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聴講リポート「『自分ごと』で広がる ソーシャル時代の仲間づくり」LinkedIn村井 秀輔さん×薄井 シンシアさん対談

LinkedIn News編集部LIVE!として11月5日に開催された、LinkedIn News編集部の村井 秀輔さんと薄井 シンシアさんの対談から、自主リポートしてみます。個人的にはシンシアさんと、専業主婦のコミュニティ「First Step」で現在ご一緒しており、既に親近感がありつつも、幅広い方へ向けたメッセージから再度考える機会にもなりました。

▼ 薄井 シンシアさんのご経歴は以下です

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専業主婦として17年間ご家族と過ごした後、52歳で再就職~キャリアアップを実現されて現在60代のシンシアさん。ソーシャルメディアを活用し、女性のキャリア再開に向けた活動を続けるご自身の経験から、女性の仕事・キャリアにおける壁や社会問題など、幅広い話題に触れられました。
そして「仲間づくり」や、問題を「自分ごと」として捉えるために大切なことは何なのか?今も将来を模索し続けるシンシアさんの姿から、今後へのヒントになった機会を振り返ってみます。

●キャリアアップの原動力

既に書籍やドラマ化されている、今までのシンシアさんのキャリア。
「そのキャリアアップの原動力は?」という村井さんからの質問で、トークがスタートしました。
ご自身の経験を振り返り、シンシアさんは「常に自分と対話してきた」という点を挙げられ、その対話への考え方として、以下がポイントとのことです。

・自分の中で何が大切か? (例:家族と過ごすこと)
・その時々の目的は何か? (例:働くこと、学ぶこと)
・なぜ〇〇したいのか? (例:こういう形で収入を得たい)
・いま目の前に何があるか? (例:機会や情報の有無)
・自分の可能性と同時に限界にも敏感に (例:限界の中で何ができるか)

特に最後の「自分の限界を理解する」という点からは、
「限界を超える努力は必要ですか?」という質問にも発展しました。
シンシアさんからの答えは、
限界は「自分で努力して変わるものと、変わらないものがある」というもの。例えば、変わらないものは、1日24時間という時間の限界。変わるものは、体力やポテンシャルが例として出されました。
自分で努力できるものは何か?という考えが第一歩になりそうです。

●管理職になりたくない?

次に村井さんからは、2020年9月実施のLinkedInによる調査結果を受けて「シンシアさんはどう思われるか?」という質問が出されました。
その質問の前提となる、調査結果の一部が下記です。
(プレスリリースより抜粋。全文はコチラよりご確認いただけます。)

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【男女平等への道のりは遠く、管理職の女性も少ない一方、それを望む女性も少ない】
現状の男女平等については、十分に成熟しているかどうかという質問に対しては、「ややそう思う」「非常にそう思う」と回答した女性は7%にとどまり、政治家が格差解消のために努力すべきとする回答は68%に達しました。
また就業中の回答者47%が所属する組織で、勤務者には女性の方が多い一方、「上級管理職に女性がいる割合が半数超」とする回答は14%に過ぎず、管理職の女性はまだ少ない現状が改めて浮き彫りになりました。しかし一方で、「将来的に幹部職まで昇進したい」とする回答は7%、「将来は自分の事業を立ち上げたい」「より大きな機会を追求するために転職したい」という回答を含めたキャリア上昇志向の女性は33%に過ぎない結果となり、日本の女性のキャリア形成に対する期待値の低さが現れる結果となりました。

女性_管理職

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シンシアさんからは、この課題には2つの面からの意識改革が必要とのお話でした。

【管理職になりたくない人の側は】
ロールモデルがいない、憧れを抱くイメージがない、といった声も理解できる一方で、もし理想とのギャップや不満があるなら、まず自分がその席(ポジション)に就いて自分で変えよう!という意識を持つことが第一歩。
【管理職に登用する組織の側は】
本当に実力がある人を選出しないと数合わせ目的ではない、という意見もありつつも、将来を考えた場合には、時として「下駄を履かせる」という必要もある。
更に重要なことが「下駄を履かせて終わりではない」という点。その下駄を使い一人で歩けるようになるまで、見守り育てるという姿勢が不可欠。
シンシアさん自身も、バンコクでのキャリアの大きな第一歩は「下駄を履かせてもらった」とのことです。

既に多くの人が目にされているように「管理職の女性の数を合わせるだけでは意味がない」と多くの場で声が出ていますね。では、何をすれば意味があるのか?を更に一歩、考えを具体化して行動することは出来るでしょうか。

●仲間づくりのカギは

次の村井さんとシンシアさんのトークでは、
「なぜ様々なテーマを自分ごと化できるのか?」という話題になりました。
シンシアさんからは
「本当に自分の経験が大変だったから…。」
「次の人には苦労させたくない」

との答えがあり、参加者からも多くの共感の声が出ました。

これを聞いた時に私は、「苦労した経験」というのは自分に限らず多くの人が持っていそう。それを次の人にさせない為に…という考えを持てているだろうか…、と考えました。
一人ひとりの苦労した体験について、一人で改善する必要はなく、同じように「次の人には…」と感じる人たちと仲間になることで、力を合わせた行動に繋げていけるのかもしれません。

そして仲間になる時に、今後活用するカギが「ハッシュタグ(#)」とのことです。
シンシアさんのアドバイスでも、

統一したハッシュタグによる発信は
共感する人が集まってくれるキッカケになる。
そこから仲間を作っていけば良い。

とのお話がありました。

一方で、様々な考え方や意見の方がいる中で、どのようにお互いを知ったり、理解したりすることが出来るか・・・

自分の考えと相手が違うとしても、
それは間違っているのではなく、違うだけ。

シンシアさんは、そう考えて相手を尊重されているとのこと。
意見を交わす時に、つい間違っているか正しいかで捉えてしまいがちな中で、一つの思考ヒントになるかもしれません。

私もLinkedIn News編集部の村井さんと同じく、過去にシンシアさんとMTG機会も重ねたことから、今回のLIVEトークから語られたシンシアさんの言葉は、様々なエピソードのほんの一部だと感じました。
どんな方にも1時間弱では語り切れない経験があり、そのシェアが、次へと繋がっていくから魅力が増すのかもしれません。

このLIVE以外の話ですが、シンシアさんは「私は特別じゃない」と言われています。その理由についても、何度かご経験を聴いてきたことで、今は少し理解できる気がします。今後は、オンライン機会の拡大によって、皆さんにも実際に聞いて頂ける機会が増えていくかもしれません。
そして、他の専業主婦や主夫という経験をもつ方々のエピソードも届くようになれば、キャリアアップに関する今までのイメージにも変化が起きるでしょうか。

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●ファーストペンギン記念日

#ワタシゴトークのスペシャル枠である今回のLIVEと同時に
「#ワタシゴトーク ~復職ママが自分らしく働くためには~」というオンラインワークショップも開催されました。LinkedIn有志の社員さんも参加されたこの企画で、とっても素敵な言葉を頂きました。

その1つが「ファーストペンギン」です。
この日参加した私たちに向けて、LinkedInの方からの
「今日参加してくださった皆さんは、ファーストペンギンですね」との言葉でした。

集団で行動するペンギンの群れの中から、天敵がいるかもしれない海へ、魚を求めて最初に飛びこむ1羽のペンギンのこと。転じて、その“勇敢なペンギン”のように、リスクを恐れず初めてのことに挑戦するベンチャー精神の持ち主を、米国では敬意を込めて「ファーストペンギン」と呼びます。

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日本でも2015年のNHK朝の連続テレビ小説で話題になっていますが、その放送時間帯といえば、子供の送りや通勤の真っ最中。その時は気に留める暇もなかった気がします。
それでも5年経って主人公のモデルとなった明治時代の女性実業家の方に、ほんの少しでも重なったなら、とても励みとなる言葉でした。
ファーストペンギンな方々と、仲間になっていけることも、これから先の楽しみの一つになればと思います。