鳴いてツモられる 鳴かないでツモられる

先日は静岡リーグ第2節でした。

結果から言うとポイントを積み重ねる事はできましたが、内容に焦点を当てると特にプロリーグの方があまり良くはなかったですね。
色々思うこともありながらも同卓した天音 まことプロと駅構内にあるラーメンでお腹の疲労をねぎらい一緒の新幹線へ。

一段落し、リクライニングシートを深く倒しながらTwitterの画面を見ていると

(ん!?...)

何やらタイムラインが
にぎわっている。


前日に行われた麻雀最強戦予選のあるワンシーンで盛り上がっているようだ。
疲れた身体を起こしその場面に目を凝らすと、ハイテイを消しながら安全に形式テンパイに向かう鳴きがリーチ者のツモ和了りを引き起こしたいう感じだった。

(そう言えば今日の対局でも少し似たようなシーンがあったな...)

静岡プロリーグ第2節
1回戦
■東1局1本場
南家22300

開局早々、親リーチに7700放銃と逆スタートを決めた次局である。
親が發をポンしてマンズとピンズを連打、西家も9sポンしてこちらもソウズあるいはトイトイ模様。 
前巡、先にドラの東を切り飛ばした所に三色の種8pツモといった場面だ。

残りの役牌の種類とソウズの枚数から西家が白か中のどちらかはトイツ以上で持っている可能性高いと見て強気に白を打ち出していく。

『ポン!』


その牌に対して親から声が掛かる。

(予想以上に手がまとまっているみたいだ。)


その後、自身の手に立て続けに7s、2sと引いてくる。
親の最終手出しは字牌の北。8sもノータイムでツモ切っているので、さすがにソウズは打ちきれず迂回。

(巡目が進む中…)

残りツモ2回という所で親から形式テンパイの取れる牌が出る。

(どうしよう…鳴くか、スルーか)


自身が選択したのはチーして打④切りの形式テンパイ取らずだった。

この形なら安全にテンパイ取れそうだし、親のハイテイも無くせるからである。
すると、鳴いたその次巡に親が赤く刻印された一枚の牌を手牌の右端にそっと置く。

親の役満16000オールは16100オール。

開局早々、一人90,000点弱。
これはわずか数分で起きた出来事である。

話を戻そう。


麻雀最強戦予選は各卓2名ずつ計4名勝ち上がりのトーナメントを行い決勝卓は一戦勝負。
優勝者のみが本大会のチケットを手にする事になっている。

出場選手は人気・実績のあるプロや著名人、あるいは各々の業界から精選された方々で構成される言わば

麻雀の祭典。


そんな夢のような舞台を想像していると、ふとこんな事が頭をよぎった。

さっきの一局がその決勝の舞台で起きたらどうなるのだろう。


そもそもドラの東や白を切らないから!というのは今回は置いといて下さい(^_^;)
本題は形式テンパイによる動きなどで試合の展開を左右する和了りが出た場合である。

優勝者以外は次のステージへの勝ち上がりがないこのシステム。
例え1人大きく突き抜ける状況でも親番がある限りいつも通りの麻雀を打つ者や、手組みを変えたり山越しも視野に入れる人もいるだろう。

多少なりとも場に影響を与えたこの状況は

第三者の目からはどのように映るのだろうか。


最近では視聴者の見る目線も様々で
『当然鳴いた方が損得の観点からメリットしかない。ツモられるのは結果の一つに過ぎない』
という声もある。

一方では
『鳴いてツモ筋が変わり和了りを誘発させた。これで流れは完全に傾いた。』
といった意見まであるだろう。

またこの類のシーンには面白い側面がある。
それは、鳴いた時の方が鳴かない時よりも大きくクローズアップされるという一面だ。

要するに逆に言うと、鳴かないでツモられた時は

『なんでチーしないんだ!』


とはなりにくいって事。

それでは一体どうしたら良いのだろうか。


ここからは僕の意見を述べたいと思う。

その前にあらかじめ断りを入れておくと、鳴く派・鳴かない派どちらの意見も否定はしないと言う事。
あくまで一つの見方として読んでもらえたら幸いである。

僕が選びたい答えは...

『鳴いたらツモられない、ツモられる時は鳴いて和了り牌をずらす。』

??


そんな事できたら苦労しないよて言われそうだが、何が言いたいかと言うと絶対に結果を出さなきゃいけない選択が、そこにはあるって事だ。

絶対に負けられない戦いが、そこにはある


皆さんは覚えているだろうか!?
サッカーの祭典2018FIFAワールドカップロシア大会で、決勝トーナメント進出がかかる大事な予選の最終戦。
日本は後半残り10分という所で0-1と負けていて、自力で予選通過するには1点取る事が必要条件。

この背水の陣の状況において、当時の日本を指揮していた西野監督が決断した選択は

ボール回し


他力本願で試合を委ねたのだ。

攻撃的サッカーが代名詞で有名な監督だけにこの選択肢は意外だったが、過去の経験則やありとあらゆるシミュレーションを試合前から想定していたからこそ混乱なく選手達に伝達でき遂行できたのではないだろうか。

そして

結果を残した。


麻雀においても共通して言える部分がある。

常に選択を強いられる競技。
もちろん定石に近い選択も存在するが、そのほとんどが

絶対的な正解がないのである。


今回の鳴きに関する問題も例外ではないだろう。
今後もしかしたら麻雀AIにより具体的な数字で局面を計れる時代が来るかもしれない。
それでも例え30%の選択肢であれ、それを引けるのであれば低い方を選びたい。

麻雀打ちとしては永遠のテーマかもしれないが、それが

ロマン


麻雀の魅力の一つだ。

そして、その先にある説明がつかないような打牌、結果が見ている人を惹きつける。

今回のようなテーマを投げかけた側も、損得で言ったら鳴くメリットについては重々承知している上で問い掛けているのではないだろうか。

番組制作側も形式テンパイで味気なく勝敗がつくよりはバチバチの戦いで決まる方を望んでいると思う。
それに応えるのも僕ら麻雀プロに求められる一つのニーズじゃないかなと。

だから、もし自分が同じような境遇にたったら素直に受け入れてようと思う。

『結果ツモられたので自分のミスでした。』


そうならないように日頃からいっぱいツモられて体に染み込ませたい。

今回大三元をツモったのは

天音 まことプロ

プロ入り前から大変お世話になっている方だ。
※無断転載は許してくれるだろう。

失った点棒は痛かったが、一つの経験値そして改めて考えさせてくれる良い機会となった。

ツモって頂きありがとうございます。


最後に僕の大好きな1局でお別れしたいと思います。

4者で作り上げる作品。

鳴く・鳴かないじゃないんだよね。
シンプルに見てて面白いかどうか。
これが

麻雀ロマン


こんな麻雀が打てるようにこれからも麻雀道を進んで行きたいと思います。

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