「これ」
「なに、くれるの?」
「うん。飲めない」
「えー、ひどい」
「サイダーだと思ったら無糖の炭酸水だった」
「あー。俺飲めるわ」
「金はいらん」
「飲みかけを俺が貰ってやるんだからむしろ金出して欲しいぐらいだけど」
「イヤだね! すでに120円ボられてんのにその上金なんか出せるかよ」
「まぁそうよな〜。じゃ、もらうわ」
「うん。え?」
「え?」
「今飲まないの?」
「え……うん。別に喉乾いてないし」
「せっかく貰ったんだから飲みなよ」
「強い意図を感じる。お前これあれだろ、実はサイダーだろ」
「違うよ炭酸水だよ」
「もう作意に塗れすぎて嘘が丸見えだよ」
「いいじゃん飲んでみなって」
「いや……もうだって結果見えてるもん、どちらにせよ飲めるし俺……」
「じゃあいいじゃん! 一口!」
「あぁもう、わかった、わかったから」
「……どう」
「炭酸水に見せかけてサイダー、に見せかけて透明コーラ」
「解説じゃなくてリアクションをみたいんだけど」
「それを求めるなら我慢を覚えろよ、すぐ飲ませようとしすぎ。はいこれ」
「え、なに」
「お前コーラ好きだろ、絶対返さないから120円渡しとく」
「意地が悪いのか義理が堅いのかわかんねぇな!」
「どちらも〜。もっかい買いに行けば? 飲みたいだろ結局」
「いいよ階段めんどくさいし」
「ま、そうよな〜」
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