静岡遠征〜プロローグ〜


日本プロ麻雀連盟に所属してから早5年。


まだほんの一区切りにしか過ぎませんが、その期間というのは振り返ってみると自身にとってはすごく恵まれてたんじゃないかなと思います。


優勝が決まった瞬間の安堵感や、準決勝・決勝で負けた時の悔しい気持ち。


『この勝ちで自分をアピールする麻雀を打っていければ連盟を代表する選手になれる。』

『劣勢の時ほど雀力の差は出る。しっかり戦い、きちんと負ける事。』


温かいお言葉一つ一つが今の自分にとっての麻雀の道標になっています。


人と衝突したり、不手際から招いたトラブル等は麻雀に対しての心構えを改心する事に繋がっています。


勉強会で教わったり、互いに高め合う仲間や色々な所で声をかけて下さる方々との時間というのはかけがえのない潤いを与えてくれます。


本当にお世話になった方々の顔で頭がいっぱいになり例えを挙げたらこれでもかというくらいの出来事が溢れ出てきますが、その中でも特別な経験の一つが初めてタイトルを戴冠したあの日。
多くの人から祝福の言葉を頂き改めて周りに支えられていると再認識させられたあの夜。
その時に誰よりも早くLINEの通知に表示されたのはある『大先輩』の名前でした。


その方は研修期間に何度かご指導して頂いたのですが、その後は担当のリーグが違う事もあり中々お会いする機会はなく…
それも相まって、連絡を受け取った時は嬉しさと同時に胸を突かれたような感覚になった事を今でも覚えています。


それから数ヶ月後…
十段戦の七段戦でその方と対戦する事に。


接戦で迎えたトーナメント最終戦。
現状ラス目の自身が親番でリーチをしている中、その方はトップ目。


セオリーの範疇ではかなり攻めづらい状況にも関わらず、その方は躊躇のない副露も織り交ぜながらの押し返し。
その時の河に放たれる牌の音というのは自身の勝利以外にも何か大きなものを背負って戦っていると悟るのに十分すぎるものでした。


そして海底摸月の声。

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その瞬間ある言葉が脳裏をよぎりました。



『攻める時は攻める。守る時は守る。この連盟の伝統ある麻雀で5年後10年後活躍するのは皆さんです。』


プロ2年目シーズンの開幕戦の冒頭で、当時開催されていた『第一回麻雀プロ団体日本一決定戦』の優勝報告会の中での瀬戸熊 直樹プロから頂いた期待と激励のお言葉。
まさにその言葉の一面を身を持って感じる瞬間でした。


それから数年後…
元号も平成から令和へと変わる中、麻雀界もMリーグの発足やインターネット媒体を介した対局が増えるなど、まさに変遷の時期を迎えている。
そして、その風潮に乗るかのように始まったのが世代の新陳代謝・台頭する若手の発掘を目的とした『若獅子戦』『桜蕾戦』


自身よりも若い選手が戦っている姿を見て率直に思った事。

それは…

(想像以上にみんな上手くて強いなぁ…)

少なくとも言えるのが、自身が同じ年齢の時と比べてはるかに打てている事。

(このままだとすぐに追いつかれて越されてしまうかもしれないなぁ…)

普段私は麻雀とはあまり接点のない仕事をしている会社員だが、それを本業としている人と比べると実戦の数でどうしても差がついてしまう。
確かに仕事を変えて麻雀一本で行く道という選択肢もあるのだが、正直言うとその勇気はない。

そして自分なりに考えた結果、一つの答えが出た。

『公式対局の数を増やす。』

一般的にテスト対策で有効なのは過去問などの実際に出題された問題を解く事。
それと同じという訳ではないが、麻雀の実戦においても共通して言える所も少なからず存在する。

もちろん普段の練習も公式戦と同じような気持ちで打っているつもりだが、やはりその場の緊張感や終わった時の心地よい疲労感などは比べものにならない。

そう思った時、ふと頭に浮かんだ『大先輩』。

 『静岡支部長 望月 雅継プロ』

あの時のような牌の音色をもう一度聞いてみたい。
気づいた時には静岡支部へ参戦の連絡を入れている自分がそこにはいた…。

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静岡支部員・静岡リーグに参戦の皆様へ

このようなご時世にも関わらず新参者を温かく迎えて頂きまして誠にありがとうございます。

支部長はじめ多くの方々と対戦できること大変楽しみにしております。
一年間、何卒宜しくお願い致します。

日本プロ麻雀連盟
小林 正和

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