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今サッカー界に求められるオンラインサロンとは…

皆さんはオンラインサロンというものをご存知だろうか。

オンラインサロンとは、その名の通りオンライン上に存在するコミュニティの事を言い、その多くのものが会員制のシステムを取り、近年莫大的に普及されてきたTwitterやInstagramよりも更にコアで閉鎖されたコミュニティでもある。

そのオンラインサロンにもよるが、オンラインサロン上で取り扱われるほとんどの情報を外部へ漏らす事を禁止されている所もあり、一つの「村」や「町」などと表現される事も多い。

そのオンラインサロンで何を行っているのかは、それぞれのコミュニティによって変わる。ルールはない。その「村」の「村長」であるコミュニティ運営者を中心に一つの村を作っていくのだ。

そんなオンラインサロンと呼ばれるものがサッカー界にも存在していた。その名も、

【指導者交流サロン】




今回は、そんなオンラインサロンの発起人でもあり、運営者でもある原大悟さんに取材させて頂きました。

ーー原さんはこの【指導者交流オンラインサロン】を発起する前の2018年に、サッカースクールの指導者になられています。その時に、指導者として「何も分からない」という自分に直面され、だったら一人で課題に取り組むのではなくて、仲間を集めて一緒に議論していける場があればいいんじゃないかと思い、このオンラインサロンを発起されました。実際に発起されてみてどうですか?

「そうですね。現時点で有難い事に、海外から日本の町クラブまで。様々な現場でのリアルな声をサロン内に投げ込んでくれるので、それぞれの立場からの意見を聞くことが出来るし、一人で学ぶよりも仲間と一緒に学んだ方が楽しいには違いないので、いいですね」

ーーなるほど。原さんのオンラインサロンを拝見させて頂くなかで「兼業ビジネス講座」というものが気になりました。要は日本中にいる指導者の中で指導者を本業にされている方もいれば、本業は別に持っていて指導者をボランティアでされている方もいると。指導者を本業にされていない方は指導以外の「本業で培った専門性」を持っていて、その専門性とサッカーを掛け合わせると新しい価値が生まれる可能性もあるのではと思うのですが、そこについてはどのようにお考えですか?

「そうですね。例えば最近の話で言うと、町クラブってなかなかトレーナーを雇えないし、実際にそんなにいないじゃないですか。そこで、トレーナーの専門知識を持っていない普通のサッカーのコーチでも出来るコンディションケア方法ってないのかなってサロン内で話していて。まずはサロン内のトレーナーに、誰でも簡単に出来るコンディションケア、体の状態を推し量る方法を教えてもらっていたんです。そしたら、それを聞いていたアプリ開発会社のサロンメンバーの方が、その工程のアプリを開発して簡単に可視化するシステムを作ってしまえば、子供でも簡単に出来るね!と盛り上がって、いまそこに向けて動いているみたいですよ」

ーーサロン内でごくごく自然的に行われる異業種間交流によって新しいサービスが生まれる可能性も十分にありますね。

「サッカー業界の人間だけで議論してもどうしてもアイディアって限られてきますよね。『兼業ビジネス講座』をやりやり始めたきっかけって、サッカーへの関わり方が色々あるなかで、僕自身が『パパさんコーチ』として指導者をされている方を見てステキだなって思っていて。より豊かな人生を送れそうだなと。もちろんプロとして指導者をされている方も素晴らしいんですけど、サロン内に一定数のプロコーチが居て、『自分なんて』と発言できていないパパさんコーチも居ます。そんななか、プロの世界でコーチをされている方は以外とビジネス業界の事について知らない方もいるなかで、『プロコーチのサッカーへの専門性』と『パパさんコーチのビジネスへの専門性』を掛け合わすことが出来ると面白いし、お互いの存在意義がハッキリとします」

ーーオンラインサロンってなんだか会社みたいですやね。そのサロン内では様々なイベント(セミナー、トークイベント)が実践されていて、そのほとんどをサロンメンバーが企画していると。運営者である原さんは、サロンメンバーの動きに対してどのようなスタンスを取っているんですか?

「もちろん自由です。サロンメンバーは社員でもないし、むしろお金を頂いています。サロン内で勝手に人と人が繋がって飲み会を開いたり、今で言うとZOOMで繋がったり、基本的にはそういう動きが僕は嬉しいです。もちろんサロンに落とし込めたら良いなと思うこともありますが、自主的に繋がってそれぞれの人の何かのきっかけになってくれるのが一番嬉しいですよ。他のオンラインサロンは凄い人が運営者をやっていたりしますが、ここはそうでは無くて、僕はそういう場を作っているという認識です」

ーー場所を作るのは原さんであるが、その場所をどう利用するのかはサロンメンバー次第という事ですね。
例えば、近年Twitterでは指導者同士の議論を多く見かけます。サッカー議論に終わりは無くて、永遠と続くと思うんですよ。答えが無いから。そんな「終わりの無いテーマ」を抱える指導者達を集めたオンラインサロンは、どのようにしてオンラインサロンとしての「ゴール」を設定されているんですか?

「…ゴールは無いです。目標としているもの…ないですね(笑)ただ、さっきも言った通り、色んな人達が入ってきてくれているおかげで、マンパワーではどうも出来ない事も出来るようになる。例えばこれも最近の話で言うと、こんなご時世だから今だからこそ出来る事をしようと指導者同士で話していて、『お家の事をやってみようチャレンジ』というものを作ったんです。
これが始まったのも、海外で活動しているコーチが、『こういうのありますよ』と、サロンに落としてくれたんです。海外で行われているものを日本語に訳して。もうすでに完成形ですよねこれって。これも個人でやっていたら分かんないですけど、サロンとして行った事によって一つのムーブメントになった。僕はというと『それめっちゃいいですね!』と言って乗っかるだけ乗っかって丸投げしちゃって(笑)その後にサロンメンバー同士で準備して実践まで落とし込めています。一人では出来ないですよね。まぁただ、サロンとしてのゴールはあくまでも無いです」

ーーなるほど。「議論」が新しい「アイディア」を生み、そのアイディアが新しい「ムーブメント」を起こすと。だからこそゴール設定は必要ないのかもしれないですね。

「その議論の所ですこし言うと、僕もサロンを作った時は構想として議論が盛んに行われるイメージを持っていたんですけど、そういうのを求めていない人も一定数いて。例えばそういった議論には参加しないけど、見てインプットするという目的で会員を継続してくれている方もいるんです。今は、議論にフォーカスしていなくて、セミナーにたまたま集まったメンバーで飲みに行ったり出来ればいいなと」

ーー議論一色にはなっていないんですね。

「なってないというか、出来なかったんですよね。ただ、さっきも言った通り、見て自分の中で思考を深める方もいらっしゃるんで、それはそれでアリだと思っています」 

ーーそれって、見るだけで学べるようなコンテンツ(記事、動画)を発信出来ているという証拠でもあるし、捉え方を変えれば、質の高いコンテンツを発信し続けないといけないという事ですよね。そういったコンテンツってどのようにして作っているんですか?

「今まさにずっと悩んでいます。サロン初期は飲み会を結構開いていて、その時に大阪の方が入会されたんですよ。東京での飲み会に大阪の方が参加するって難しいですよね。でもそんな東京以外に住んでいる方にも980円分の価値を提供して、満足させてあげないといけないと思って。で、飲み会を辞めて、セミナーにしたんです。セミナーだったらオンラインでも参加できるじゃないですか。コンテンツの内容に関しては、どんな順序が良いのかとか、どういうニーズがあるのかとか結構考えました。そのなかで、シンプルに僕が知りたい事。この人の話を聞いてみたいとか。そういうのを自分で感じとって、作っていくようにしています」

ーーあくまでも、世間のニーズに歩み寄るのではなくて、原さん自身の考えをコンテンツに落とし込んでいるという事ですか?

「いや、もちろん皆さんの意見や要望は聞きますよ。まぁあとは、僕自身が固いセミナーとか、大学の講義みたいなのが好きでは無くて(笑)
『楽しくラフに学べる環境』の方が良いっていう考え方を持っていて、出来るだけ“ゆるい”セミナーやトークイベントにしようとしています。僕が様子を見ながらどうにか茶々を入れたり(笑)
バランスを保って、楽しみながら、『気が付けば学べていた』という空間が理想ですね。出来るだけ笑って欲しいんですよ」

ーーたしかに。客観的に原さんのオンラインサロンを見ていても、壁を感じないというか。楽しさが伝わってきます。そういった意味では原さんが上手くサロンの雰囲気作りをされているんじゃないですか。

「上手くはやってないです(笑)単純に楽しくないと続かないじゃないですか。“楽しい”が一番大事なんです。僕は『人』が好きなので、そんな人達に繋がって欲しい。ただそれだけです。ここに関しては僕の性格ですよ」

ーーなるほど。原さんの性格がオンラインサロンにしっかりと反映されていますね。同じオンラインサロンでも様々な特徴があって面白いです。
話は少し変わりますが、会員数が約200人にいる中で、会員数の増減とオンラインサロンの動きって比例していますか?

「あー、あまりしていないですね。例えば、トークイベントを開催する時にその登壇者に興味があって入って来てくれる方がいるなかで、そこではなくて、サロンメンバーに興味をもって、“こういう人もサロンに入っているんだ”という事に気付き、入ってくれる方もいるので、そのようなきっかけを作ってあげる事が大事かも知れないですね」

ーーなるほど。

このように、オンライン上で議論したりインプットできる場所があるっていうのは本当に素晴らしいと思います。ただ、指導者が本領を発揮すべき場所は『現場』だと思います。このようなオンラインコミュニティを運営されている原さん“だからこそ”思う、『現場の重要性』ってどのように考えていますか?

「“全て”じゃないですか。そこしかない。もちろん勉強した方がいい。ただ、その知識を持ってチャレンジしないと、『ただの知識』で終わってしまう。
僕はちなみに指導案を作らないんですよ。僕のイメージでは現場での『アドリブ力』を大事にしていて。選手の状態を観察しながら、練習時間を延ばしたり、メニューを変えたり、ルールを加えたり。そこが腕の見せ所だなと思うので、その為の『引き出しを増やす場』がサロンであって。その引き出しの質を高めてくれるのは『現場』です。場数です。現場がほぼ全てです」

ーーなるほど。明快です。では、最後の質問です。本来であれば「オンラインサロンの今後の目標はなんですか?」と聞く予定だったんですが、おそらく「無い」という答えが返ってくると思うので…(笑)
「こういう人には是非入って来て欲しい」みたいなものはありますか?

「そうですねー。僕が入ってきて嬉しいな~と思う人は、もちろん誰が入ってくださっても嬉しいんですけど、『何かやりたい』『発信したい』っていう気持ちを持っている方が入ってきてくれると嬉しいですね。例えば僕は、『提案されてそれに乗っかっちゃう』みたいなのが好きなので、『バカみたいな夢』を語ってくれる人大歓迎です。“変な人”が好きなんで」

ーー有り難う御座いました!


良い意味で僕の想定を裏切ってくれた。

僕はオンラインサロンに運営するノウハウであったり、会員数を増やす為の施策といった「ビジネス」観点ばかりを見ていたが、

その僕の邪念というか、「解明したがる」クセを一つ一つ見事に交わされた。

原さん自身の「楽しく学ぶ」というモットーが表れたオンラインサロンであった。

「モットー」という表現をすると、「モットーなんか無いですよ」よ返されてしまいそうだが。

あと、あくまでも「現場が全てである」という言葉に感銘をうけた。

何故なら、人はよく、「議論の為の議論」を展開してしまう。最終的にはただの「言葉遊び」となり、その議論は悲しい結末を迎える。

というのをよく目にするからこそ、

きっぱりと「現場が全て」という原さんの言葉にスッキリした自分がいた。

とにかく、壁も無ければ、上下関係もない。

横の繋がりを大切にし、自分達でコミュニティを運営していくこの、

【指導者交流サロン】

ご興味ある方は、一度覗いてみてください。そこには必ず『笑い』があり、そして、『学び』があるはずです。

最後まで読んで頂き有り難う御座いました。

気になる方はこちらをチェック↓
https://www.shidousyakoryusalon.com/


#指導者交流オンラインサロン