目的別、キュウリ栽培仕立て方はこれだ!

最近、色々ろなキュウリの仕立て方があって面白くなってきた。

ちょっと前までは「摘芯栽培」or「つる下ろし栽培」のいずれか
しかないと思いこんでいる節がとても強かった。

しかし圃場を色々見せていただくと、基本的には「摘芯」か「つる下ろし」かの形を則りながら、様々な創意工夫がなされていて、その目的が
なるほど〜!と、聞くととても面白。
今回は様々な仕立て方のメリットやデメリット、導入目的など聞いての
感心どころを綴ってみた。

○摘芯栽培、ナイアガラ仕立て

勝手に命名。
主枝は通常の摘芯栽培と同じく草丈170cmくらいまで伸ばしてピンチ。
しかし面白いのが一切として、紐やネットなどで側枝などを誘引しない点。
つまり枝はナイアガラの滝のように下へ下へ流ていくような感じ。
逸れも側枝→孫枝→ひ孫枝と更新しながら。

 ビンチの位置が高いのは、あくまで推測だけど、下に限りがあるから初から高い位置でスタートし、出来る限り下に着くのを遅らせるため。そこから始まったのかな。でも結局、色んなものを伝って、上の枝は上に行っちってるのが現状っぽい。

メリットは…
・誘引する資材を準備する必要がない
・誘引する手間が不要 
・手入れで手を中にツッコム必要がない

だから植える本数を多く設定できる


デメリットは…
・ビンチした先端部が下を向いているので、次枝の発生が遅い。
樹勢が徐々に落ちていく。
・下の空間に限りがあり(地面)泥はねで植物や果実が汚れやすい。
・下に生長点が向いていくので、草勢が維持しにくい

つまり、超短期密植穫り

かな

○摘芯栽培、立体通常仕立て

東の横綱、摘芯栽培の王道です。
草丈170cm程度でピンチ
側枝を誘引する棚線やキュウリネットは、横へ展開。
ネットまでの距離は主枝より幅20cmくらいのところへ設置。

メリットは…
・皆しているから模範がたくさん。
・立体的だから樹勢を保ちやすい
・樹の懐に空間があり、風通し良く、日差しが入るなど環境が良い

側枝より枝数が多く確保出来るので、中長期作の2月から10月くらいの高エネルギー期間は、空間さえ確保できれば収穫量が相当上がるポテンシャルはメチャメチャ高いハズ

デメリットは…
・ビンチした瞬間両手を上げる作業。バンザイ管理はちょっと辛いかな
・最近は主枝からネットまでの距離が30cmくらい確保する圃場もあるので、作業性は改善されてきた。通路の幅も確保する必要があるから、それができれば最高かもね!

高エネルギー超多収穫り

どうだろ

○摘芯栽培、低段ピンチ法

最近流行ってきている仕立て方のひとつ。
特に情報入手が早い、アンテナが高い生産者が導入する事例が多いかな。
高さでピンチの位置を決めたり、側枝を発生させる数で決めたりしているが、従来の仕立て方より草丈が半分から7割くらいになってる。
ピンチしたら上からキュウリの樹を見下ろして、頭上の開放感がハンパない。ちょっと意表を突かれた感じがするよね。

メリットは…
・だいたい通常仕立てと同じかな。でも手を上げなくて序盤や中盤まで作業ができるのはいいなー。

エネルギーが少ない、もしくは少なくなる11月定植や12月定植、または日本海側の1月定植にはメリットは多いと思う。特に節なり性の高い品種を選んだときにはこの仕立て方の方が初速は出るよね。


デメリットは…
・初期の収量がちょっと寂しい。せっかく重油コストがかかってるので、何とか改善したい。
・エネルギー量が多くなってきた時期より一気に草勢が増して枝処理、摘芯管理が難儀。

省エネ期多収穫り 

って感じかな〜

○主枝+側枝の、親子2本仕立て

これも最近はちょっと多いのかな〜
いわゆる大産地とかではなく、
大産地ではないがキュウリ作りが盛んな土地。キュウリ栽培を慣れてる
方が導入してる仕立て方っぽく見える。

無加温栽培や露地栽培、雨よけから越冬、促成、半促成だの圃場も時期も色々。

メリットは…
序盤より葉数を確保できるのは利点かな

なんといっても天候や季節に左右されにくく、草勢が維持しやすい

これが1番じゃないのかな。

デメリットは…
・空間を単純には株辺りで倍の面積を使うので、採植本数が減り初期の収量は少ない傾向。
・草勢が着くので初期の成り始めが遅れる。
・慣れてない人はやり難い、

草勢が維持しやすいってのは、幅が広いって事だから、良いことだとも思うけどなぁ穫り

この2本仕立て方の方が株辺りで倍穫れると勘違いしないように


以上が摘芯栽培。

摘芯栽培は個人の裁量次第で手入れの自由度が高くかり良いよね〜

○更新つる下ろし栽培

最近のエース格。
一度はやってみたい!

メリットは…
・高エネルギーのときは力枝を多く確保
・寡少エネルギーのときは力枝は少なく制限
・常に枝を強く維持する管理のみ(ちょっと雑に言い過ぎ)
・極めると更新つる下ろしとストレートの良いところを取りながら更新出来る。
・秀品率が高い。
・作業が単純で人に伝えやすい⇐これでしょ!

イマの国内の栽培法では、雇用も見据えれば相当ポテンシャルのある仕立て方の1つではないでしょうか。


デメリットは…
・人との共同作業を前提と考えるべき
・毎日手入れの作業がほぼある
・この仕立て方を出来る品種が多くはない

これも草勢を強く維持しないと出来ない管理なので、幅のある仕立て方ダス。雇用などを前提として、でも管理は摘芯管理のまま。そんな方にオススメ。


○つる下ろしストレート栽培

来ました。西の横綱(西南暖地に多いから)
2023年の今年も絶好調の入り。
なんといってもつる下ろし栽培のド定番。

キュウリの生理を最も理解している栽培と言っても過言ではありません。
なぜ果実が肥大するのが。
どうやって枝を伸ばすのか、はたまた伸ばさないのか、
葉かきの必要性は?
奥深さを感じる、正に職人の域

メリットは…
・秀品率
・高収量(果実肥大回転)
・単純作業⇐人にも伝えやすい

デメリットは…
・短期では収量が上がらない
・雇用などを前提(メリットかデメリットか判別はつかない)
・出来る品種に限りがある

オランダのように高軒高ハウスの時代が来ると、ストレートのつる下ろしが最も普及する仕立て方なのかも知れませんね。


仕立て方は手段のひとつ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?