもします。帰ってくるのが遅い選手でも22時半には寮にいますね。常時寮には1軍選手が5、6人は居るので、それ以外を点呼しておやすみという感じです。
そこから23時過ぎにセキュリティをかけて、部屋に上がり、0時ぐらいに私も寝ます。私は2日寮に泊まって家に帰るというサイクルで、1ヶ月に15日はここで寝泊まりする形ですね。後は副寮長が2人いて、1人が10日泊まって、残りの5日をもう1人が担当してくれます。
−門限以外の部分で決まりはありますか?
バスが帰ってきた時の荷物降ろしぐらいかな。新人選手と高卒2年目までの選手がそれをやります。あとは平等ですね。
寮は3階と4階が選手の部屋になっていて、4階に1軍用の広い部屋が5つあります。1年間は同じ場所を使うので、1軍選手が2軍に落ちても部屋は変わりません。だからよっぽどじゃないと1軍の部屋には入れないですね。去年半分以上1軍にいたとか。
−高卒などの若い選手への教育について考慮していることはありますか?
社会人出身の選手を高卒の近くに置いたりとか、部屋の配置は考えていますよ。年が上の選手には若い選手を教育しろとは言っているけどね。高卒選手の方がやはり甘い選手が多いので。
私も若い選手の親代わりというか、野球選手である前に社会人であるというのを教えることは常に考えていて、例えば食事の姿勢や肘つきは注意しますよ。普通のことですが、それは口うるさく言います。部屋が汚い人もいるので、開けて見たりもしますからね。ただ、野球の技術に関してはコーチがやることなので言わないようにしています。
寮にいるのは一番上でも25、6歳かな。ただ、前の年が8人だったのに、今年は新しく13人新人が入って、寮の部屋が足りなくなってしまいました。今年は移転まで、一旦神戸の移転前の寮に入れなければならなかったしね。だから今年は仕方なく、社会人出身の年齢が上から5人ぐらいまでは寮から出て行ってもらいました。でもこういうことは稀で、退寮のタイミングとして一番多いのは結婚する時ですかね。
寮の選手生活。昔と今の違い。
−寮生活だとなかなか女性とお付き合いするのも難しそうですが。
だから外泊は申告制で許可していますよ。20歳超えないとダメですけど。
お酒についても任せています。人に迷惑かけなければ問題ないです。自分のことですからね。
−移転してきて、施設面の管理などはしやすくなりましたか?
神戸は出来てから25年経って、水道の蛇口や消防施設など劣化はしていましたからね。でも今はそんな心配しなくて良くなりました。お湯も自動で溜められるし、トイレの照明も勝手につく。だから今は水道代と電気代がいくらになるか楽しみです。
一応練習場も24時間使えるようにはなったけど、そこは僕らも寝かしてよとは思います(笑)
舞洲に移ってきて、選手たちはユニバーサルスタジオ・ジャパンが近いということを言っていました。梅田までも結構近いので、休みの日には出ていってるみたいです。ほとんどの選手が車を持っていますから、それで出かけることももちろんあります。
−宮田さんの今後の目標は?
1軍選手のレベルが高い状態がずっと続くようなチームになってほしいと思います。その為には若い選手がどんどん出てこないといけないし、それが途切れないようにしないと。一線で活躍できる選手をどんどん作っていくことを目標にしたいです。チームが上昇していくための選手補強、補充をここからできるようにしないといけませんね。
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