「」常松結 2021/11/20
・あまり日記を書けるような気分ではない。
・昨夜、晃が現れた。
・いつものように非可住立方体へリケちゃんと一緒に侵入したところ、彼女が立っていた。
・全裸。靴も履かないで公園の砂を踏んでいる。隆起した胸のシルエットが分かる。
・彼女はボウとして突っ立っていた。まるで自分がここにいると気がついていないかのように、焦点の合わぬ目を虚空に向けていた。
・立方体の内部で、他に護衛者などはいなかった。つまり彼女が”そう”なのか?
・幻覚だ、と思った。そういう攻撃なのだと。しかし呼吸する肩の上下や、肩口で雑に切られた髪は、どう考えても彼女本人だ。
・生きている。あのラッコ型と同じく。あの身体には、あの舌には、血管と神経が通っている。そうに違いない。
・私は話しかけようと口を開いた。
・それより早く、リケちゃんが地面を蹴って晃へ飛びついた。
・その場で押し倒し、晃の胸の上へ馬乗りになった。メリケンサックを握り、頭部へ打撃を加え出す。右、左、右、左、と間髪入れずに殴打を繰り返した。晃の顔面は陥没していった。
・私は呆然とその光景を見ていた。
・リケちゃんは何かを叫んでいた。
・渡さない、と言っていた。常松さんは私のものだ。やっと私のバディになったんだ。それをお前は、奪いにきたんだろ。今さらに奪いにきたんだろ。渡さない。常松さんは渡さない。
・ダメだ頭が痛い。
・寝ます。
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