#25 振り返れば「正しい」情報はあったかもしれないが、欲しい情報はないことも多く、正しく理解できなかった--理系各員に捧ぐ

論文執筆などの研究活動でしばらく更新が滞っていた。冒頭のいつもの文も忘れていたので過去投稿を見返す。

本シリーズは、①勉強頑張ったら選択肢が増える、②理系かつ高成績の方が選択肢は多い、③選択肢が多いと良い会社に入れて幸せになれるというよくあるお話の②まで必死で頑張ったものの、③は半分嘘である。ということに気付いて四苦八苦した僕が、理系が気付かぬうちに罠にハマらないために、一生懸命に生きる理系各員が考えて損のないだろうトピックを書いていくものである。

半年と少し前に納得いく就職先が決まり、今後のキャリアも割と具体的にイメージしたり、計画したりできるようになった。

キャリアイメージができるというのは就職先が決まったことが影響しているが、計画できるようになった部分は知識や経験が少し増えたことによる。

高校生の頃、いや、中学3年生で高校を決める頃から「進路」という概念は僕たち学生の頭の中に常に渦巻いている。

進路を決めるために僕たちは「選択」を迫られる。大人たちは自分で決めなさいという。僕たちは納得感を持てないままでも時間に迫られ、選択することになった。

選択をするために、僕たちは情報を求める。正しい情報もあったかもしれないが、今の世界は情報が溢れていて、自分の欲しい情報、自分の味方となる情報は必ずしも手に入らなかった。

偏差値は高い方がいい、高校も大学もそれは当然そうだ。私立大学よりも公立大学、さらに国立大学の方がいい。何故良いか?良いものだからだ。大学ランキングを見てみろ、大体その通りだろう?

なぜ偏差値が高い方がいいのか、なぜ国立大がいいのか?そこの説明は省かれている。「学力」は高い方がいいし、「学費」は安い方が良いだろう?見た人が根拠なく持っている「常識」が結局のところ、これらの論の根拠となる。つまり、根拠はない。

「良さ」は人によって違う。その前提を持って話せば、データなどから今後の社会がどうなる可能性が高いかという確率的な推論と、大学とはどういう場所なのかという現実の情報を伝えるしかない。あるがままを伝えて、後は受け手が判断するしかない。

しかし、受け手の我々学生は、判断することが難しい。経験と知識が少ないからだ。

だから結局、少しは賭けで信じるしかない。現状の自分が判断できる範囲で、出来るだけ誠実な人を信じるのが大切になる。

ここで、この情報社会だからこその厄介なことがある。

例えば京大に入った人を2人考えてみよう。1人は京大に入り、優秀な学友に囲まれ、現代の学問の深い広がりを知り、これまで以上に謙虚に学び、考えるようになった。 もう1人は京大に入ったことで自分に過剰な自信を持った。

1人目は学ぶほどに面白くなりどんどん実力をつけた。2人目は大学の名前に甘んじ、自分に実力をつける努力を怠った。

情報社会で声が大きくなるのは2人目の可能性が高い。

1人目はどんどん目の前のことに取り組んでいる。不必要にSNSを開かない。2人目は自分に中身がない。自分の存在意義を見つけるためにSNSの声を大きくすることを画作する。

今の世の中で声が大きくなること(=大きな影響力をもつこと)は、お金を稼ぐことにつながる。

たくさんの人が声を大きくするための方法を熱心に研究するので、大体のやり方は練習して身につけることができる。2人目はこの練習に時間を使うようになる。

厄介なのは、この声を大きくする技術を習得して、一度影響力を持てば、それ以降は比較的簡単に声がもっともっと大きくなる点だ。

以上のプロセスで本当に実のある情報を持つ1人目の声は世の中にあまり流れず、ちゃらんぽらんな2人目の声が大きくなる。

ただし、これはあくまで人間の特性を鑑みたときの確率の大きな場合の話だ。実際は情報発信者の一人一人を自分で信頼するかどうか判断しなければならない。

1人目の人が自分のすべきことは情報発信だ、と考えて有益な情報を発信している場合もある。

知っていて欲しいことは、本当に実力がある人は静かに黙っている人もとても多く、周りから見たらショボい人に見えていることが結構あるということだ。

そういう人で人の役に立てたらいいなと善意で、何か質問があれば言ってねなどと声をかけてくれる人がいる。この機会を手にできるかどうかは僕たちの成長にとても影響する。

かくいう僕も、なんだか頼りなく見えた先輩たちの意見が実は的を射ていたなぁと最近振り返って思う。逆に大声で話していた人たちの言っていたことは、なんだか嘘だったようである。

ここまで見ていると、誰の言うことを信じるかの判断は難しいことのように感じる。実際、体感としてインターネットで検索して出てくる情報はうまみがないことが多い。

研究室の後輩やキラキラやる気で入ってきた1年生、バイト先で出会う高校生の受験生の思い描く少し先の進路を聞いたとき、情報不足を感じることが非常に多い。

僕自身、君はこうした方がいいよ、などと判断する力はないので、そんな厚かましいことは言えない。

ただ、現実として大学、大学院、就職活動がどんなものなのかを伝えることだけはできる。少なくとも僕の経験した分だけでも。

学会に出たり高校からの友人などのつながりで他大学の学生と話したり、他の研究科の学生などと話している限り、僕の主観で体験した大学像の中に全体に共通するものは確かに含まれているようだ。

そんなエッセンスを今後タイミングを見て発信していこうかと考えている。媒体はこのnoteか他の音声メディアを計画している。

途中に出した例のせいでこの結論に至ると少し自己矛盾に陥る気はするが...僕自身の経歴については受け手の方に信じてもらうこととする。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?