きゅうりの低段ピンチってなに?
きゅうりの低段ピンチって知ってますか?
最近、きゅうり栽培でもトマト栽培のように、主枝のみですが段数で表現よう人も増えてきました。
いつからそうなってきたのでしょう。
思いあたるのは、節成り性の強い品種が広く普及し、特に「更新型つる下ろし」の栽培方法が広がったからだと思います。
更新型つる下ろし栽培を知りたい方は下の記事をご参照下さい
https://note.com/preview/n279cd5427c6d?prev_access_key=00b9ab6e30a8a109c9c538505d3396ab
しかし、実際の意味合いはもう少し深いんです。
何点か要点を説明すると
●具体的には
1..芽かきは畦上30〜40cm程度と通常か、やや高め設定
下段を繁茂させると作業性や環境的に良いことが殆どないので、ここはやや高めに設定します。
2.主枝のピンチは高さではなく、節の数でピンチする
通常の摘芯栽培では、ある程度の高さにツルが届いたらピンチしますよね。
しかし、低段とは言うものの元々の意味合いとしては、
高さではなく、「節の数を制限する」事から始まったのかな。
それが表現方法や伝わり方として、段数になったように思います。
ですので実際には「有効枝を制限する」と表現する事もあります。
見慣れないと不安ですが、ピンチしたあとのきゅうりの樹を見下ろすのはちょっと圧巻の景色にも思えます。
また、上部の空間が広く開くことで、終盤の作業がとてもしやすくなります。
概ね側枝を発生させる数は6本から10本前後。
目下の収量ではなく、定植期や作業性(下で説明)などを考慮し枝数は変化する。
約半年栽培してこの空間の確保。凄くないですか!?
きゅうりの樹を見下ろせて、端から端まで見渡せる。
3.側枝や孫枝の展開を促し、葉数を確保する
きゅうりは主枝をピンチしないと、なかなか側枝が早く、強く動かない性質がだと習いました。
主枝の生長だと、いまの栽培方法だと早くても1日に1枚程度の葉の展開がMAXでしょうか。
一方でピンチした途端、側枝の動き、すなわち葉数の展開は1日に1枚よりも加速度が増してます。原因は分かりませんが顕著に現れます。
また、孫枝の動きもそれに準じてます。
主枝の花が咲く頃には枝の節が、だいたい4節以上は確保されてます。
4.雌花の着果制限にもつながる
ここも大切なところです。
特に節成り性の強い品種では、
雌花数 ≒ 葉数
「葉の数と雌花の数が同じ」なのでどうしても初期は葉数が少なく肥大が負けてしまいがちです。
しかし節数を制限しることで主枝の雌花を制限されます。
主枝の果実は太めで短いのが通常(果実の成長が樹の成長に抑制され、タテに伸びるよりヨコに太る)なので、
そして主枝のピンチが早いので雌花が開花する前に、側枝や孫枝が展開されます。
そうすると
雌花数 < 葉数
の構図になるので、果実の肥大成長もラクになります。
5.低温寡日照こそ活躍
ここも大きくアドバンテージがあります。
低温期とはいつでしょう?
思いつくのは11月や12月から、だいたい3月くらいまでかな?と思いますが、桜のお花見のとき、結構寒くありません?
最近の関東では、5月に入ってらからも外気で5℃なんてときも結構あります。
トータルの積算温度ではありますが、山間部の冷えるのが早いところでは、10月から最低気温が大きく下がり始めます。
西南暖地ではそうではないところもあるでしょう。
寡日照はいつでしょう?
あまりこの表現を使わなくなりましたね。
最近は日射で表すことも多くなりました。
しかし、ここではあえてこの表示で。
日本海側では冬型の気圧配置が強まる頃より日照が少ないですね。
また梅雨時期にも日照時間は短くなります。
秋雨前線のかかる9月もそうでね。
8月もお盆前後より台風シーズンに入ります。
こうやって見ると低温期や寡日照期は結構長くありそうですね。
話は長くなりましたが、低温寡日照期は光合成する力が弱くなるので、節数を制限すると、その分養分を分配する枝数が少なく養分が行き届く。ことなんだろうと思います。(仮説です)
養分生成 ≒ 養分分配
これがつい合っているんだとと思います。
必整枝方法として、一節ピンチではなく、二節あるいは三節くらいでのピンチが多いと思います。
強い日射しと高い温度があるときは節を確保した分だけ脇芽の発生も多くなりますが、低温寡日照になると脇芽は淘汰され、結果先端部くらいしか動いてませんよね。
以前、摘芯栽培で長期越冬栽培をする方に、
「低温寡日照期に入る頃には枝を間引くんだ」
と習った事を思い出します。
その頃は低段でピンチするなんて発想はありませんでした。
しかしよく考えてみると、「つる下ろし栽培」を長期越冬栽培する産地では、元々よりその方法が取り入れられてました。
養分の分配先の制限ですね。
●問題はないの?って感じます。
大きな問題はあまりないですが、挙げると
1.低段や節数を制限し、低くピンチすることへの"慣れ"
これはハードルが意外と高いです。
芽かきを一節でも高くすることでも抵抗がありますよね。
それ以上にハードルは高いです。
枝数が少ない ≒ 不安
これは感じます
2.枝がよく動き、動きが早い
養分の分配先が制限されるので、日射が強く温度が高い時期には枝の動きが早い傾向にあります。
手入れが間に合うがが問題にもなります。
他にもあると思いますが、また追記
●今後は広がるの?
どうでしょう。
ちょっと柔軟に頭を切り替えないと、なかなか初めは不安を感じるでしょうか。
しかしトータルすると、良いことのほうが多いと思います。
上部の作業性や収量性、秀品率の向上。
日射しがよく入る。
薬剤散布を軽減。
軒が低い圃場ほど、なかなか良い栽培方法ではないのでしょうか。
ではまた
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