見出し画像

アニオタはブレイクダンスで世界を救いたい!「企画書」

キャッチコピー

アニオタよ、次元を超えて、ブレイクダンスと新スキルでアニメ魂を燃やし、世界を危機から救うのだ!

あらすじ

アニオタ公言のブレイクダンスユニット「RAB ROOTS」のアニメ誌取材後、アニメキャラ「西園遥」がリアルに現れ、その危機を救う使命を託されて特別なアンクレットで次元移動する。
転送先「アニモリアス」で感情を奪うウィルスにブレイクダンスで対処する。初ライブ中には特別なスキル「理解」が発現するも効果は不十分。次回で「共感」が発現。さらなるスキルが必要と判断する。
発現には「アニメ魂」と「挑戦」も必要と認識。「集中」と「熱血」によりチームは新たな高みに。
最後のライブでは新スキル「守護」で危機を回避。敵は他次元出身でアンクレットが狙いだったと判明。
危機は去ったが未来への道は未定、だが挑戦の意志は不変。

第一話

動画サイトで人気のブレイクダンス男性プロユニット、RAB ROOTS(涼宮あつき、けいたん、ドラゴン、マロン、ムラトミ)。彼らはアニメオタクを公言しており、ライブ練習中にアニメ誌の取材を受ける。

頭だけでクルクルと回るヘッドスピンと呼ばれるムーブに驚く記者に、あつきが熱く語った。
「確かにムラトミのあれは凄いけど、ブレイクダンスはそれだけじゃない。俺らはアニメの魂を全身を使って表現します。究極の夢は、自分たちのアニメ化ですから!」

取材後、アニメ「ライブ♡セッション」をTVに流し始めると、その異変は突如起きた。
なんとアニメキャラ「西園遥」が 画面から抜け出し、その場に現れ話しかけてきたのだ。その場にいた全員が息を呑み、目を疑った。マロンは眉をひそめ、ドラゴンは顔をポカンとさせた。
まるで3DのVTUBERが現実に投影されたかのようだった。

推しの遥が目の前に現れ、けいたんは狂喜した。興味津々のあつきと共に遥に声をかけた。一方で、他のメンバーは警戒しながら静かに様子を見守る。

遥は、この世界の熱狂的なアニメ愛が生んだ特別な次元から来たと明かす。そこは異なるルールに支配されているという。

「ウィルスが愛と歓喜を奪い、私たちの世界が危機に瀕しています。そうなれば、歓喜のエナジーの環流が無くなり、こちらのアニメの人気にも影響が出るでしょう。」

遥は続けた。「愛と歓喜、そして感動を感染者に届ければ、ウィルスは消えます。そのためには、皆さんの身を削るほどの大胆なブレイクダンスと、強烈なアニメ愛が必要なのです!」

これに触発され、けいたんとあつきは、使命感に燃えた。当初、ドラゴンとムラトミは懐疑的だったが、後から現れたキャラ達の危機を訴える熱い言葉に、やる気を見せ始めた。

ただ一人冷静なマロンが、次元移動の方法と帰還について疑問を投げかける。

すると、アニメ世界への行き来を可能にするアンクレットを差し出す遥。無事に帰還出来るので信じて欲しい、と潤んだ瞳で訴えた。

マロンは、疑問と不安を抱える内心のため息を押し隠し、既に行く気満々の仲間を守る決意を固め、アンクレットを装着した。

遥に説明された次元移動の手順通り、全員が輪になり、手で身体を支え座るようなポーズで一瞬フリーズするチェアーを決めた。
その瞬間、彼らの姿は消え、練習場には、残されたアニソンだけが響いていた。

第二話

アニメの二次元世界に転送された瞬間、その現実感に驚くメンバーたち。その前に、美しい女神風の管理者が微笑みながら現れた。

「ここ、アニモリアスは、リアル世界の多種多様なアニメ愛で創られたゾーンが集まる特別な次元です。私はアニモリアス全域の安全を確保しています。」

管理者によると、特性が似ているゾーン同士の交流が可能な中、別ゾーンでヒロインの魔法により封じ込められるはずだったウィルスが、感情を奪う性質を維持したまま、ここに侵入してしまった。

「そのヒロインを呼べば解決するのでは?」マロンが疑問を投げかける。
しかし、管理者は首を振る。各ゾーンは独自のバランスで成り立っており、例えば魔法などの固有の要素は他に持ち込めないのだ。

ゾーン内のウィルスの消滅措置は発動済みだが、すでに体内に侵入した分は対象外。遥たちのステージだけでは根本的な解決には至らず、ゾーンの閉鎖が検討されたという。

「けれど、遥たちは諦めず、強力なパフォーマンスで問題解決ができると信じ、あなたたちを呼ぶことを望みました。」管理者の言葉に、遥は力強く頷いた。管理者は続けた。
「確かに可能性はありました。そこで、特別なアンクレットを遥に託したのです。」

遥たちの決断と信頼に心を打たれたメンバーたちは、ライブの準備に取り掛かった。最終演者として、遥たちの熱意に応える形で、五曲連続でのパフォーマンスが決定した。

ライブ当日、観客の無表情な顔を見つめ、メンバーの緊張感が高まる。しかし、遥たちのステージが始まり、目に生気が微かに戻ってきたことに一安心する。

遥の歌う主題歌「君を知りたい」が流れると、ついにけいたんの見せ場が来た。興奮を抑えきれずに「チクショウ、最高かよ」と叫び、華麗なステップを踏む。難しいフットワークに続いて、エアチェアで無理してフリーズを決めた瞬間、周囲の状況と感情が一瞬で理解できる閃きが訪れる。
「なんだこれは…」
と驚き、けいたんはこれが「理解」という特別なスキルの発現であると気づく。この不可解な状況に困惑しつつも、必死にライブを続けた。
そのスキルは、ライブが終わると同時に消え去った。まるで夢を見ていたかのような経験だった。

第三話

ライブの効果はあったが、不十分とされた。ただ一人、けいたんだけがその原因を「理解」していた。少しブランクのあったムラトミ。全員でのユニゾンでの彼のミスが効果に影響したことに。

しかし、ライブの終了と共に「理解」は消えており、証拠はない。それでも、彼は議論を巧みに誘導し、次回のライブではユニゾンを抑え、得意のヘッドスピンで挽回させる方針を示した。
ムラトミは、その原因指摘に落ち込んだが、次回での名誉回復に、ブランクを取り戻すべく練習を重ねた。

リベンジのライブが始まる。会場では部分的に感情を取り戻した者たちが混乱を起こしている。けいたんは、再び発現した「理解」でそれをメンバーに知らせるが、状況は変わらず、混乱は続いた。

そしてムラトミの出番直前、けいたんは、彼に閃きを感じた。
「かましてこいよ!」
と背中を叩く熱い後押しに、不安だった気持ちは吹き飛んだ。
「やったるぜぃ」という掛け声の後に続くヘッドスピンは、軸ズレのない息を呑むほど完璧なものだった。最後にチェアーを決めたその時、「共感」スキルがムラトミから発現したことを、けいたんは「理解」した。
ムラトミの高揚する感情が会場全体に広がり、混乱は収束し、ライブ終了時には、完治者も出てきたのだった。

ライブを重ね共感が発現するごとに感染者は減ったが、ゾーン内の愛と歓喜のエナジーは上昇しなかった。

ウィルスに変化は無く、さらにスキルが必要と判断。練習ではスキルが出ず、ライブの成功パターンを他のメンバーで再現するも効果はなかった。

管理者へ相談しても、「アンクレットはそれぞれの可能性を手助けするものに過ぎません」と、それ以上を語ることはなかった。

第四話

困惑が広がるメンバーたち。だが、マロンの一言で議論が収束していく。
「もしかすると、『それぞれの可能性』って、一人一人発現条件が違う、ってことじゃないかな。」

あつきは、自分たちがここへ呼ばれた理由「アニメ魂の再現」が重要だと力説。高度な技も必要だが、それだけではないと認識し出すメンバーたち。

発現時は、リベンジを誓う歌で踊れて気分は最高だったと話すムラトミ。けいたんは遥の生歌に気持ちを合わせた音ハメの挑戦を挙げた。

この点に踏まえ、マロンが「曲の心と精神状態、そして挑戦がポイントに違いない」と提案。メンバーたちも賛同する。

ドラゴンは怪我を押して驚異のパワームーブを披露。右片手倒立からウィンドミル、最後はエアチェアでフリーズは、魔法の様な体捌きだった。「絶対焦点」に乗せて展開。チーム全体のスキル発現率を高める「集中」スキルが発現した。

あつきは「ライジングフェニックス」でフットワークからパワームーブ、フレア、締めはエアチェアでのフリーズ。メンバーのスキル効果を高める「熱血」スキルが発現。

共感、集中、熱血。曲の順番を変え最適化することで、これまでにない成果をあげた。

しかし、何を試してもスキルが発現しなかったマロン。
失望を見せつつも表情は明るく、彼が準備を怠ることはなかった。

第五話

最後のライブの前に、人々に感情の喪失が再び起きていることを知るが、ウィルスの再発ではなかった。メンバーは疑問を抱えながらも、ウィルスに感情を奪われた人々を救うため、最後のライブに挑む。

ライブは順調に進行。「ダブルガーディアンズ」の曲に合わせて、各々のスキルを発現させ、最後の感染者にも効果が現れ始める。ラストのマロンのソロが始まった時、観客席から不穏な黒いオーラが迫ってきたことを、「理解」発現済みのけいたんが叫ぶ。

まだ、ライブは止められないし、皆を守りたい。マロンはずっと準備していた「エアフレア」から「エアチェア」に繋げる難度の高い技を決めた。すると、これまで発現してこなかったスキル「守護」が発動。怪しいオーラは、その元凶に跳ね返されたのだった。

後の調査で、不審なオーラを放っていたのは「感情泥棒」と呼ばれる、異次元コキューピア出身の敵であったことが明らかになる。
彼らは、管理者が作成したアンクレットを狙い、無感情ウィルスを隠れ蓑にしていた。最後の不穏なオーラは、メンバーたちを拉致しようとする彼らの計画の一環だったようだ。

管理者がメンバーたちに声をかけた。
「コキューピアには愛と歓喜のエナジーはごく僅かなので、アンクレットのような次元を渡れるアイテムは作れません。そこでわたしが作成するように、今回の危機を仕掛けてきたようです。」

とりあえず、ウィルスの問題は解決し、アニモリアスの危機は救われた。また、マロンのように、敵と闘うための新たなスキルの発現もあり得ることが分かった。

しかし、じっとアンクレットを見つめるだけで、この先、どの道を選ぶのかは、誰も語ろうとはしなかった。

転送されてから二ヶ月、リアル時間で四時間が過ぎた。
アニモリアスとリアル、二つの世界の扉は、まだ閉じられてはいない。

ーー
このコンテンツはファンメイドコンテンツです。
ファンメイドコンテンツポリシーのもと制作されています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?