医学物理士のキャリアを考える
筆者のおっさんは今でこそ地方病院でこぢんまり(?)仕事しているが、若かりし頃は大学の教員職に就きたいとか最先端の研究に携わりたいとか、そんな野心も少なからず抱いていた気がする。一口に医学物理士と言っても、何も私のように臨床現場で働くだけでなく、大学教員やメーカー企業といった道もある。私の知る範囲であるが、医学物理士としてどのようなキャリアがあるか挙げていこう。
1. 病院で働く医療職
主に一般病院の放射線治療部門で品質管理や治療計画といったルーチン業務を中心に行ういわゆる臨床の医学物理士。以前の記事で少し書いたが、医療職というポスト上、現状は放射線技師免許も持つ医学物理士が多数派で、組織上は放射線技師として雇用されているケースもある。仕事量や細かい業務内容は勤務する病院によりけり。
2. 大学教員職
医学物理学分野や放射線治療学分野の助教、講師、准教授、そして教授といった大学の役職。教育・研究だけに専従する人もいれば、それらに加えて大学の附属病院で臨床業務も兼業する人もいる。さらに大学の偉い先生方はだいたい学会の委員会にも所属しているので仕事は多忙。職名だけで経歴に箔がつく一方、昨今は任期制のポストも多々ある。
3. 研究職
大学や研究機関の研究員、ポスドクなど。これらも任期制が多い。メイン業務が研究なので医学物理士の資格自体が必須というのは見たことがなく、医学物理士という雇用で研究職をしている人は稀だと思われる。仕事面では研究だけに専念したい人には理想的であるものの、国内研究者を取り巻く状況を鑑みると、これで食い続けるのは厳しい世界であろう。
4. メーカー職
放射線治療機器のメーカーなどの医学物理部門スタッフ。最近でも臨床で活躍されていた方がメーカーに行くケースがしばしば見られる。筆者の知り合いも何人かメーカー側に転職したが、そのメイン業務は研究開発やエンジニア関連ではなく、ユーザーサポートやマーケティングとのこと。コロナ禍で出張以外は在宅業務になっているとか。
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まぁ医療職以外は医学物理士の資格自体なくてもなれるだろうが、医学物理分野でのキャリアパスを考えているなら、ある程度の臨床業務経験を積んでおく方が有利であろう。いずれにせよ個人的には臨床も研究もスマートにこなせる医学物理士を目指したいところ。