「あっ、どぅおいっ」
「なにそれは」
「くしゃみの回避」
「辛くない? くしゃみ我慢」
「我慢じゃないんだよなぁ」
「どゆこと」
「我慢だったら『ン”ッン”ン”!』ってなるじゃん。押さえ込もうとしてんだから」
「わかった、これ話聞いてると面倒になってくるやつだ」
「回避は、芯をズラす。大音量ではないけれどあの気持ちいい瞬間だけはゲットする。そういうこと」
「わからん。回避したからといって『どぅおい』なんて声が出るのもよくわからない」
「お前、『へっくしゅん』だってくしゃみのない世界からすれば変な声なんだから今更『どぅおい』を疑問視するなよ」
「どこだよくしゃみのない世界。俺はそこに行きたい。花粉ないだろそこ」
「あー、頭いい」
「考えなしに言ってたのかよ。そこまで頭がいたらなかった俺の負けだよ」
「でもくしゃみがないと人生にハリ、生まれなくない?」
「くしゃみに人生の楽しみ見出したことないから……」
「もったいない」
「ほら、ちゃんと面倒になってきた」
「くしゃみの爽快感って他には換え難くないか?」
「爽快感はクーリッシュで十分じゃないか?」
「爽快感のカテゴリが違うあ、くしゃみ出るな」
「回避して、我慢して」
「えっ、ちょ、どっちぇっくしょん!!」
「くしゃみがある世界でも知らない類のくしゃみ出た。ウケる」
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