12分で分かる「アスリートのためのソーシャルメディア活用術」
この書籍はアスリートの「ソーシャルメディア活用方法」や、活用することによって「受けられる恩恵」を実際にソーシャルメディアを活用しているアスリート達のケーススタディを元に分かりやすく言及されています。
近年のスポーツ界では、「アスリートたるものや自分の専門競技だけに打ち込むのではなく、ピッチ内外問わずした様々な世界を見渡せ」というマインドが浸透してきていますが、確かにその通りであり、専門分野に固執することなく、自分の興味のある世界を体験することによって、その選手のキャリア形成を可能性に満ちたものにしてくれるという可能性に満ち溢れています。
「言っていることは分かるけど、実際に何をしたら良いのか分からない」と思う人もいるかもしれませんが、その疑問や不安を解決してみましょう。
また、この書籍は「アスリートの為の…」というタイトルになっていますが、一般の学生やビジネスマン、アスリートを支えるような「スポーツ関係者」にも共通する貴重な情報になっているので、あなたならではの「ソーシャルメディア活用法」をイメージしてみてください。
【記事の目次】
1.スマホネイティブ世代とは
2.アスリートは現役中こそが「ボーナスタイム」
3.アスリートが高めるべき「3つのバリュー」とは
4.アスリートではない
1.【スマホネイティブ世代とは】
普段から僕たちが使うスマホは10年スパンで発展していると言われています。そのため、生まれる世代によってスマホ・パソコンといった情報機器のリテラシーの格差が生じています。
それらの格差をスポーツ業界で例えるならば、「パソコンが普及され始めた76年世代に生まれた人達」は、既にスポーツ業界におけるOB・OG的存在であり、元いたクラブで役員・重役としてクラブの為に活躍している人もいれば、スポーツ業界の強化発展を支えるうえで欠かせない人達が多くを占めるような世代です。
次に、モバイル携帯が普及され始めた86年世代は「生まれながらモバイル携帯やスマートフォンに触れることは無かったものの、大人になってからネットの世界に足を踏み入れた世代」と言われています。この世代の人達はスポーツ業界において、現役のアスリートとして活躍している人もいれば、既に現役を引退し、それぞれの道に進んだ元アスリートも多い世代です。
そして、更に10年後の96年世代は、最も勢いのある世代で、現スポーツ業界を牽引したり、これからの時代を牽引するようなアスリートがひしめいている世代です。この世代の人たちは、「最も多感な学生時代から当たり前のようにスマートフォンを使い込んできており、当然の様にソーシャルメディア上でのアカウントを持っていて、それぞれの媒体をどのように楽しめば良いのかを理解している」世代と言えます。
「86年以前に生まれた世代はこれからの時代で遅れを取ることになる」ということを主張したい訳ではありませんが、残念ながら現在のスボーツ業界を支える指導者やスタッフは86年以前に生まれた方が多いのです。
「ソーシャルメディアリテラシ―の高いアスリート」達が台頭してくる、これからのスポーツ界。ソーシャルメディア時代を生きるアスリートを支える為には、ソーシャルメディアリテラシーを高める必要があり、それを高めることが出来れば、「今の時代におけるアスリートを支えるプロフェッショナル」になる為の選択肢は増えるでしょう。また、これからスポーツ業界に携わりたい人達にとって、“ソーシャルメディアを扱える”という事は大きな武器になる時代だと捉えていいでしょう。
2.【アスリートは現役中こそがボーナスタイム】
「アスリートは2度死ぬ」。この言葉を聞いたことがあるでしょうか。アスリートはその競技をプレーする事の出来る現役中こそ価値を発揮できるものの、プレー出来なくなった引退後にはその価値を発揮出来なくなるだろう、という揶揄です。
しかし、プロの世界で活躍し続けるようなアスリートは、常人離れした身体能力やスキルを持っており、それらの身体能力やスキルは生まれたその瞬間から与えられたモノではなく、血と汗が滲むような努力によって手に入れた「資産」です。
それは例え、プロの世界で活躍し続けることができなかった選手だったとしても、「プロまで成り上がった」という事実は不変で、「その人ならではの経験」があるはず。
これらの「資産」を持っているアスリートは、ぼくたち一般人には見ることの出来ないような景色を見ているだろうし、ぼくたち一般人には持ち合わせることの出来ないような影響力や知名度を持っています。
このような「影響力」や、現役アスリートだからこそ持ちうる時間やお金などといった、「資産」を活かし切れているアスリートはどれほどいるのか。アスリートにとって、多くの人達に応援してもらえることの出来る「現役中」とは、長い長い人生の中での「ボーナスタイム」なのです。
そのボーナスタイムのうちに、ピッチ内外と問わずした様々な環境で、自身の価値を高めるような活動をし、自身の価値を“稼げて”いるでしょうか。
「信頼口座」という言葉があります。信頼口座とは、「相手への“貸し”を貯蓄する口座」です。この“貸し”を作れば作るほど、いざという時に助けてもらうことができます。アスリートこそ、現役中にこの「信頼口座」を貯めるべきなのです。
では、どのようにしてその信頼口座を貯蓄すればいいのか。その方法こそがソーシャルメディアです。現役中の努力や経験、プロになるまでに経た「その人ならでは」の過程を表現し、インターネット空間にそれらを蓄積してください。そうすることによって、アスリートではなくなる引退後も、インターネット空間に蓄積させておいた価値を引用することが出来ます。
3.【アスリートが高めるべき3つのバリュー】
真に高価値なアスリートとは、どういった選手でしょうか。
業界を代表するような高いスキルを持った選手でしょうか…
誰もが認める結果を出してクラブに貢献する選手でしょうか…
長い現役生活を過ごせた選手でしょうか…
もちろん、それらも重要ですが、単にそれだけでは、『真に高価値なアスリート』とは言えません。市場やファンに向けても価値を提供出来てこそ、そう呼べるのです。
①プレイヤーバリュー(競技者としての価値)
その選手は選手としてどれだけ試合の勝利に貢献出来ているのか。アスリートがアスリートとして最優先に取り組むべき部分です。
いくら「知名度」や「影響力」といえど、アスリートである限り、ピッチ上でのパフォーマンスがその選手の年俸や影響力を左右させますし、より高いカテゴリーでプレーすることがアスリートの価値を最も高めやすくもします。
②マーケットバリュー(市場および社会からの評価)
選手として、どれだけ市場および社会から求められているのか。影響力はあるのか。(集客力・発信力・巻き込み力・創造力・売り上げ力などのプレー以外の要素)
これらのマーケットバリューは、日に日に需要が高まってきています。
例えば今回のコロナウィルスの影響で、全アスリートが試合を行えないという「プレイヤーバリューを発揮できない状況」に陥ってしまいました。そこで以下の2つのケースに分かれたはずです。
「スポーツが出来なかったとしても社会に何かしらの価値を提供できたアスリート」と、
「スポーツが無くなった途端に一切の価値を提供できなくかったアスリート」に。
コロナウィルスの影響は有事であった為、日常的に通じる話ではありませんが、この期間というのは「アスリートの引退後」を疑似体験できた期間でもありました。
クラブの利益構造のために「マーケットバリュー」が求められるようになった側面もあり、スポンサーを獲得できて、スタジアムに人を呼べて、グッズが売れる「マーケットバリュー」の高いアスリートをクラブは求めて当然です。
③ストーリーバリュー(あなたならではの文脈的価値)
その選手にはどのようなストーリーがありますか?
これは選手が持つ文脈的価値のことで、ファン・サポーターに共感を生み出し、「マーケットバリュー」を補足する形で機能します。「その人ならでは」の物語は、強い共感を呼び、多くの支持を得ることになります。その「物語」がクラブと共存できるのであれば文句なしです。
実力が均等している選手同士で、クラブの地元選手と、そうではない選手のどちらかを獲得するのであれば、地元選手を獲得したほうが「売り上げ」に貢献できることは安易に想像出来ます。
その「物語」とは決して「成功体験」だけではなく、その人ならではの「失敗談」や「アイデンティティ」、「想い」などといった要素も含まれ、これらがファンサポーターに強烈な共感を生み出すのです。
その選手は、その選手が持ちうる「人間臭さ」をどれくらい表現することができていますか?
4.【アスリートではない人達のボーナスタイムはいつなのか】
アスリートに「ボーナスタイム」があるのであれば、そうでない人達の人生にも「ボーナスタイム」があるはずです。
あなたは自身のいつの時代にボーナスタイムを設けますか。僕の考える人生のボーナスタイムは『学生』である期間をボーナスタイムだと考えます。
もちろん、学生であるだけでそれが良い訳ではないですが、「学生時代に○○を成し遂げた」という“ブランド”は有効です。ボーナスタイム真っ只中の学生は「手と足」を動かしましょう。ここでの“手”とは、「ソーシャルメディア」のことであり、ここでの“足”とは、「行動や結果」のことを指します。
自分の興味関心が赴く分野に対してひたすら行動し、成功しようが失敗しようが継続的にソーシャルメディアを用いてアウトプットしましょう。「無知を恥じない潔さ」こそが学生だけが持つ「資産」です。
「僕たちが高めるべき3つのバリュー」
アスリートではない僕達はどのような「バリュー」を高めればいいのか。
それはアスリー卜だろうが、ビジネスマンだろうが、飲食店経営者だろうが、まったく同じです。
自分たちのプレイヤーバリューである「専門スキル」を高め、その専門スキルを「伝えるべき人達に伝える」ことによってマーケットバリューを高める。そして、「何故、そのビジネスをするのか」「何故、起業したのか」「何故、飲食店を開いたのか」というストーリーバリューである「物語」を構築するのです。
時代は「終身雇用」から「個人への権限譲渡」へと移り変わり、働くことへの倫理観の在り方は大きく変化しています。
SNSに無謀な幻想を抱いたり、正しい活用方法を知らぬまま運用するのはリスクが高いですが、SNSという市場に自分の身を置くことによって、新たな選択肢を獲得できるかもしれません。
ソーシャルメディアについてもう一度深く考え、新たな選択肢を拡げてみましょう。