見出し画像

高校生からの問いとカンボジアのゴザからのお返事

はじめに。
この記事は、2021年11月頃に、日本の高校生と一緒にオンラインで旅するという授業を開催した際にみなさんからいただいた質問をもとに、カンボジアを拠点とする吉川舞とルワンダを拠点にする加藤雅子の2人がそれぞれ答えたものです。

ご質問いただいた皆さん、そして、縁あって今これを目にしている皆さんへ。
先日は、ルワンダ・カンボジアをオンラインで一緒に旅していただいてありがとうございました!
あの旅から数週間、きっと細胞分裂著しい皆さんのことなので、次々と新しい刺激が溢れていることと思います。ルワンダ、カンボジアに行ったことなどすでに遠い遠い記憶になっているかもしれないけれど、あの日の新鮮な心の動きとともに私たちに向けていただいた質問にぜひとも答えたいと思い、このマガジンを雅子さんとつくりました。
そして、もしかしたらこの時の質問は、あの時の旅をご一緒していない人たちにもなにか、日々の暮らしをちょっとくすぐる驚きをお届けできるかもしれないと思い、公開記事にしています。
「なんかさ、この間、ルワンダに住んでる日本の人が・・カンボジアにいる日本人がこんなこと言ってたんだけどさ・・」と誰かにシェアしたくなったときや、ちょっとどこか遠くに行きたいと思っている友達を見つけたときなどにお使いいただければ幸いです。

このnoteではこれはぜひ答えたいというものたちをそれぞれが選びました。
答えたいと思った人が答えたい質問に答える、というワガママな仕様です。
選ぶ質問の違い、現れてくる答えの違いも楽しんでいただければと。

それでは、カンボジア🇰🇭の私が答えたい〜と思った質問たちをどうぞ!

カンボジアに行って1番おどろいたことはなんですか?

じゃんぜりさん、はるとさん、ちょこさん、るなさん

おどろいたことはたーくさんありますが、もうありすぎて思い出せない、またはもうそれが当たり前になっていて思い出せないというのが正直なところ・・・・でもせっかくなので、とっておきをシェアします。

カンボジアの人々は・・「生き物の大きさ」を〇〇で伝える!

皆さん、ちょっと想像してみてください。
友達と近所の森に行ったら、足元の茂みがガサガサ言って、突然蛇が出てきた!
または、友達と海や川へ釣りに行き、過去最高の大物を釣った!

こんなとき。
皆さんはその蛇や魚の大きさをどうやって他の人に伝えますか?
きっと「こんなだったんだよ!」と両手を広げて、長さを示すと思うんです。

それが・・!カンボジアでは・・
これは例外なく、誰でも、太さで表すんです!

よく使われるのが、手首・足首くらい、小指の先くらい、足の親指、など。それ以上だと、首くらい、太ももの半分、というように。

地域差なく、カンボジア国内はどこに行ってもそうだと思います。
両手を広げて1mくらいの蛇だったよ〜と伝えると、太さは?と必ず聞かれます。

逆に太さを伝えると大体の長さがわかるんだとか・・。私にはわからん。

大きさという世界中どこの会話でも出てくることの表現が、こんなに違うなんて・・と驚愕しました。

歴史の授業で、古代の王様が度量衡を整えたり、貨幣の価値を整えたりしたと書いてあって、ふーん、と思ってましたが、cmとかmとか今習う単位が世界のどんなところに行っても伝わるっていうのは、人間の歴史からするとごくごく最近のことなんですよね。日本でも尺とか寸とかが使われていたし、カンボジアも遺跡が造られた頃は、ハスタという単位だったり、その土地土地の理由がある単位が使われていた。
ルワンダはどうなんだろうな〜。

カンボジアにはあって日本にはない「いいところ」はなんですか?

旅のお供にいかがかな?正露丸さん

うーむ、これもなかなかいいところついてきますね。
ちょっと抽象的な表現になってしまうけれど「余白」あるいは「のりしろ」。
って言われてもわかりにくいよね。

のりしろには、いろんなものが含まれると思うのですが、最近よく感じるもののひとつは「目の前の人に対する温かい興味・関心・好奇心」。

カンボジアで暮らしていると、いろんな場面で人とよく話します。
市場に行って野菜を買うときも「どこから来たの?何人家族?結婚してるの?子どもは何人?仕事はなに?給料いくら?」など、現在の日本だとぜーんぶ『個人情報』の看板の下でまっすぐには聞けないようなことをどんどん、明るく、ズケズケ聞かれます。

実は、特に市場では「相手のことがわからないと、なにがどれくらい必要なのかが分からない」という実用的な理由も隠れています。

日本の現在のスーパーだと、お野菜は適度な量にパックされて、お値段ラベルが貼ってありますよね。それをお客さんが好きに選ぶ。
でも、こちらの市場では基本すべてが量り売り。そしてだいたい1キロ単位。商品はおばちゃんの目の前にどどんと積まれています。

※最初にクギを買いに行ったとき、資材屋のおっちゃんに「クギ何本?」ではなく「クギ何100g?」と聞かれて、びっくりしました。
(あ!びっくりしたことがここにも…)
釘が何グラムかなんて、考えたこともないよ…と立ちすくむ私に「んじゃまあ、とりあえず100gだな」と言っておっちゃんが勝手に量って売ってくれました。

脱線したけれど、だいたいがキロ単位の量り売り…そんなにいらないよ!しかも面倒!と思うかもしれませんが(というかそもそもそれぞれの野菜が1キロでどのくらいかわからないですよね)市場特有の便利な仕組みがあるんです。

八百屋のおばさんに「今日のご飯は〇〇スープ」と伝えると「〇〇スープ」に必要な材料一式を袋に入れて渡してくれる。
このとき!先程の「何人家族?子どもは何人?」という目の前のお客さんに関するリアルな情報が活きてくる。○人家族だったら、大体これくらいだなと見当をつけて「ちょうど良い分量」を入れてくれるんです。

こちらも一式入れているおばちゃんの手元を見ながら「あ、ショウガは昨日の残りがあるから入れなくていいや。葉物は息子がよく食べるからちょっと多めに入れて」など冷蔵庫の中身を浮かべながら微調整をする。

お肉を買うときも、店頭で必ず聞かれます。「今日のメニューは?」と。
「煮込み」
「じゃあ骨つきでぶつ切りね」
「焼肉」
「ちょっと油多めのとこね。薄切りする?」

いちいちこういう形でやりとりしながらものごとが進んでいく。だから相手に自然と興味を持つし、こういう何気ないやりとりが相手との関係をつくっていくことを体感的に知っている。

商売に役立つから、相手の情報を得よう!みたいなギラっとした姿勢でも、批判的な冷たい興味でもなく、なんとなく必要はないけどあった方があたたかいという適度に血の通った関心が暮らしをあらゆる場面でつくっている。そして、それがのりしろになってみんなで生きるこの社会をくっつけている。

のりしろって本体ではないし、完成したら見えなくなる。でも、のりしろがあるから、こっちの面とあっちの面がつながっている。

でも、実はカンボジアにあって日本にない、のではなく、日本にもかつてあった、または今もあるんだけど、そこにあまり価値が置かれていなかったり、みんなが大事だと気づいていなかったりしているんだと思っています。

長くてまわりくどかったかもしれないけど、みなさんのまわりには、どんなのりしろがありますか?

幸せですか?

旅のお供にいかがかな?正露丸さん

これもシビれる質問!
これは端的にいきましょう。

まあぶっちゃけ大変なこともあります。
うっわ〜〜〜と思うことも、
そうくるか〜ということも、
おい〜とか、もう〜と思うときもあります。
(きっと日本でもあるけどね)

同時に、まじかー!すげー!ということも、
思わずあったかい涙がこみ上げることも、
これは奇跡みたいだなと思うこともあります。
(きっとこれも日本にもある)

どれも毎日の普通の日常のなかで起こります。
毎日こんなに心が動くのは、幸せなことだなと思います。

そして、かつての私は幸せ探しが下手で、強烈な文句言いだったけれど、
この場所の人たちが持っている、幸せに生きるための裏ワザを教えてもらいながら、少しずつ幸せを自分でつくるトレーニングをしています。

「幸せ筋、トレーニング」みなさんにも、ちょっとお裾分けしますね。

私の尊敬する幸せの達人の教えです。
カンボジア語で幸せは「サバーイ」といいます

苦しいときに、苦しいで終わらせない
つらい時につらいで終わらせない
あぁ、今日もみんなでご飯食べられてサバーイ
あぁ、今日は気持ちいい風が吹いていてサバーイ
今日も笑っていい日だったな、と1日を終える
サバーイはいつでも、いくつでも、見つけられる
サバーイを見つけたら、サバーイになっていく
自分をサバーイにするのは難しくないんだよ

みなさんにも、今日たくさんのサバーイが見つかるといいなぁ。

初めて海外に行ったのは何歳で、どんな体験がありましたか?

第46プリンセスさん

父親が旅行業だったので、初めて海外に行ったのは記憶もないほど小さなとき。何度も行ったようです、写真によると苦笑

最初の記憶は、5歳くらい、場所は香港。
ある朝に食べた鶏肉のお粥の味。美味しかった…!
舌が覚えています。
香港の思い出はそれだけ笑

次の記憶は9歳、オーストラリア。
世界自然遺産にもなったサンゴ礁で泳ぐため、テンション上がって砂浜を走っていたら、謎の出っ張りに両膝を打って流血。
美しいサンゴの海に入ったけど、塩水に足が痛くてそれどころじゃなかった。
ヒザが覚えています。
コアラより、カンガルーより、ヒザが痛かった笑

ちゃんとたくさんの記憶があるのは12歳。
幼なじみがお父さんの転勤でカナダへ。夏休みにその家族を訪ねて、1人でカナダへ行きました。

空港から友達の家に行く途中のガソリンスタンドで買ったコーラのカップがバケツくらいデカかった衝撃

なぜか惚れて買ったゴッつい狼の絵のTシャツ

短髪でオオカミTゆえに、サマースクールの先生に
「君は女子?それとも男子?」と真正面から聞かれた驚き

お菓子づくりクラスで英語がわからず、1人だけ出来立てのマフィン食べちゃって、5歳くらいの子に「先生、あの人食べちゃってるよー!」と告げられた時の恥ずかしさ
マフィンを焼いたオーブンに入りたい・・・

初めて英語で大声で理由もわからず怒鳴られたプールの更衣室。
「あなたは悪くないよ、世の中にはいろんな人がいるからね」と先生に励まされた後に乗ったバスの前に立ったすごい綺麗なお姉さんのボーボーのワキ毛。
ほんとにいろんな人がいるんだなって妙に納得したワキ毛。

降りる場所をヒモを引っ張って知らせるバス
真夏にTシャツでするスキー
湖のほとりを馬で水しぶきをあげて駆け抜けるホーストレッキング

両親に連れられて行った世界じゃなく、初めて自分が最前線にいて体感する旅は、ぜんぶがガツンと刻まれた。今でもその「場面」を鮮明に思い出せます。

大学以降、何度もいろんな旅をしたけれど、その土地の日常に入って、その土地の人と一緒に体感する旅をしたいと思うのは、この時の体験からかもしれない、です。

英語ができなくても、現地を楽しむことができますか? 

清少納言さん

「留学を楽しむことが」って質問には入っていたのでちょっと違うかもしれないけれど、上の感じで答えます。

カンボジアの公用語は、国民の90%を占めるクメール族のクメール語です。

その土地に行ったら、その土地の言葉を必ず3つは覚えるようにしています。よく使うトップ3を教えてもらう。または、じっと耳を澄まして聞いてみる。

インドネシアに仕事で行った時、屋台で食べたポテトが美味しかったので、身振り手振りで「ポテト、うまい、最高!」といったらお店の人が「ポテト」と「うまい」のインドネシア語を教えてくれて。

数日後にバスで山奥のディエン高原という場所まで行くことになり。
なんとそのディエン高原はポテトの産地らしい。
ディエン高原に着いたらそこらじゅうにフライドポテト屋台があり、少し歩くとポテトの畑まであった!

偶然習った単語をつなげて
「クンタン、ディエン、エナ!(ディエンのポテト、うまいよね!)」とひたすら連発していたら(実際ポテトはほんとにうまい)屋台のお母さん、畑で収穫していたおっちゃんたちもうれしそうに「エナ?!エナ!(うまいだろ?!って言っていると思う)」大いに盛り上がって、おいしいポテトをたくさん食べさせてもらった!

その土地に入る手前まで(空港とかビザとか)は英語ができると便利だけど、その土地に入る時には大事なことは他にあるかも。というか大事なのは、その土地で話されているのがどんな人たちのどんな言葉かを知るってことかも。

クメール語だと
「ソクサバーイ?(元気ですか?)」
「ニャンバーイ?(ご飯食べた?あるいは、食べていく?)」
「オークン(ありがとう)」
が黄金3点セットです。
いつかカンボジアの地を踏むことがあったら、きっと1度は上からきれいにこの順番で耳にすることがあるでしょう。その時は、ぜひ元気よく「ニャンバーイ!(ご飯、食べる!)」と。


近所の人との関係の中で困ったことはありますか?

ゴール・D・ロジャー

困ったことより助けられることばっかりです。
ご近所の方と毎日ちょこっと言葉を交わして、良い関係を作っておくと、セコムより心強く家を見守ってくれるし、お隣に醤油を借りたり、停電のときに家の前の道路で一緒に涼んだりすることができます。

たまーに、おい〜〜と思うことがあったりすることもあるけど、それも含めてお互いさま。

この間は、役所に停めたまま忘れて来て、無くしたと思っていた自転車が、近所の方によって発見され、帰って来ました。すごいでしょ?
大事な日々の足だったのでとっても助かった。
助けられてばかりです。

素敵な女性はいますか?

旅のお供にいかがかな?正露丸さん

「素敵」にはいろんな要素がありますが・・ぜひ、確かめに来てください!

サトウキビジュースやコオロギは例えるなら、どんな味ですか?

ゴール・D・ロジャーさん、清少納言さん、味はじゃがいもさん

コオロギは1番近い日本の定番だと「川海老の唐揚げ」かな。でも、それは私の感覚。例えちゃって、予想ができると、ちょっともったいないかも。
サトウキビジュースは例えられるものがないので、ぜひ現地で味わってもらいたいな。

ケチャップ・マヨネーズに合う現地の料理はありますか?

ばなーえさん、Mr.マヨさん

私がカンボジアで日常的に出会う食べ物には、よくチリソースがついています。

日本にもあるような世界的に知られているデリバリーピザ屋でも、ケンタッキーフライドチキンでも、同じくケチャップとチリソースが両方ちっちゃいパックでついてきます。

そんなチリソース大活躍の社会でも、ケチャップが消えていないということは、一定数のケチャップ信者がいるのかもしれません。

または、「地元の人はチリソースに決まっているけれど、外国人はケチャップを忘れられないのよね、きっと」という優しさかもしれません。

いずれにせよ、私からの提案は、いつか来るべき時が来たら、ケチャップを持って世界のいろいろなところに出かけてみたらいい、と思います。
(マヨネーズも然り)

自らの舌で、ぜひさまざまなご当地料理とケチャップとのマリアージュや、ご当地ケチャップとの対決などを楽しめたら最高だな、きっと。


まだまだ全ての質問には答え切っていないのですが、もしかしたら、「いつかカンボジアのゴザから」パート2がひっそりこのマガジンに加えられているかもです。最後まで読んでもらってありがとうございました。

何よりも、みなさんからまっすぐ寄せられる質問が面白かった。
質問っていいですよね。1人で話すより、自分でも考えていなかった何か新しい発見に出会ったり、それまでと違う理由を見つけたりする。
それを相手にお届けして、また反応が返ってきて・・
そのボールの届け合いが、やっぱり生きるおもしろさだと思う。

今回は素敵な届け合いの機会をありがとうございました!
オンラインで1時間の旅でこれだけ生まれた「???」だから、みなさんが実際に知らない世界を歩いた時にはどんなことになるんだろう?どんな世界が待ち受けているんだろう?どんな「???」と答えがあるんだろうと思って、勝手にワクワクしています。

今日も素敵な1日を。
たくさんの「???」に出会い、日々の暮らしがあたたかくなりますように。

吉川 舞

サポートいただいたら、私たち家族とその仲間たちのカンボジアライフがちょっとほっこりします☆