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AIで,予測できるか,宝くじ

AIを使えば宝くじを予測することができるのでしょうか? 結論は,当たる確率をある程度上げることはできますが,買えば必ず当たるというところまでは行きません.次のようなやりとりから,始まりました.

新人さん「最近,色んなところでAIって言葉を耳にしますよね.AIを使ったら宝くじも予測できますかね??」
課長さん「基本的にランダムだから無理だね.でも,自分で数字を選んで購入できるロトなら,当たる確率を高めることはできると思うよ」
新人さん「えー,本当ですか? 知りたいです.教えてください」
課長さん「統計学の話になるので少し難しいかもしれないけど大丈夫? なるべく簡単に説明はするけど...」
新人さん「はい,お願いします.ワクワクしますね...😍」

 

確率の偏り

課長さん「サイコロを振って,1の目が出る確率って1/6だよね.でも,これって何回も(例えば,10万回)サイコロを振って1の目が出た頻度をカウントして投げた回数で割ったものなんだ」
課長さん「でも,10回サイコロを投げたとき,たまたま1の目が出なかったってことはあるよね.なので,11回目は1の目が出る可能性が高いだろうと予想できるよね.このようにサイコロを投げる試行には,確率の偏りっていうのがあるんだよ」
新人さん「なるほど,じゃあ,その確率の偏りをうまく利用する訳ですね」
課長さん「そうなんだよ.AIと言っても単なる計算機だから,その理論値からのズレ(偏り)を数値で表すことができないか?となるよね.それが情報量統計学を使うとできるんだ」

カルバック・ライブラー情報量

簡単に言えば,理想的な確率(p)と観測された確率(q)の差を定量値で与えたものが,カルバック・ライブラー情報量と呼ばれているものになるんだ.数式で表すと

$$
D(p,q)=p\log{p}-p\log(q)
$$

のようになる.次の例で具体的な計算をしてみよう.

(例1)12回サイコロを振ったとき「1の目」が1回出たとすると,

$$
\frac{1}{6}\log{\frac{1}{6}}-\frac{1}{6}\log{\frac{1}{12}}=0.11552
$$

(例2)12回サイコロを振ったとき「1の目」が2回出たとすると,

$$
\frac{1}{6}\log{\frac{1}{6}}-\frac{1}{6}\log{\frac{2}{12}}=0.0
$$

(例3)12回サイコロを振ったとき「1の目」が3回出たとすると,

$$
\frac{1}{6}\log{\frac{1}{6}}-\frac{1}{6}\log{\frac{3}{12}}=-0.0675
$$

というように,カルバック・ライブラー情報量は,観測された確率が理想と同じ時はゼロになるけど,理想よりも多く出た場合はマイナスの数値,理想よりも少なく出た場合はプラスの数値になるんだ.つまり,ゼロから離れた数値になっているときは,確率の偏りが起きていることになるね.そして,イカサマでない限り,その確率の偏りはゼロになるように動くということになる.

新人さん「数式にすると難しく感じるけど,言っていることはすごく簡単ですね.確率の偏りが起きているときに,その値を見て,その数字を選ぶか選ばないかを決めれば良い訳ですね」
課長さん「そうなんだよ.そうすれば,ランダムに数字を選ぶよりは,当たる確率を上げることができるんだ」
新人さん「でも,これってAI使ってなくないですか??」
課長さん「これ以上説明すると難しいと思ってここで止めるね.具体的にはバンディット問題と考えて,強化学習を使って...とすれば簡単なAIになると思うよ.またの機会に説明するね」

 

参考書を上げるとすれば,以下のような感じかな??


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