山沢損【卦の解説】
はじめに
今回は山沢損について解説します。
山沢損の解説
損とは、損減、損失のことでありますが、単なる損害ではなく、むしろ奉仕という言葉に近いです。自分の力を割いて、他人にあたえる、社会的に奉仕することであります。一文の得にもならぬことをと、周りから嘲笑されながらも、一念を貫き通す、これが損の道です。それを単なる損失と見るか、喜びを見出すかは、その人間の精神にかかわる問題です。大目的のために小欲を捨てます。損して得をとる、愛するもののために自己を犠牲にする、つまり目先の利益を捨てて、遠い未来を勝ち取ることが大切です。卦の形は、山のふもとの沢がおのれを低くしてこそ、山はより高くなります。自分、家庭、周囲と上手くやっていこうと思うと、どうしても己に克つということがなければなりません。その修業ができて初めて、人間は自由を得ることができます。自己を抑損、反省するという修養をしなければ、自由は得られません。
爻辞
初九: 仕事を中断して早く行く。災難はない。斟酌してへらす。
九ニ: 占問したことは利がある。
六三: 三人で行けば一人へり、一人で行けば友人を得る。
六四: その病気の苦痛をへらすには、早く処置せよ。そうすれば病気も治って災難も免れる。
六五: ある人から貝貨二十枚もする宝亀を頂戴する。その人に逆らうことはできない。大いに吉。
上九: 損らしも益やしもしなければ、災難を免れる。占問したことは吉。出かけて行くのに良い。家を失った家来を得る。
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