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過去とどう向き合う?「アリランラプソディ 」「パスト ライブス 再会」「異人たち」*2024年4月に観た映画

自分の子どもの頃や10代、20代の頃
過去の歴史 世界や日本
・・・時間は目に見えへんのに、確実に存在する

人は「時間の中で生きている」?
時間は”世界”のように大きくて漠然としているようで
数字で表され誰もに等しく流れている

考えてみると不思議・・・

「今」を見ると「過去」をどう捉えているかが、わかる
ワタシも人も国も

タイトルに挙げた映画はどれも
その過去との向き合い方が変化して「今」が変わってゆくんやろな
と思わされるものやった



  • ピアノ・レッスン(仏、NZ、オーストリア)

  • ただ空高く舞え(印)

  • アリランラプソディ(日)

  • パスト ライブス 再会(米・韓)

  • レッド・シューズ(豪)

  • 夜明けのすべて(日)

  • ソウルメイト (韓)

  • 犯罪都市 NO WAY OUT(韓)

  • ゴッドランド/GODLAND(氷島、瑞典、丁抹、仏)

  • 異人たち(英)




ピアノ・レッスン 2Kデジタルリマスター版


公開当時観た映画なのに
ピアノの旋律とタイトルしか覚えてなかった💧

親の決めた会ってもいない男性、おまけに遠い異国へ嫁ぐ
そんな時代
人と気持ちを通わせる事は意味がないとされたんやろな
女性は男性に父親に夫に従えば良い、あぁ・・・

彼女は豊かで饒舌な内面をピアノでお喋りし
黒いドレスを鎧に美しい内面を守ってたんや
その反面、ピアノの事になると激しく怒る

彼は彼女のピアノから
どんな人なのか興味が湧いて、何となく想像できて
そやし近づきたい、触れたいと思ったんやろ

ピアノを弾いてる彼女が旋律が、美しくて
彼が触れたくなるの、めっちゃわかった

自分の気持ちに正直に
愛を選び取り貫くことは自由になる事でもあるんやな

ただのラブ・ストーリーじゃない
ホンマの愛は人を解放する、彼女はどんどん解放されてゆく
ニセモノに我慢ができなくなる

夫の苦しみは見てられへんかった
彼女が自分を受け入れようとしてへん事を敏感に察して
かなり自分を抑えて時間をかけて夫なりに歩み寄ろうとしてた

でも最初、彼女をひとりの人として見てへんし
ピアノを愛する気持ちもわからん感じ
頭がおかしいとまで言ってた←こういう感覚の人と彼女が心を通わせられるとは思えん・・・

いやー、しかしラストまで気を抜けへん展開
暴力は簡単に人を従わせるようで
結果的には本質的に人間的な愛も信頼も、その可能性すら失う

彼女が「え!まさか」のハメに陥りそうになったけど
あれ、神様のお試しやと思う
あんな事をしたから報いが来たんちゃうし

このまま、コレを受け入れるのか?お前の覚悟はどやねん?
って問われたんやと思ふ

そやけど、あんな小さな船であの荒波に遠くまで行かれへんやろ💦
危なっかしくて、でもなんかスリリングで暗示してる感じして
デジタルリマスターするだけの名作

ピアノ・レッスン 4Kデジタルリマスター版 公式サイト




ただ空高く舞え


いやーーー、純粋に感動

格安航空券は今当たり前になったけど
いかにして価格を下げるか
そして新しい事を始める逆風…

飛行機は富裕層のもの…なんて誰が決めた?
いろんな人が一緒に乗るーそれが嫌ならバスも電車も乗れへんやん
インドのカーストの複雑さ、そこに纏わる人々の意識や思い

どんな苦境に陥っても「誰もが利用できる飛行機」を目指す彼
一緒にやる仲間すらも分裂し、もうダメだを何回も経験し
観ていて辛すぎる展開

ただいつも彼の夢を理解し、その困難をわかってくれてる妻
←彼女もビジネスを起こし成功させ発展拡大しているからすごい
彼女が喧嘩腰のように彼を心底信じている言葉

この二人の馴れ初めや絆を作ってゆく過程も同時に描かれていて
美男美女ではあるものの、お互いに破天荒で
「おもしろいヤツ」で「結婚してもいい」ってところが
かなり今っぽい←こういう方が長続きするんかもよ

彼を散々いたぶる大富豪が
カースト下位の人を人間と見なさないような考えを持って
ムキになって彼を潰しにかかるんやけど
←そんな人は成功せえへんと思う

ま、困難は映画のスパイスやから必要やったんでしょうけど

イギリスの階級社会に囚われた人々の意識を何かで読んだ
そやけどインドもそうやん
富裕層と貧困の二極化は世界中で進んでいるんかもしれん

生まれた土地から離れたことがないような人たちが
飛行機に乗る
その喜びや彼らの世界の広がりは、絶対インドのためになるはず!

ただ空高く舞え 公式サイト




アリランラプソディ


きっかけは映画館のロビーに貼ってあった
ハルモニたちの一生懸命書いた日本語の感想やった
在日朝鮮人1世の歴史と彼らという人間の姿のドキュメンタリー

ヘイトスピーチという言葉を聞くようになったのは
割と最近のような気がする

在日の人が多く暮らす街でのその様子をスクリーンで初めて見て
恐ろしさと怒りで震えた
関東大震災の時の朝鮮人虐殺もこんな感じやったんやろか

彼らが日本の植民地支配で強制連行されたり
仕事や暮らしを奪われたから日本に来たのに
今も税金は取られているのに
選挙権もなく無権利状態に置かれていると言う・・・

なんてこったい

だけど、共に学ぶ場というのがあって
その街の日本人がハルモニたちと一緒に
ハルモニからは食や歌や文化や歴史を学び
日本人は日本語の読み書きを教えて…一方的でないのが良いなぁ

苦労しかなかった1世は高齢になり
2世や3世が支え大事にしている様子にグッときた

安保法制が国会で審議されていた時
ハルモニたちから「戦争はぜったいいや」と彼女たちから動いて
デモ行進する姿(ハルモニが書いたひらがなの横断幕が素敵やった)

在日?ヘイトスピーチ?
在日の人たちは日本人の税金でのうのうと暮らしている?
それ何?それホンマ?
ーそういう人はこの映画観ると、ホンマのことがわかります

アリランラプソディ 公式サイト




パスト ライブス/再会


うーーーん、ワタシは辛気くさかったな

離れていても結ばれる人はいるけど
じっくり一緒に過ごした時間がないと育たないような気がする

大人になってネットで再会して
確かに会話はたくさんしたやろけど
あの時実際に会わなかった、ってのが大きいと思った

あの時、ふたりは会っていたら結果は違ったんちゃうかな

彼女が夫に言ったことは嘘ちゃうやろうし
どっちの方をより愛してるってもんでもない感じやし
比べようもなく彼と夫は彼女の中で大きいのやと思う

相手が結婚してる以上、どうなるもんでもない
と思いながら彼は会いに行ったんやろうけど
どこかに期待もあって
もしかして踏ん切りがつくかなってのも、あったんちゃうやろか

彼女は最後きっぱりさっぱり彼と別れて「へ?」と思ったけど
あの後めっちゃ泣いていて
夫も何やら察していて、かなしくて美しい最後やった

パスト ライブス/再会 公式サイト




レッド・シューズ


ただ感じたまま踊る…のではなく”自分”で踊る
プロって、ものすごい要求を突きつけられる

自分を確立してゆく
日々、ルーチンをこなしながら
そこから自分の身体と出会い話し、表現してゆく

誰かのマネは長くは継続できるはずがない
だって、自分ではないから

踊る映画に惹かれる
美しい肉体、動く筋肉、感じる呼吸
その奥で止まることのないダンサーの感情

誰かと一緒だからできていたこと
”誰か”がいなくなった時・・・
ホンマにそれやりたいのん?本気なん?…色々お試しがくる

自分で生きる腹が決まってないサム
彼女がもがき苦しみ足掻いてつかむ自分自身
彼女の汗や呼吸がそこかしこにあって
稽古でボサボサの髪や処理しきれない感情の発露

それすら美しいと感じるけど

なぜ一緒に頑張る人と惹かれ合うのか、視覚的にわかる
支え合える人に必死になれるのか
ユーモアが人を救うのか、わかる

オーストラリアの映画なんやって
珍しいよね

ワタシは踊る人、表現者に興味があるらしい・・・

レッド・シューズ 公式サイト




夜明けのすべて


めっちゃ良い!という声が大きい感じで知った映画
あら、「ケイコ 目を澄ませて」の三宅唱監督やん

瀬尾まいこさんの「そしてバトンは渡された」を最近読んで
彼女の作品に注目はしてた

三宅唱監督の映画って、日常を撮るのがうまくて
ワタシの目で日常を見てる感じが映画になってる気がする
逆光だったり、”クリアできれいな色のなんとかK”じゃなくて

普段見てる景色に、そこに生きてる人暮らしてる人がいて
お洒落な特別な人を切り取ってる、とはちがう
そのちがいがシーンを観ていてわかる

男女が出てくるけど恋愛映画じゃない
バディもの、って言うかさ・・・
こういう友達・仲間感覚の方が日常多くない?

そこにフォーカスしてるのが、心地良かった

ふたりもそうやし
会社の人間関係も踏み込み過ぎず
良い感じの距離を大人の先輩たちが微妙に保ってくれてる

仲良しこよしが良いとは限らない

時には「え?ちょっとそれ、言い過ぎてへん?」みたいな事も
相手や状況によってはOKやし
男女が力を合わせたり、うまくやってると
すぐ恋愛に結びつける感じがないのも、観ていて自然やった

ワタシは
”男女”というとすぐ恋愛沙汰に持ってゆきたがる風潮や
異性同士やと、すぐそこを意識したがる感じが
とても苦手なので

その苦手感を「心配せんでもどうむないで」的な
この空気感に安心した

異性だろうと何だろうと、お互い人間やんってトコが分かってる人
そういう人が特別なひとになるわな、そりゃ

夜明けのすべて 公式サイト




ソウルメイト


愛する気持ちとおんなじぐらい嫌いだったり憎んでいたり
めっちゃ愛してる瞬間と一緒に居たくない瞬間があったり
・・・そうゆうのが「愛する」って事なんやろか

大好きやし他にこういう友達はいいひん
でも、でも・・・
好きだからこうして欲しい、こうあって欲しいって思ってしまうのが
人間なのかな

わかっているのに知らん振りをしたり
そうじゃないのに誤解されたり
大人になるにつれお互いの世界の違いに悲しくなったり

でも子どもの頃に交わした言葉を覚えていたり
相手が見たものを見たいと思ったり
泣きたくなるほどピュアで
実は恋人の事なんて大して意味なかったんちゃうん

元々の中国映画「ソウルメイト/ 七月と安生」を観ていた
でも韓国版は単なるリメイクちゃうやろ、と思ったし
予告編を見て、「これは!」と思った

お客はなぜか若い女子同士ふたり連れが多く
ミニシアターがいつもとちがう雰囲気で
「ソウルメイト 」という言葉が彼女たちを引きつけた?
韓国の作品だから?

ワタシがハッとしたのが
彼にもらったお守りをミソが大人になってもずーっと着けていた意味

決裂レベルの場面で
「私があんたを誰よりも愛してる」と言い切るハウン
なぜこうなるんだろうと泣くミソ

そしてハウンが結婚式を抜け出して
初めて”自分”で歩き始めたあの時間の美しさ
男を乗り越える…っていうかさ、”自分”として自分の人生を生きる
そのうつくしさと切なさって言うのかな

グッときて何度か涙が流れました
生きてるって、素敵やね

ソウルメイト 公式サイト





犯罪都市 NO WAY OUT


めっちゃ大きいマ・ドンソクを知ったのは「新感染」
気は優しくて力持ち、おまけに楽しい3枚目
今回もそんなキャラで週末楽しい気分で観るのに最適

韓国ノワールvs警察

まず感じたのはインド映画はヒーローの強さを引き立たせるのに
やられる人が殴られぶっ飛んだり落ちたり…と
「やられてる人が頑張ってる」がわかる(笑)

そやけど韓国アクションは双方本気でやってるやろ!と
思わずこちらが痛くなる感じで、容赦ない
そこに青木崇高さんチャレンジ!

そう、この映画に日本から國村隼さんと青木崇高さんが出てるのも
見所のひとつ(國村さんはアクションなし)
國村さん、前も韓国映画に出てたなー

やる気がなさそうで勘が冴えてて、上司より仕切るマ・ドンソク(笑)
なぜか一番マズい状況でひとりになり、終わった時に仲間が駆けつける
・・・というお約束の笑うシーンが

残酷なシーンも多く、何度かひやっと目を覆った
でも「水戸黄門」と同じ警察が勝つ気持ち良さ
次作に続くラストだったりして、ちょっとドラマ的な要素も

犯罪都市 NO WAY OUT 公式サイト




ゴッドランド/GODLAND


デンマークとアイスランドの関係知ってる?
知らんかったんやけど、どうやら色々あるらしい…

過酷やけどどこにもない自然や風景のアイスランド
尋常じゃない寒さ、なんやろなー

牧師と案内人のそれぞれの気持ちの複雑さ
それがちらちらして
対立してるのか寄り添おうとしているのか

哲学的な映画やった

不慮の事故で亡くなった通訳
彼の死はその時だけにとどまらない
後々響いてくる

行く場所や出会う人を撮る牧師
当時の大変な撮影機材
あれを命のように大切にする感覚が痛い

彼はまさに命をかけて目的の場所に着く
既にどこか狂気があって不穏な空気が漂う(全編そんな予感に満ちている)
人が狂う条件をなぞるよう・・・

死んで姿や存在を変える
死ぬ事が解決と判断される
生死のすぐそばに宗教があるけど、めっちゃ無力
支えにもなってへん

いろいろ想像したり考えたりさせられる
神はいるんやろけど、肝心な時の導きは感じた事ない
後々、あれで良かったと思うんやけど
・・・そんなもの、なのかもしれへん

ゴッドランド/GODLAND 公式サイト




異人たち


原作がなんと山田太一氏
日本でもドラマ?映画?になっていたのは知ってる

時空や時間や場所が夢のように変わる
それがとても自然で
どこまでが現実でどこまでが夢なのかわからへん

それが、とても効いていた

ワタシだけかと思ってたけど
やっぱり誰もが”孤独”と一緒に生きてるんやな
家族といようが恋人といようが

マイノリティーは特にその孤独と深く結びつくものがあるんやな
アダムは良い関係とは言えなかった?両親と
子どもの頃に死に別れて、それからの孤独感もあって…

ハリーも孤独やからアダムの前に現れたんや

最初は性的なつながりから始まったとしても
当然、話したり一緒に様々な体験する事で相手を知る
お互いが孤独だったから、相手の気持ちがわかって寄り添えるんや

大人になった自分が若い頃の両親に会う
想像しただけで泣ける・・・

異人たち 公式サイト




過去を客観的に見て、どうであろうと
良くもわるくも認めるところは認め、客観的に受け止められると
「今」は変わる(実感しております)

過去とどう付き合うかで誰もがこじらせていて
それが自分への評価と深く関わり
「今」が苦しかったり辛かったり

ここを越えると(つまり過去の捉え方が変わると)
「今」も「未来」も変わるんやー

前に
「時間は未来から過去へと流れている」と聞いたけど
それがわかる気がする

未来がゴールじゃなくて未来は永遠にあるものね
自分が死んだって

こんなとりとめのない事を考えるのも、おもしろいなー















































自分がええなぁ、おもしろいなと思うもので人とつながり、楽しく働けたらなぁ。