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飴のお姉さん

オイラの好きな歌の中に
ちあきなおみさんの歌う…『ねぇ あんた』と言う歌があります。
この歌を聴くたびに・・・・
また、映画『肉体の門』とかを観た時など、必ず思い出す女性がいます。
昭和33年3月31日日本中から赤線の灯が消えました・・
オイラはその2年後に産まれているのですが、まだまだその名残は・・・
生まれ育った横浜の家の近くにも永真遊廓という遊廓街があり、そこには
友達も多くいました。
「あの辺には行くんじゃないよ!」なんて事を言う大人ちも・・・
小学1年生ぐらいだったと思いますが…友達とよくその遊廓街の近くの公園で遊んでいました。その公園に行く途中に今思えばまさしく遊廓らしい佇まいの建物の二階から外を眺めているお姉さんが居たんです。
いつしかそのお姉さんと言葉を交わすようになり・・・
「ボク、飴食べる?…ホラッ!」と投げてくれる・・・
そこを通るたびに飴やチョコをくれるお姉さん・・・
とても優しくて、でも寂しそうで・・今思うと色気・艶がある魅力的な人でした。
「お姉さん何してんの?」
「お客さん待ってんの!」・・・・「ふ〜ん」
「今度その部屋に遊びに行っていい?」・・
「う〜ん、今度ね、ちょっとだけだよ」・・・「やったぁ〜!」
「階段は途中で止まらず、一気に上がってきなよ!」
部屋には布団が敷いてあり、裸電球に赤い色のセロハンが巻かれている。
「帰りは入口からではなく必ず裏から帰りな」と言われる。
子供にとっては不思議事ばかり・・・
灯が暮れてくると・・・「そろそろ帰りな」と優しい笑顔のお姉さんがなんとなく悲しい顔に見えて、時々ちょっと怖い感じがしたり・・・
お姉さんと色々な話をした、
「男の子は強くなきゃ、強くなるためには優しくなきゃ」
「えぇ〜どっち?」・・・今はその言葉よく分かる、凄い事教えてくれてたんだ!
ある日、いつものように部屋の下から「お姉さん〜!」って呼ぶと・・・
おばさんが出てきて・・・
「飴のお姉ちゃんだろ、もういないよ!」
「どこ行ったので?」
「お仕事が全部終わったから嫁に行ったよ!坊や達ももう来るんじゃないよ!」
よく意味がわからなかった・・・
恐る恐る祖母にこの一連の話をし、どう言う事なのか聞いてみた・・・
「そうかい、あんたそんな所で遊んでたの・・」
まだ、理解できないであろうオイラに祖母は丁寧に教えてくれた
「どんな職業でもその人なり・・・
 その人がどうかなんだよ、いいお姉さんにあったね!」
「すごい優しくて、綺麗だったよ」
「心が綺麗なんだよ、本当の美人だ!」っていう祖母
そして飴玉とチョコレートで人の優しさ人としての大切な部分を教えてくれたお姉さんを今も尚慕っている・・・・・親父です。
今はどうしているのだろう・・元気なのか?
どんなお婆ちゃんになってんだろう?・・覚えているのだろうか?

是非・・ちあきなおみ「ねぇ あんた」聴いて見て下さい!





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