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キュウリ果実のヤケ

果実がヤケた!
やっぱりヤケが出た!!

キュウリの果実がヤケる。
こんな表現する果実の症状がたまに発生します。

やっぱりヤケが出た!と言うように、ヤケが出やすい時期や感覚的なものは、何となく分かるんです。
しかし、発生するメカニズムや原因は、ハッキリとは分かっていないようです。

症状としては、果皮(果実の表面)がケロイド状にカスレる。
または果実の溝(稜線が深い)の部分がカスレている。
当日の収穫果物のみならす、小さな幼果までヤケている事も多々あるので、数日に渡り被害が続くのでたちが悪い症状です。
当然ながら通常の果実から比べると、商品としての市場価値は著しく低くなってしまいます。

しかし、多く発生する圃場と、比べると少なく発生している圃場があるような気がします。 
ただ、ゼロと言うわけにはいかないようです。
発生が少ない補助では、どんな対策をとっているのか。

特徴的な発生条件を挙げてみました。

1.圃場全体と植物(果実含む)全体を冷やさない
発生する時期が特徴的です。
春先、促成栽培なので1月や2月も春のような陽気ですね。そして3月あるいは4月。稀にちょっと冷える5月なんかも当てはまります。

秋口、秋が早い年では9月、秋本番の10月や11月。

この頃に発生が多くなってきます。

そして特徴的な事は、前触(予兆)れがある事。
前触れは、日中の日射しが少なく、外気温の低い日が1日あるいは数日続くこと。
そして果ヤケが発生、確認されるときの多くは、前触れからの天候の回復。そして晴れて朝より外気温が急上昇しとき。

一番はこのときに発生が多いように感じます。

2.にわか晴れ
肌寒い曇天や雨天から一瞬、急に晴れ間が見えて気温がグッと上がったとき、日射しが一気に強く感じられるとき。

こんな時も翌日に発生があったりします。


では、発生が少ない圃場ではどんな対策をとっているのでしょう。

1.日中、暖房機で圃場内の温度を確保する。
特徴として挙げたように、外気温が低いときが前触れなので、圃場もノーマルなままだと外気温の低下に伴い温度が下がって冷えてしまいます。
暖房機を稼働させて、冷やさない。
これが対策としてまず挙げられます。

温度設定は圃場により様々な感じがしますが、18℃くらいから20℃くらいまでが一般的で、思い切った圃場では22℃くらいまで上げて対策。
やはり少しでも冷やさない事が重要と、理解してるからでしょう。

また果実の表皮が濡れていると特に果ヤケを助長する、と推測する圃場では、暖房機の送風も併用してます。

天候的にも湿度が全体として高くなる傾向なのでその一環と推測されます。


2.天候が回復するときは、圃場の気温を急上昇させない
冷蔵庫に入れてある牛乳パックやビール缶をイメージとして説明でよく使われます。
夏場、牛乳を冷蔵庫から出し、常温にさらされるとパックの表面が結露、水分で濡れますね。

上手く説明できませんが冷えた表面、表皮の空気が、急に暖められる事で表面の空気が気体より液体に変化するのかな?
はたまた果実の内面は冷え切って冷たく、外気は常温で温かいので、その温度差による結露なのかな?

そして、その結露した表皮が一気な乾いてしまうためにヤケる。とも言われてます。
いずれにしてもこの事で果ヤケが出ると推測し、圃場内の温度を急上昇させない管理。
すなわち、朝方より開口部はできるだけ全開放する。そして圃場内の温度が上がらないようにする。

3.遮光
直接強い日差しが植物に当たると、開口部は全開放しておいても植物体の温度は上がってしまいます。
ですので、遮光する資材も様々ありますが、ある程度遮光率が高いモノが効果がありそうです。
また不織布素材のような、湿気を吸い取る効果があるものも、機能的には効果が高いようです。
それを妨げる一環として行われている管理、だと理解しています。


4.灌水を控える。水分補給を控える。
これは意外と圃場により対策する、しない、様々です。
当日の灌水を控える圃場は多いかもしれませんが、水分補給を控える事は容易ではないです。

水分補給を控える圃場では、天候が崩れる前日くらいから対策をとっており、そこから灌水を控える傾向にあります。

湿度全体を下げる効果であったり、植物と果実全体の生育を抑制する事で効果があると推測します。


以上が果ヤケが少ないと思われる圃場の対策ですが、上記のような対策を全手行っても、果ヤケがゼロになることは今のところなさそうです。
しかし対策をとった圃場と全くとらなかった圃場を比較し、何度も比べるとやはり、対策をとった圃場では比較的少ない傾向にはあると思います。


○問題はあるの?
やはり腕のよい圃場では少ないかもしれないですね。
感の良い圃場も被害が少ないでしょうか。
個人差が大きいです。
観察するしかないとも思います。

しかし、その被害額は全体としては小さくないと思います。
精神的ダメージも残りますし、出るか出ないか出たとこ勝負なんてのも、精神的によいはずがあるわけないでしょう。
これが原因でとても特徴のある品種が、あるいはキュウリ栽培が敬遠されるとこは、とてももったいない話です。

今後の技術革新で、発生がなくなることも期待されますが、

原因と対策の救命、その研究は必要と思います。
また、品種的にも対策が必要ですね。

ではまた



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