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聴講リポート「個人もビジョンを持つべき理由」蛯谷 敏さん×佐宗 邦威さん対談

LinkedIn News編集部LIVE!として10月13日に開催された、LinkedIn News 編集部の蛯谷 敏さんと、戦略デザインファームBIOTOPE代表の佐宗 邦威さんの対談から、自主リポートしてみます。

BIOTOPE代表の佐宗 邦威さんのご経歴は以下です。

佐藤さん

混迷の時代を生き抜く上で特に大切になるのは、自分のありたい姿を見つめ直し、具体的なビジョンとして思い描くこと。「次に進むべき道は、自らと向き合い、自らを理解することで見えてくる」「迷った時ほど遠くを見るべき」。このテーマをもとに、遠くや近く、様々な視点でトークが盛り上がった時間でした。その大切にしたいポイントを簡単にまとめてみます。

●なぜ今、改めてビジョン作りが話題なのか

BIOTOPEでは、未来の作り手や前例のないこと、潜在的なビジョンを持つ人と共に、プロジェクトを形にすることに取り組んでおられます。ビジョン作りの相談は2018年頃から増えていつつ、2020年になり急増しているとのことです。
そしてコロナ禍の今、世界で起きていることへの現状認識について、佐宗さんは以下のポイントを挙げられました。いくつかは、特に日本に関して影響の大きい傾向もあります。

・今までの10年・20~30年スパンでのビジョンが3~5年に期間短縮される
・元々考えていたことの実行スピードを上げるべき状況に変わった
・「何をすべきか」を人目や空気を読み考える傾向からの転換期に入った
自分が何をしたいかの前提を持ちつつ、他の関係を調整する考え方へ変化
・リモートワークにより個人起点での生活設計を考えざるを得なくなった

「なぜビジョンを作るべきなのか?」という質問に佐宗さんは
ビジョンの定義とは「目に見えていない未来の形をありありと形にすること」だとされ、生きる意味や、何に向かうかなどの意味を持つために、ビジョンが必要だと話されました。
かつて企業が「人を動かすため」にビジョンが示されたが、今は、個人が道の見えない中で歩くための北極星のようだとの例えを聞いた際には、まさにその情景が頭に浮かびました。

「キャリアビジョン」の考え方は、今までも存在してきたことにも触れられました。今までの、ある程度の成功によるキャリアビジョン定義から「どれを選ぶか」という視点で道を選ぶことが多かった傾向から、その道がどこへ続くのかが不確定となったことで、道そのものよりも高いところを見ながらの方が、これからの時代歩きやすくなる、とも言えるそうです。

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●ビジョンに関するアレコレ

ビジョンの具体像について話題が深堀された中盤では、
個人での3年や、企業では10年~30年スパンで持つものが、一般的にはビジョンと言われるものとしつつ、佐宗さんからのこのLIVEにおける「ビジョン」は下記のポイントがあり、中には、参加者からのコメントを踏まえて盛り上がったポイントもありました。

時間軸は色々あってよい
・長い時間軸でのビジョン達成の手段はフレキシブルな目標が理想
・視点は遠くを見ながら進めていく
個人でも長期ビジョンはあって良い(例:自分の子や孫に何を残すか)
社会でも持続可能性や環境テーマでは30年・50年・100年スパン

ビジョンを作るには、まずメンタルブロックを解くことが大事とされ、佐宗さんからある問いが紹介されました。
「3年間の自由な時間があり、100億円あったら何をやりたいか?」
この問いに対する答えを考える時に「手を動かしてみること」で、ある程度までは自分で描くことができるそうです。
そして更に、人との対話によって考えに意味を与える、という時にも、絵を描いて語るのが効果的とのことでした。

「ビジョンの共有方法について、大人数を少人数どちらが良いか?」には、
0→1を作る時にはビジョンパートナーとも呼べる人との1対1が望ましく、
2~3人に話しながら精度を高められたら、多くの人に話す流れをオススメとのことです。

絵を描いて想いを伝えることは、必ずしも大人に限ったことではなく、子供でも出来ること。例として紹介された「ドラえもんの秘密道具をつくりたい」という答えは、まさに私の子供も同じことを言ったり、絵を描いたりしてから想いを伝えに来るシーンを思い出しました。

佐宗さん2

●情報処理ではなく、発想するには?

ビジョン共有などの「考える時間をどのように作るか?」についても話題は盛り上がりました。
佐宗さんはデジタル化も影響して、触れる情報が多すぎると自分の考えが分からなくなることに触れられ、その対策として、佐宗さんはアナログ環境を重視されているそうです。
方法として、ノートやスケッチブックに自分の感じていることを書くことで、「情報処理ではなく発想することが可能になる」と話されました。この点には編集者である蛯谷さんからも「ジャーナリングに近い手法」と共感があり、形になるプロセスを感じるためにも書くことが重要だとされました。

また佐宗さんから、書くことが人間の右脳を活性化させるので、ノートに書く時間が減ると思考時間が減っているサイン、との話題が出されると、LinkedInでも5分~10分立ち止まって時間をポーズ(一時停止)させましょう、という考えが推奨されていると蛯谷さんから紹介されました。

私自身もこのリポートを書くにあたり、まず活用しているのはノートによる手書きです。耳から聞こえたままを書き出すことから始め、1点に集中できている感覚から始めています。

●さまざまな訓練の場を活用する

先の話題を踏まえて佐宗さんからは、デジタル比重が増していく今後に向けて「ビジョンのアトリエ」と呼ばれる考え方が紹介されました。
実際のアトリエを持っている必要はなく、真っ白なキャンバスに構想を練る体験をどれだけ持てるか、そのベースとなるポジティブな発想こそが、何かを作り出す原点になるそうです。

今ない道を切り開いていく時の創造思考についてはビジョン同じであり、以下2つのアプローチがあるとのことです。
・好きから発散されるエネルギーを起点として遊ぶこと
・誰かに対して「こういう風に伝われば良いな」と形を整えて収束していく

この理想的なアプローチを、人間は子供の頃にはできていたのに、10歳ごろに自我が出来て社会的になり、「この子と比べて自分はこうである」という経験を重ねて大人になるうちに、自分の主観モードを忘れていく、という変化が起きてしまうそうです。

この傾向も踏まえつつ質問された
「変化に対して自由自在に対応するには?」という点には、ある機会の活用がオススメされました。
多くの大人がもつ「自分が正しい正解を出さないといけない」というメンタルブロックを外せるかポイントであり、即興で何かを言ってみる・やってみる訓練の場が必要。今増えているワークショップも正解を出す為の場ではないので、これらの機会も活用することも良いそうです。

最後に、Udemyで提供されている佐宗さんの「ビジョンの作り方プロセスに関するカリキュラム」がご紹介されました。

▼2020年10月16日まで50%オフで提供される講座リンク
オンラインで学べる「直感と論理をつなぐ思考法」!妄想からインパクトを生みだす【ビジョンのアトリエ講座】 
https://www.udemy.com/course/atelier_of_vision/?couponCode=B2F9AD9349ECB2266EE6

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今回のLIVEでは、「個人のビジョン」がメインテーマでもあり、今までの経験や感覚からも「そういえばアレも!」とリアクションしたくなる内容が盛りだくさんでした。この「個人で感じるワクワク」は大人に限らず、子供とも通じるという感覚も含めて、今の時間や機会を一層楽しみながら今後を描いてみたい!と感じる時間でした。