株のテクニカル分析(トレンド系)
株価の予測手法は,大きく分けて2つあります.
(1)ファンダメンタルズ分析:企業の業績をもとに本来の価値を分析する手法.(2)テクニカル分析:株価チャートを用いて今後を予測する手法.
ここでは,テクニカル分析で株価のトレンドを分析する手法について,まとめてみました.
(1)移動平均線
どんな指標?
株価の全体的な方向性のことをトレンドと言います.移動平均線は,トレンド分析の代表的な指標で,一定期間の終値の平均値を繋ぎ合わせた折れ線グラフです.
下記は,5日の移動平均線の求め方を示しています.日にちが少なければ短期の株価の動向を日にちが多ければ長期の株価の傾向を読むことができます.
日足チャートでは5日線や25日線が使われます.週足チャートでは13週移動平均線や26週移動平均線が使われます.
移動平均線は,MACDやボリンジャーバンドなどの他のテクニカル分析の指標にも応用されており,基本となる指標です.
どうやって使うの?
株価の直近の数日の平均値を表しますから,移動平均のグラフが,上向きなら上昇トレンド,横ばいならもみ合い,下向きなら下降トレンドと判断できます.
短期移動平均線が長期移動平均線を下から上にクロスすることをゴールデンクロスと呼び,株価が上昇するサインとして使われます.しかし,必ず上昇するとは限らないので注意が必要です.
(2)MACD
どんな指標?
MACD(マックディーと呼ぶ)は,短期と長期の2つの移動平均線を利用して,買いと売りのタイミングを判断する指標です.
MACDでは,移動平均線として直近の比重が高い指数平滑移動平均を使用します.下記に,例として3日の単純移動平均と指数平滑移動平均の違いを示します.指数平滑移動平均では,前日(終値1)の価格が強く反映されていることがポイントです.
MACDで使用される2つの平均線は,短期と長期の移動平均線ではなく,下記で定義されるもので,それぞれ(1)MACD(2)シグナルと呼びます.
MACDの算出に用いられる短期は9日(もしくは12日),長期は26日が使用されることが多いです.また,シグナルには9日が用いられます.
どうやって使うの?
MACDは,数あるテクニカル指標で比較的精度が高いと言われています.特長としてトレンド形成時には威力を発揮しますが,ボックス相場ではダマシも多いので注意が必要です.
MACDを用いた売買のタイミングは,MACDとシグナルが交差する時で,(1)買い:ゴルデンクロス,(2)売り:デッドクロスと呼びます.
MACDからシグナルの値を引いたものをヒストグラムと呼びます.このヒストグラムがゼロになるタイミングがゼロラインです.ゼロラインはMACDとシグナルが交差するタイミングと同じです.
下記のゴールデンクロスの例では,ヒストグラムがセロラインを上抜けて上昇しています.ヒストグラムを用いれば,上抜ける前に早い段階で買いを仕掛けるタイミングを掴むことができるので有用です.
MACDは,他のテクニカル指標と組み合わせることで,より強力な信頼性の高い売買シグナルとして活用することができます.特に,RSIとの組み合わせは,MACDでは困難な相場の過熱感も統合して分析できるために有用です.
(3)ボリンジャーバンド
どんな指標?
ボリンジャーバンドは,統計学を用いたトレンド分析の指標です.ボリンジャーバンドは,過去n日の株価の終値を用いて現在の株価を評価します.
まず,過去n日の終値の平均値と標準偏差(平均値からのズレ)を計算し,現在の株価の値を次式を用いて変換します.
この評価は,標準正規分布に従うように値が変換されたものになります.平均が0でバラツキが±1になるように正規化されたものです.
どうやって使うの?
この評価値は,±2の範囲に入る確率は95.45%とされています.したがって,現在の株価の評価値が+2を超えた場合は買われ過ぎ,-2を下回った場合は売られ過ぎと判断できます.
過去何日の終値を用いて平均値と標準偏差を計算したかで評価値が変わりますので注意が必要です.nが大きければ長期的な傾向を,nが小さければ短期的な傾向を表します.
下記のグラフに,ボリンジャーバンドの例を示します.個人的には,水色のライン±3を超えた時に,株を仕掛けるようにすると勝率が高いように思います.株価が±3の範囲に入る確率は99.7%とされていますから,めったに起こらないことが起きている状態(極めて買われ過ぎ,極めて売られ過ぎな状態)と解釈できます.
結局,株の取引はタイミングだなといつも思います.誰もが容易に儲けることができる分かりやすいタイミングというのがあります.そこを見逃さないようにする観察力と,確度が低いときに焦って仕掛けないようにする忍耐力が必要だと思っています.
株取引で利益を出して,色々と楽しめたら良いですね.
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