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聴講リポート「地球時代のリベラルアーツ これからの生き方を考える」高津尚志さん×荒木博行さん対談 flier book laboオープントークセッション

プロボノに取り組む生活の中で、9月に株式会社フライヤーさんの存在を知り、興味深いコンテンツがあったので、オンライン聴講してみました。

さまざまな基本的な前提が大きく変わってしまった今、私たちが「立ち止まって考えるべき問い」とは?
世界の経営幹部育成に携わる高津尚志さんと、フライヤーのアドバイザー荒木博行さんが、複数の書籍から見える、自分を活かし、他者に貢献するために、これから持つべき視点や思考について展開された対談から、自分なりのポイントを振り返ってみます。
(TOP画像はイベント告知ページからお借りしました。)

●スピーカーの高津尚志さん・荒木博行さんについて

様々な著書やコンテンツを発信されているお二人についても、告知サイトの情報からお借りしてメモします。

【ファシリテーター】
荒木 博行(あらき ひろゆき)さん
株式会社学びデザイン 代表取締役社長、株式会社フライヤーアドバイザー兼エバンジェリスト、株式会社ニューズピックス NewsPicksエバンジェリスト、武蔵野大学教員就任予定。
著書に『藁を手に旅に出よう』(文藝春秋)『見るだけでわかる! ビジネス書図鑑』『見るだけでわかる!ビジネス書図鑑 これからの教養編』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『世界「倒産」図鑑』(日経BP)など。Voicy「荒木博行のbook cafe」毎朝放送中。

【ゲストスピーカー】
高津 尚志(たかつ なおし)さん
IMD 北東アジア代表。早稲田大学政治経済学部卒業後、1989年日本興業銀行に入行。フランスの経営大学院INSEADとESCP、桑沢デザイン研究所に学ぶ。ボストン コンサルティング グループ、リクルートを経て2010年11月より現職。IMDは企業の幹部育成や変革支援に特化をした、スイスに本拠を持つ世界的なビジネススクールとして知られている。
主な共著書に『なぜ、日本企業は「グローバル化」でつまずくのか』『ふたたび世界で勝つために』(ともに日本経済新聞出版社)、訳書に『企業内学習入門』(シュロモ・ベンハー著)がある。

●トークテーマの「地球時代」とは?

株式会社フライヤーが主催される「flier book labo」は、自分の可能性を広げる読書コミュニティ。さまざまな地域、年齢、職種の仲間たちがオンライン上で集い、書籍の要約から得た気づきや学びを語り合えるとのこと。
このflier book laboで第1期のパーソナリティを務められた一人が高津さん。私は第1期の参加者ではないものの、リベラルアーツという言葉を頻繁に耳にするようになり、この対談を聴講しました。

そして、この日のテーマである「地球時代」については、高津さんと荒木さんから以下のようなポイントが語られました。

・今の時代は、以前よりもイシュー(論点・課題・問題)の範囲が拡大中
・グローバル時代というと、日本では具体的イメージが湧きにくい
・地球時代と表現することで、南半球も北半球もあらゆる場所を指す
・イシューは国境をまたいで地球レベルで考えるべき時代
逆に私たちの生活は、国境による分断も強くなっている
・各々の法や税金、教育などはローカルというジレンマの中で生きている
・それでも皆で解決しなくてはならない時期でもある

確かに、グローバルという言葉は以前より様々な場で使われて、今は逆に具体性が見えにくい言葉だと感じた時間でした。

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●メッセージ+問いかけの魅力

ここからは、flier book laboの第1期コースを振り返りながらの内容でした。

コース内容には、さまざまな領域で活躍する4名のパーソナリティの方が、1つのテーマを軸にflierの要約の中から複数冊をピックアップし、ご自身の経験や解釈、アイデアなどを語る音声コンテンツがあり、その内容などを踏まえつつ、laboのメンバーと語り合うLIVEという読書会もあるとのこと。
高津さんがパーソナリティを務められた回は、本を読んだうえでのメッセージ+参加者への問いも残してくださる点が、大きな魅力だったようです。

この日の高津さんがコース内容の作り方を振り返り、語られたメッセージでも印象的だった点がありました。

それは【書物を通じて、抽象度の高い事例を知ると、次のステップとして「私の場合は・・・」と自分に落とし込むことができる】ということ。
その結果、「今までに考えたことなかったけど、この人が私にこういう影響を与えた!」などの自覚によるコメントが生まれるそうです。
私自身もプライベートで似た振り返り体験を重ねていたこともあり、「そうそう!」と強く共感した点です。


●情報を1回止める、時間を置く

次の話題では、情報の受け取り方や発信の在り方、その為の時間、について展開されました。

コースの第1期が実施された時期、日本ではSNSでパンデミックに関するデマ情報が多く流れた時期とのこと。
情報はすぐに受けて反応するのではなく、一回止めて、時間を置くことにより、適した問いかけに繋がっていくそうです。

この時間の置き方については、高津さんの全8回のコースでも「書く行為の尊さ」が大きなテーマだったとされ、
読む→書く→考えが結晶化される、という流れについて、ご自身の経験を交えて紹介されました。

この時間では、ファシリテーターの荒木さんの共感コメントも交えつつ、とても熱くトークが展開されました。

・要約は手軽に読めるけど、そこで終わっては意味がない
自分なりの問いを立てて発信することが重要
情報にハックされないで自分の頭で考えて発信すること
・リツイートしたことで発信したと考えている人もいる
・答えの出ない問いに対する、俯瞰する力が大事
・情報にハックされない時間を作る(瞑想や運動など)

お話を聴く中で、「情報にハックされない時間や意識」については、今後も世界から多くの情報がすぐに届く中では、一層意識していくべき点だと感じます。

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●学ぶ場への3つのスタンス

次の話題は、セールスフォース・ドットコムの創業者であるマーク・ベニオフの『トレイルブレイザー: 企業が本気で社会を変える10の思考』を起点に、「善きこと」という問いから展開されました。その中でのポイントは以下でした。

・ビジネスリーダーにとっても「善きこと」を考えるべき時代
「立ち止まって考えること」が重要
・時間をかけて作られた書物は大きな示唆を与えてくれる
・Stop thinking 思考停止 ではなく、Stop to think 立ち止まり考える

次に、考えるために欠かせない「学ぶ場への3つのスタンス」が話題となり、高津さんから紹介された以下の3タイプが興味深いと感じます。

・囚人タイプ=〇〇に言われたから仕方なく参加する
・観光客タイプ=どんなものか見てみようと参加する
・学習者タイプ=興味や自分なりの問いを得て、考え・発信・共有して、皆と考える場を作る行動をする

このタイプ紹介には荒木さんからも、自分は傷つかない高みの見物でいるよりも、当事者意識を持つことが、学習者への道に繋がると共感のコメントがありました。

最後に、flier book laboに寄せた想いとして、高津さんから語られたポイントも書き留めてみます。
・参加者が次第に変化し、学習者が他の学習者を刺激していくコミュニティ
受け止めて、学んで、気付いて、行動することが体験できる

特に2つ目のメッセージは、背景として高津さんの読書を通じた素敵な出会いが紹介されました。読者の行動が、作者の方にとっても素晴らしい経験へと繋がっていくそうです。


●思わずリポートを書きたくなった自分

ある方とのご縁から、フライヤーさんの要約サービスを知りました。最近はプライベートで色々な対談コンテンツを聴く機会も増えています。偶然ですが、それぞれの機会の中で類似するキーワードやテーマが語られていると感じます。

今回の「地球時代」に関する冒頭のトークもその1つでした。時に深く、時に幅広く、キーワードの共通点を感じつつ、少し違った思考にも触れられる時間や、自分なりに書くという行動につなげてみることが、私にとっての楽しみの1つになっています。