沢天夬【卦の解説】
はじめに
今回は沢天夬についての解説です。
沢天夬の解説
夬とは、決潰の決にあたる言葉で、切り開く、重大事を決行することです。益すればまたそこに失敗、災も生じます。せっかく到達して得た自由に伴う失敗、そこでまた一つの注意を与えているのが夬の卦です。一番上に陰爻があり、五つの陽爻を抑えつけています。独裁者が世論を無視して圧政を布いている形です。たとえ危険はともなっても、また非常手段に訴えても、この独裁者を排除(夬)しなければなりません。剛毅な精神(乾)でそれを行なってこそ、人々は悦び(兌)和らぐのです。それには不純な動機があってはなりません。私利私欲を去って正義を貫くこと、また自己の足場を固めてから行うこと、暴力は出来るだけ避けることが大切です。
爻辞
初九: 足の前の部分を傷つける。行っても勝てないというのが災難である。
九ニ: 人々がパニック状態になり、暮れてから敵兵の来襲があっても、心配するには及ばない。
九三: 頬骨を傷つける。凶事が起きる。君子がひとりで足早に歩いて行き、雨に遇ってずぶ濡れになる。腹立たしいことだが災難は免れる。
九四: しりの肉が痩せ落ち、まともに歩けない。羊を引いて行けば難儀が消える。人があれこれ耳に入れてくるが、それを信じない。
九五: 山羊が元気よく跳ねたり、途中で早く走ったりするが、災難を免れる。
上六: 叫んではいけない。叫べば、しまいに凶事が起きよう。
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