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FC淡路島、太田潤が目指す【フットボーラー3.0】とは一体…

「退屈な奴らを興奮させる」

「7年間でJリーグへの昇格を目標とし、1年でも上部リーグへ昇格できなければ撤退する」

これらは太田潤選手が今季から所属する「FC淡路島」の経営理念である。

FC淡路島は昨年の全国クラブ選手権で優勝している。

関西学院大学サッカー部出身。大学サッカーのIリーグではキャプテンとしてチームを全国制覇に導いた。

「Iリーグ」とは、大学サッカー連盟が主催する育成リーグである。いや、育成リーグという概念は捨てた方がいいかもしれない。

実際にIリーグで活躍し、部内でのポジションを勝ち取り、プロの世界へと飛び立つ選手も多ければ、Iリーグからダイレクトにプロ入りを果たした選手もいるほどだ。

太田選手はチームを全国制覇に導いた後、「サッカーの本場」スペインに挑戦することを決心。

刺激を求めた。

複数のクラブのトライアウトや練習参加を経た。

そこには確かな手応えがあった。

しかし、世の中には「タイミング」という不確定要素が存在する。

コロナウィルスの影響だ。

太田選手は日本に帰国し、「兵庫県社会人リーグ」で闘うFC淡路島で自身を磨く事にした。

太田選手はただ単にサッカーが上手くなりたいのだろうが、それだけではない雰囲気を醸し出している。

太田選手のパーソナリティとは。

人のパーソナリティを単刀直入に説明するのは少し野暮ではあるが、決して「枠」にとらわれない人間ではあるということは確かだ。

偏見とか固定概念は、取っ払っている。

彼の理想とする大人とは一体どんな姿なのだろうか。

そして、彼が語る「フットボーラー3.0」とは一体何なのか…

「やっと淡路での生活をスター卜出来たんですけど、毎日がルーティン化されていなくて、新しい刺激があって楽しいですね。今、任されている主な仕事は出前なんですけど、出前を通して、地域の人達と交流し、認知してもらおうという目的もあって。スペインから帰ってきた現役大学生だということ。『太田潤』という人間がどんな人間なのかということを地道に伝えることができたらと思います」

コロナウィルスの影響で自粛を余儀なくされていた時、サッカークラブやアスリートの中でこの「出前」が話題を呼んだ。

「アスリート×出前」

納得感がある。

サッカークラブやアスリートの生命線は紛れもなく「ファン」だ。

地域密着クラブにおける「ファン」とは、「地域住民」のこと。

地域に密着し、その地域の人達に夢を届けたいという理念があるなら尚更で、まずはその地域の「番人」たちに認めてもらい、心を開放してもらう必要がある。

感動とは、それほど容易いものではない。

だからこそ、この「出前」は地域の人達に貢献しながらも、認めてもらえるという最高の手段なのだ。

では、「FC淡路島」はどんなクラブなのか。

「7年でJ3に参入する。その上で1年でも足止めを食らったら即撤退というミッションを掲げているクラブです」

過酷なミッションだ。

ここでの「足止め」とは、1年でも上のカテゴリーに上がれなかった時の事を指す。

「このクラブを創ったオーナーさんは『起業家支援』を本業としているんですけど、それもあって、選手のセカンドキャリアや、サッカー選手以外の部分での価値を見出すという点で強みがあるクラブですね。『普通のクラブ』じゃ経験できないことをこのクラブでは経験することが出来ます」

どんな事を経験できるのだろうか。

具体的に聞いてみることにした。

「選手がチームの『アパレルブランド』を立ち上げたり、『カフェ&バー』を経営したり、『ユーチューブチャンネル』を選手が撮影から編集まで行ったり…多岐に渡りますね。選手の獲得などの『強化部業務』も選手が行ったりします」

おもしろい。

「どの分野にも関わろうと思えば関われるのがめっちゃ面白いです。僕はいろんなことに興味があるので、顔を出しまくってます(笑)」

その様々な事業は全て選手たちだけで手かげているのだろうか。

「基本は自分たちだけでやるんですけど、起業に関するお金の話などといった専門的な部分はチームのオーナーでもある『起業支援のプロ』がいるので、助けてもらいながら活動することが出来ます」

なるほど。

サッカーをプレーしながらも、自身のキャリア構築にも手を伸ばすことが出来る。

しかも、「雇われる」というキャリアではなく、自らの事業を持つ「事業主」になれるチャンスに出会えるということだ。

その事業が上手くいけば横展開することだって出来るし、そこには「FC淡路島」というコンテンツがあるので、いくらでも結びつけることは可能だろう。

また、

FC淡路島でプレーする選手が事業を起こした時点で、そのサービスや店舗には「ストーリー」という「マーケットプライス」が生じることにもなる。

非常に魅力的だ。

そしてこの仕組みが巧妙である。

太田選手はこの「FC淡路島」という地で多くの武器を吸収することは間違いないだろう。

サッカーの話もしよう。

太田選手はどのようなプレーでチームに貢献したいと考えているのだろうか。

「欠かせない存在になりたいです。とにかく体を張ってチームに貢献すること。チームの為にプレーして、そこにプラスアルファで自分の長所を出していきたいです。僕はあまり『魅せるプレー』をするタイプではないので…でもまぁ、ロングフィードとかサイドチェンジの面では観客を『おぉ』と言わせれる自信はありますけど、そのなかでも第一は『チームの為に体を張る』これに付きます」

僕はまだ太田選手のプレーを見たことが無い。

しかし、彼のストーリーには以前から触れさせて頂いている。

早くプレーがみたい。

そうすると、ファンの次なるステップ、「コアファン」に昇華するのだろう。

ファンの心理的変動に関する実験対象になれそうだ。


太田選手はこのFC淡路島でどんな収穫物を手にしたいと思っているのだろうか。

『フットボーラー3.0』の体現への大きな一歩ですかね。このクラブの強みにあやかって、チャレンジしていきたいです。ただの競技者ではなく、価値を生み出すだけでもなく、この2つを同時進行で創り上げることのできる『フットボーラー3.0』を目指します」

不思議なことにこれまで僕はFC淡路島の存在を知っていたはものの、

「応援したい」

「試合を見に行きたい」

「もっと知りたい」

というマインドにはもちろん達していなかった。

だが、太田選手と出会い、太田選手の人生に触れ、太田選手の所属するクラブを応援したいと思った。

これぞまさに「ストーリーマーケティング」だろう。

まずはFC淡路島の選手が立ち上げたアパレルブランドの商品を買うことから、コアファンへの“大きな一歩”を踏み出してみようと思う。

太田選手は今後、この【フットボーラー3.0】を体現するために、どんな一手を打つのか聞いてみた。

「サッカーの面ではFC淡路島を『関西2部』に昇格させること。オフザピッチでは、僕のチャレンジする姿を通して、『サッカー続けてみようかな』と、思ってもらえるような些細なて手助けが出来ればと思ってます。頑張ります」

最後に太田選手は「今は公表できないですけど…」と言いながら、いまチャンスがあるならトライしてみようと思っている事業について説明してくれた。

【フットボーラー3.0】

大いに期待してみようではないか。