見出し画像

ほらね、社会と無関係には生きて行かれへんの「ストリート・ダンサー」「ゴースト・トロピック」「ビニールハウス 」*2024年3月に観た映画

よく社会的・政治的な事に発言する有名人を批判する傾向あるけど
ワタシもあなたも誰ひとり社会や世界、政治とは無関係に生きて行かれへん
・・・って事を言われているような映画ばかりやったかな、今月

理不尽やな、不平等やなと感じる事が
ジェンダーや格差社会が根っこにあったりする
今月観たのは以下
(全部、そやし)


  • テルマ&ルイーズ 2K(米)

  • ストリートダンサー(印)

  • ゴースト・トロピック(ベルギー)

  • 青春の反抗(台)

  • Here(ベルギー)

  • ダム・マネー ウォール街を狙え!(米)

  • ビニールハウス(韓)

  • 坂本龍一 WAR&PEACE 教授が残した言葉たち(日)

  • 青春ジャック 止められるか俺たちを2(日)

  • 映画 情熱大陸 土井善晴(日)

  • ヴィクラムとヴェーダ(印)





テルマ&ルイーズ


これ当時見逃して悔しかったヤツ
4K上映ですが、ワタシの行った映画館では2Kでの上映

テルマとルイーズがなんで友達なんか
ちょっと合点が行かへんけど
テルマの弾けっぷりに引く・・・

何度も「私のせい?」という言葉が出てきた
テルマという個でいたら
こんなにもいろんな事に自分の言動が影響するんやと彼女は思い知る

夫の”妻”である時間を長く過ごしてきたテルマの
「自由」で失敗する数々・・・
そこらへんがめんどくさいんやけど
ジーナ・デイビスの魅力がそれを半減する

ブラピが重要な役で登場!
まだ声が若すぎて安定してない感じ
でも若いからダメ、じゃないのよねぇ

とんでもない目には合うけれど
テルマは若い彼から多くを学ぶってのが皮肉であり笑わせる
自分の足で立ち、自分の頭で考えて動く
そんな当たり前がふたりの女をどんどん加速させる

女同士やから分かり合える事、イライラする事
天真爛漫なキャラとしっかり者キャラのぶつかり合い
そこに男性が絡むからややこしいのよね・・・

数々の選択をふたりはしてゆく
「もう以前の生活には戻れない」と言うテルマ
自分を解放したからこそ分かったこと

自分でつかんだ答えってのは強い

「彼女たちを助けてやりたい」とただの事件扱いをしない刑事
彼の存在が救いやった

テルマ&ルイーズ 4Kレストア版 公式サイト




ストリートダンサー


ダンスを掲げなくてもほぼダンスがあるインド映画
ダンスを見せる映画かと思ったら
あらま、こうなりますかの展開

ベタで少々無理があるにせよ
今の時代らしい社会派までは行かないけど
社会問題に切り込んでる びっくりした

ロンドンに暮らすインド系、パキスタン系の人たちという設定
大都会でスタイリッシュ、どの人もお金が湯水のようにある
インド映画でこれはまたこれで新鮮

誰のために何をするか、ってのは普遍的なテーマなんやな
誰かのために、って素晴らしいしカッコいい
そこに酔っ払う人も多い

自己満足の域から周りから認められる気持ち良さへ
そこから上になかなか行けないワタシ達
そこに気づく彼女

白人とインド・パキスタン人という人種差別もチラリ

世界的なダンスバトルに最先端のダンスだけでなく
インドの伝統的な音楽やダンスも織り交ぜ
これでもか、というくらいアクロバティックで派手なダンスの数々

しかし、水でびちゃびちゃに濡れ
足元もハネが上がるほどの水の中でのダンス
危なくてヒヤヒヤした

そこでも一糸乱れぬ激しいダンスやから
さぞかし撮影は大変やったでしょう

いくら身体能力が高くても怪我をしないように
役者さんやスタッフさんの安全は大切!

ストリートダンサー 公式サイト




ゴースト・ トロピック


静かすぎて、少々眠くなりつつ・・・
冒頭の部屋の描写、音と光で時間を感じさせるけど
一体どんな意味が?

彼女は移民なのかな
夜、営業が終了したビルの掃除
仲間は若い人が多い感じ、朗らかでアットホーム(うらやましい)

夜中、途方に暮れるアクシデントから
彼女という”ひと”が浮かび上がってくる

ただでさえ、自分のことで精一杯の状況で人の事が思いやれるやろか?
彼女はその面倒に飛び込む
側のワンコがいじらしくて切ない

なんとも想像力を刺激する流れ、終わりで
最後のアレはどうなん???

ワタシとしてはコンビニで女性が車で送ってくれる展開に
ホッとして「世の中捨てたもんじゃない」と思ったけど

映像もストーリーもさりげなすぎて
だからどうなん?と分かりやすさばかり求める世の中に
そんな分かりやすさなんて、面白くもなんともないやん、みたいな

もう1本の「Here」も観たいと思った

ゴースト・トロピック 公式サイト




青春の反抗


台湾って、戒厳令が37年間もあったん!?
解かれた直後のお話…そりゃ「自由」に渇望してるわな

まず、チーウェイの強さ、輝きに目を奪われた
好きな絵を心の赴くまま描く
自分の意見がある

大学の先生達の横暴にびっくりする
アレは教育者ちゃうやん
学生達を中学生のような扱い・・・

チンみたいな自由奔放、知的、気ままみたいな人って
学生時代必ずいるタイプ
理解できない、されないけどムードメーカー

チンは傷ついていて怖かったんやな
本当に「好き」と寂しいから「すがる」の間で揺れている
素直になったかと思えばわざと嫌われるような事をする

このあたりのジグザグ(3人とも)は20歳前後の彼ららしく
泣いたり絶望したりヤケになったり
そこに学生運動が絡む感じがタイトルそのもの

チーウェイとチンが全然違うタイプで
それぞれに魅力的でふたりのシーンがホンマにきれい
お互いが素直になったラストシーンがなんとも良くて
激しくて美しい映画は終わった

青春の反抗 公式サイト




Here


「ゴーストトロピック」の監督さん
音楽が弦楽器なんやけど、なんやろアレ
ウッドベースかな?(ジャズの大きいヤツね)

家にいると寝てしまう、「疲れたんだ」と姉にこぼす
彼は精神的に参っているのかな

この物語というかドキュメンタリー的な感じは
彼のポケットに種が紛れ込んだところから始まってたんやろな

彼女の感じが不思議で
ポスターではちょっと老けていて
スクリーンでは表情が柔らかいかと思えば
髪をまとめるときりりと別人のよう

ま、でも女性ってそうかもな

用事があるから行こうと思うのに
なぜか一緒に苔を見たり景色を見たり
あの時間の終わり ふたりの足元だけにカメラを持ってきたシーン
良かったな

ほのかな思いが生まれる時、生まれたとお互いが自覚した時
そんなホンマ”瞬間”をとらえていて
それぞれがひとりやプライベートな時間に気づくってのが良い

見つめ合って、とか 会いに行く、とかじゃない
それぞれがそれぞれの生活の中で
相手を思い浮かべてる感じが・・・

Here・・・今、ここ
この瞬間がこんなにも愛しい

Here 公式サイト




ダム・マネー ウォール街を狙え!


なんと株式投資の話
専門用語も出てきて、若干わからない点もあったけど
所謂エリートをカッコよく描きたいのではなくて
ローンや課題を抱える経済的に大変な人たちが主役

移民、学生、働く場を失った人、看護師・・・
いろんな人がいろんな背景を持って
一生懸命生きていて、株に注目してる
←ここら辺が時代の変化を感じるよなー

一生懸命働いている・学んでいるのに報われない
またそこに追い討ちをかけるコロナ
この辺りは世界中の多くの人に共感されるはず

ローリング・キティの服のセンスはどうかと思ったが
彼の哲学、公聴会での発言はなるほどと思わされ
経験に裏打ちされた”自分のスタンス”はカッコいい!

小口の個人投資家が優遇されるような仕組みになれば良いのにね
ヘッジファンドが強いって、どうやろか

監督は「クルエラ」や「アイ・トーニャ」の人!
この映画題材や時代感覚はすごく良いのに
下品な表現が多かったのは残念

ダム・マネー ウォール街を狙え! 公式サイト





ビニールハウス


トイレに行きたいような、まだどうむないような
そんな微妙さで観たせいか
なんかもう、最初っからゾワゾワ嫌な予感しまくりで
落ち着かへんのよ

スンナムみたいな、あの手の若い女の子はヤバいって…
「いつでも来ていいよ」なんて言うたらあかん!
あぁ、嫌な予感

こんなにもすべてが よろしくない方へ よろしくない方へと
ゆるやかな坂道を転がるように下ってゆく
長い悪夢を見てるみたい・・・

彼女には希望がある
そして女性としての華もある
なんで、ええ方に向かわへんのやろ

ワタシが彼女ならどうしたやろ

認知症というのは本当の本当に大変だ💦
本人が一番、訳の分からない世界に放り込まれるから

安心できない世界に入った場合は
本人も混乱し攻撃的になって辛いやろうし
周りも対応が大変

ワタシの席の並びに(5つ6つ向こうの席に)
「いや!」とか「ひ」とか「うわ」とか
声に出てしまうタイプの人がいらして、いや、なんとも正直(笑)

女性監督作だと知って「なるほど!」
あんなラストはびっくりした
突き放され感半端ない

「いや、どうすんねん」という気持ちを見事に
「お宅に任せます」と去ってゆく・・・
いやーーー、彼女を思うとやりきれない

ビニールハウス 公式サイト




坂本龍一 WAR&PEACE 教授が残した言葉たち


じわじわ、ここ数ヶ月”坂本龍一さん”がワタシに押し寄せていた
彼が亡くなって、まだ生々しい…

坂本美雨さんが
大友良英さんが
高橋源一郎さんが

大貫妙子さんが
このドキュメンタリー映画が

で、観てきました
アップリンク京都の「第4回 TBSドキュメンタリー映画祭2024年」にて

2001年頃からの彼の軌跡
地雷原のアフリカで
動物学者に
彼は問いかける 「どうして人は戦争をするのでしょう」と

9.11のテロ、東日本大震災、安保法制で国会前での反対運動
筑紫哲也さんの番組で彼は思いを言葉にし
前に出て発言するようになる←この流れ、ワタシは知らんかった

音楽活動とメッセージ性のある活動
それがどんどん混じり合い、また質が高く賛同してくれる人もたくさんいて

大災害、コロナ禍…
ワタシらはどれだけ文化に慰められ励まされているやろうか
社会や政治とまったく無関係な人間の営みなどないと思い知った

彼が世界中をまわり、命や自然を見つめ
その大きなテーマが彼の音楽を深め広げてゆき
社会的な発言の背中を押したのは、ごく自然な流れやと感じた

自分の知名度を使いながら
ひとりひとりが知って考えて行動する事
それしか今や未来を良い方向に向かわせる方法はない事を
彼は最後まで伝えようとしたんやなー

清志郎さんの時もそうやったのやけど
ワタシは亡くなってから、その人の生き方を知って
そのタイミングでどんどん情報が入ってくるパターン…

坂本龍一 WAR&PEACE 教授の残した言葉たち TBS ドキュメンタリー映画祭2024




青春ジャック 止められるか俺たちを2


若松孝二監督…ワタシは「キャタピラー」しか観てへん
「止められるか俺たちを1」は
存在は知ってたけど観たいと思わんかった

今回もそう観たいワケではなかったのやけど
井浦新さんや杉田雷麟さんが舞台挨拶に来ると知って
「行こう」と思った

なんと脚本・監督は「福田村事件」の脚本家の一人でもある井上淳一さん
彼が若松監督と出会って映画作りに飛び込んだ話やった

東出昌大さんが目をキラッキラさせて
熱く熱く映画の素晴らしさを語るミニシアターの支配人役
あの表情と熱さに触れられただけでも思った以上

芋生さんや杉田さんの情熱ばかりが空回りして
素直になれへん感じとかダメな自分への失望とか
若い頃のグダグダがめっちゃ正直でリアルやった

在日で受ける理不尽や複雑さもちゃんと描かれていて
濃ゆくて熱い若松監督がなかなかに魅力的で
分厚くて素敵な映画やった

映画の後の舞台挨拶ではいろんな話が聞けて
いい現場やったんやろなぁ
濃くて超個性的で困った人がたくさんいるらしい(笑)

今のミニシアター
小さくても無名でも良作をかけるカルチャーの始まりが
若松監督がきっかけだったなんて!

胸熱になる経験、できますよ

青春ジャック 止められるか俺たちを2  公式サイト




映画 情熱大陸 土井善晴


こんな人に出会うと
ワタシのタマシイがのびのびしてスキップしたくなる

土井先生、ワタシらお友達になれそうですよ

前から先生の事、ええなーと思ってフォローしていました
「料理を哲学する」も聞いてます
なんでやろ?ーその疑問が「ああ、なるほど」に変わりました

どこへ行っても一緒
ええカッコしたり偉そうにしたり
不機嫌になったりせえへん

いつも(お嬢さんが言ってた)「ハッピーパパ」

そこが最高に素晴らしくて信用できる!

先生の年代の男性は、そうと違うから
料理の楽しさ、クリエーション
食べるものがからだをつくる、そんなお話をきらきらした目で語る

いつも基本中のきほん
ご飯の炊き方(お米を洗うところから)
お味噌汁(何を入れてもいい ex.ちくわ、ピーマン、生クリーム、バタートースト そして出汁を取らなくていい)

雑でもないしウケ狙いでもない
食材や生産者、女性へのリスペクト半端ない

先生、帰ってレタスとお豆腐で湯豆腐しました

映画で右隣のご夫婦が
なぜこれにここまで受ける?と思う程
お二人で笑っておられて、めっちゃうらやましくなりました

映画 情熱大陸 土井善晴 公式サイト




ヴィクラムとヴェーダ


ええ事してるようで、あれ?
わるい事なん、これ?
なんてさ、思うことあるある

今はよろしくないと思えても時間が経てば
「あれで良かったんや」と思えたり

最悪…とかなりヘヴィだった事が
「あ、これはこういう事やったんや」と
後々わかる、みたいな事の連続が生きてるってこと

そういう矛盾を「あー、もどかしい💦」ってした映画

最初に書いとく ダンスシーンは1回だけ(笑)

すごく男性的でエネルギッシュな力強いダンスで
あれ、日本人男性を100人集めてやっても
あそこまでのエネルギーは表現できんやろ、と思わされた
(ヴェーダの表情が良かったナー)

ワタシ的にはヴィクラムの方がモノを決めつけて見ていて
確かに腐ってる人ではないけど
迷わずガンガン人を殺して正当化しているとこは、どうなん・・・?

ヴィクラムの矛盾というか葛藤が
ヴェーダの後追いと言うかヴェーダの方が先に乗り越えてる
ラストの持ってゆき方は「うまい」のひと言

ワタシの並びの向こうの方に座ってた人が
度々スマホで時間を確認?してたのに集中を持って行かれる
(その程度の集中と言われれば、そうなんやけど)

やっぱりインド映画ええわぁ♡
帰りに女性ふたり連れが「あれは…って事なん?」と
さっそくのわかち合いが始まっていて、ええなぁと思ったわ

あ、そうそう
ヴェーダ役の人の右手の親指やったかな
堂々と、しかも何回も見せておられて素晴らしいと思ったわよ

ヴィクラムとヴェーダ 公式サイト




ベルギーの映画を初めて観た(と、思う)
ヨーロッパは移民(その根っこに戦争や差別が横たわる)
アメリカや日本は格差や平和って…?その他諸々に揺れている

その影響をスルーできひん映画ばかり

誰かの痛みが実は自分に関係があったり
ささやかな日常が自分や家族の足元をしっかり支えることだったり
・・・生きてるって、愛しいなー

映画は日本にいながらにして
広い世界を、様々な人を、大事なことは何、を
ワタシらに見せ、問いかけている感じ

世界とのつながりは断とうとしても断たれへん
そこに気づいた で、次は受け入れて・・・
そして、どうする ワタシ

自分の目の前や足元が一番大事
そやけどその自分を支える食べ物や友達、経済や社会システム
その他もろもろが政治や世界と関係して、ココがある

俯瞰する視点
目の前に起こる事のその向こうを見抜く視点
映画で学ぶ 日常から学ぶ
























































自分がええなぁ、おもしろいなと思うもので人とつながり、楽しく働けたらなぁ。