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【今こそ問われるアスリートの真価とは】

一人の理学療法士がタイで起業し、現在は日本でも、そのタイで培った医療やスポーツに関する情報発信をするサービスを提供する。

このご時世なだけに、オンラインに注目が集まっているが、特にこの人が開くセミナーがちょっとした話題を呼んでいる。

増田勇樹

【MSD LABO Co.,Ltd】 代表
「タイに住む人や企業の健康をサポートする事業を中心に展開し、
その事業の一つにタイのウェルネスポータルサイトも運営している」
https://thaiwell.jp
【MSD in JAPAN】 代表
「海外の医療やスポーツに関する情報発信や知識や技術の伝達などを行うオンラインサービスなどを展開。
様々なネットワークによりセラピストやアスリートに対してのサポートも行っており、
海外展開したい企業や日本に展開したい企業などのマッチングやサポートも行う」

【医療従事者向け】
http://msd.or.jp/BC/

【アスリート向け(準備中)】
http://parallel-japan.com/

【“目標設定型”ではなく、“発展型”のキャリア形成】

ーーこれまでの経緯を簡単にお聞き出来るでしょうか??

「もともとは理学療法士としてクリニックに勤めていたんですが、スポーツに携わる仕事がしたくセレッソアカデミーにトレーナーとして一年間携わりました。その後、繋がりを通じてタイのサッカークラブにトレーナーとしてのお話を頂きまして、タイに行きました。結局上手いこと話がまとまらずにそこに就くことは出来なかったんですが、タイに来たからには結果を残して帰りたいと思い、タイでのキャリアを一人で始めようと決心しました」

ーーなるほど。ちなみに、なにをもってやっていこうとスタートしたんですか?

「そうですね。住んでいた所が日系企業が多くある所で、日本人が多かったんですよ。最初はそういった方達の健康管理サービスとして会社を起業しました。それが今の様々なサービスにも繋がっています」

ーーなるほど。そこからどのようにしてスポーツにも幅を利かせるように?

「自分は人との出会いに恵まれていて、当時チョンブリFCというクラブで活躍していた日本人選手がいたんですけど、その選手のケアを個人的に担当させて頂いたりしていました。そこから少しずつ人脈も広がって行き、様々なご縁を頂いて、『ビーチサッカー日本代表』のフィジオをやったり、『サッカー北マリアナ諸島代表』のフィジオとしてAFCの1次予選に帯同させて頂いたりもしましたね。気が付けば色んなナショナルチームに帯同していましたね(笑)」

ーーなるほど。その頂いたご縁に対し、実力をもって無駄にしなかった結果が、次のご縁にも繋がるという事ですね。

又、タイに行ってなければ、このようなお仕事も出来てないですよね。そこについてどう思われますか?

「そうですね。あえてそういう事を意識出来ていた訳ではないんですけど、『タイに面白い奴がいるぞ』言われていたので、差別化は図れたんじゃないかと思いますね」

ーーそもそも、理学療法士としてこのようにスポーツに携わる事って難しいじゃないですか。そこに至るまで自分の中でどのような葛藤というか努力がありましたか?

「クリニックに勤めていた当時からスポーツ業界の事を勉強していて、そこに関連するセミナーとかも積極的に受けにいってたんですよ。そうすると、クリニック内で目立つというか、“はみ出し”てしまうんですよね」

ーー何故それだけではみ出るんですか?

「同調圧力というんですかね。クリニックに勤めている人間はこれからもクリニックで勤める事になるし、それ以外の事は勉強しないよな。みたいな雰囲気が蔓延しているんですよ。その中で僕はガンガンやっていたので、そりゃはみ出もしますよね(笑)」

ーーその事に対して気にはしなかったんですか?

「変わった方がいい。変わることによって生じるリスクを危惧して『変わらない』という選択を取る方もいますけど、人の目を気にして変わらないという選択を取った方が『リスクが高い』と僕は思っています。理学療法士の中の世界から飛び出す事に対して、不安とか恐怖はもちろんありましたけど、飛び出して見てよかったです」

ーーなるほど。

「僕はキャリアを形成していくなかで、これといった『目標』を設定していなくて。とにかくやってみて、そこから派生するアイディアとか人脈とかを用いてまた次へと『発展』させるんです。遠くに旗を立ててそこに向かっていくような『目標設定型』ではなくて、目の前の事を一生懸命やりながら次の事を考える『発展型』かもしれません」

【アスリートの価値とは】

ーーそこから今はどのような活動を展開しているんですか?

「一つはアスリートの価値向上に対するサポートをしています。今、『サッカー選手の価値を高める時が来た』と言われていますが、サッカー選手であれどビジネスマンであれと誰でも同じだと思っていて。共通して言える事は一人の人間としての価値を高めない限りは、サッカー選手としての価値も高くならないという事です。
で、どうするのか?
『サッカー選手の価値を高めよう』と言い続けても価値は向上されないですよね。アスリート自身が身をもって“気付く”しかないんですよ。
そのうちの一つの企画として、『アスリートがアスリートを支える人にインタビューする』という企画を準備しています」

ーー新しいですね。どういった狙いがあるんですか?

「アスリートはよく、『今、こうしてプレー出来ているのはいろんな“支える人”がいるからだよ。感謝しないといけないよ』と周りの大人から言われると思うんですけど、もちろん聞く分にも理解は出来るんですけど、実際には自身の身をもって体験しないと『本当の気付き』は得られないんです。だったら、口で言うだけではなくて、本人が実際にインタビューする事によって、『本当の気付き』を得られるような機会を設けてあげる」
「逆も然りですね」

ーーどういう事ですか?

「アスリートのパーソナリティは個性的だし、色々な可能性を秘めています。そんなアスリートにインタビューされた人は、そのアスリートのパーソナリティに惹かれてファンになる可能性も十分にあります。やはりアスリートは応援してもらってなんぼの職業なんで。アスリートは支える人に対する感謝の気持ちをインタビューを通して、ロジカル的に理解しますし、支える人もそんなアスリートを好きになり、もっと支えようとなりますよね。
短絡的に見たら『アスリートの価値を高める』為の活動とは少し遠い気がしますが、こういった思考を深められるアスリートは必ず人間としての『深み』が出てくるし、そんなアスリートには必ず『応援者』も増えるので、最終的には『アスリートの価値を高める』為のサポートになっています」

【日本スポーツ界に存在する構図の違和感】

ーーめちゃくちゃ勉強になります。ちなみに、僕自身「アスリート×アスリートを支える人」の関係性について違和感を覚える事が多いのですが、そこについて増田さんはどう思いますか?

「以前、プレミアリーグに多くの選手を持つエージェントの方とそこについてのお話をさせて頂いたんですけど、『日本はもう一度“アスリートファースト”に対する考え方を改めた方がいい』と仰っていて。もちろんアスリートは脚光を浴びる人間であるし、『支える人にもスポットライトを当てろ!』という話ではなくて、『アスリートも支える人もお互いプロとしての仕事をしよう』という事です。
どういう事かというと、例えばトレーナーに限って話をすると、『我々は身体を触るプロなんだか、早く怪我を治したければ、俺の話を聞け』と言えないといけないという事です。ヨーロッパでは当然のようにそのような関係性が構築されていますし、こういう主張が通ります。一方で、日本ではトレーナーがアスリートの言いなりになってしまうというケースを聞きます」

ーーでは、どうすれば良いと思いますか?

「いや、もちろんこのような主張をする為には、トレーナーとして質の高いパフォーマンスを発揮し続けないといけないし、そこに関してもアスリートの立場と対等ですよと。アスリートと支える人の関係性は上下ではなく、『お互いのプロフェッショナルな専門性を補完し合うパートナー』なんです」

ーーこのような構図を変える為にはどのような事が出来ますかね?

「それはもう単純で、まずはこういう事実を知る。知ったらそれを伝える。そして自分でやってみせる。ちなみにヨーロッパではこれがやれていますよ」
「僕は今後もMSDの事業を通して、『アスリートを支える』人達の仕事にフォーカスしていきたいと思っています」

【アスリートのセカンドキャリアについて】

ーーアスリートの価値について取り組んでいる増田さんは、「アスリートのセカンドキャリア」についてどのようにお考えですか?

「そうですね。単に就職先を斡旋する事がセカンドキャリアのサポートとは思っていなくて、『人間の価値とは?』というテーマに対して一緒に考える事がセカンドキャリアのサポートだと思っています。さっきお話させて頂いた『インタビュー企画』もそうなんですが、支える人達の仕事に対する取り組み方や、人生観をアスリートであるうちから考えるきっかけを与える。
後は、『応援してください』とか『スポンサーになってください』というプッシュで応援者を迎えるのではなくて、しっかりと『対価』について考えるんです。応援してくれたら、スポンサーになってくれたら、アスリートとしてこういう価値を提供しますよと。こういった考え方は、ビジネスの世界で生きていく為には当たり前の考え方ですよね。
このような事を一緒に考えるというのが、『本当のセカンドキャリアサポート』だと思っています」

このような「アスリートの価値」についてや、「スポーツ業界の構図」についての考え方を聞かせて頂いた。

皆さんはどう感じましたか?

僕はこの全ての言及にたいして、「口先だけでは無い本質」を感じた。

「アスリートの価値を高める」とか「アスリートのセカンドキャリアをサポートする」というこのワードを決まり文句のように自分のファッションにしている人も多い最近だからこそ、増田さんの言葉には説得力を感じた。

こんな時だからこそ子供達にメッセージを送りたい】

「いま、町クラブの方達も苦しいんですよ。収益化出来ない状況で。そこで、僕達のサービスを用いて貢献したいと思っていて、どういう事かと言うと、僕達は今までの経験を通して、医療に対するノウハウやフィジカルトレーニングに関する知識、親御さんに対するジュニア育成知識を持っています。これらを町クラブにオンラインを通して提供する。今、このサービスに対してのお金を払えなくても良いです。このサービスを体験してもらった後に、例えばコロナが収束した後、クラブの会費を300円だけ上げてもらって、継続して我々のサービスを提供する。やり方次第でお互いにとっての良い形を作れると思っています」

ーーでは最後に、いま最も伝えたい事をお聞かせください。

「そうですね。今この状況に苦しんでいる子供達にメッセージを送りたいです。実際に、MSDを通して交流しているアスリートから子供達へのメッセージを発信しています。大会が中止されたり、チームの活動を行えない選手達に夢を諦めてほしくないし、これからも頑張って欲しい。そんな子供たちに現役のアスリートからメッセージを送る事で、何か貢献出来るんじゃないかと思っています」

ーー有り難う御座いました。

アスリートや、スポーツを支える人の事について真摯に考え抜き、その考えを実践に起こして行く。

今、求められている事は何なのか。本質は何処にあるのか。

苦しんでいるからこそ、出来ることがある。苦しい時というのは、何かが変わっていく過程でもある。

枠から飛び出し続け、これからも予想できない方向へと『発展』していく増田さんに注目である。

最後まで読んで頂き有り難う御座いました。

◾MSDLABO Co.,Ltd
https://thaiwell.jp
◾MSD in JAPAN

医療従事者向け
http://msd.or.jp/BC/

アスリート向け(準備中)
http://parallel-japan.com/
◾各種セミナー情報
http://msd.or.jp/BC/category/broadcast-information/
◾MSD note
https://note.com/msd_or_jp