「霊感」という単語の意味について調べてみました

はじめまして、蜜月(みつき)と申します。

今回Twitterでは長すぎて投稿しきれないことをnoteにまとめてそれを投稿することにしました。
なんせnoteを使うのが初めてなので見にくいかもしれませんがお許し下さい。

まず最初に経緯です

ということで、八雲さんにお誘いいただきました。

知的好奇心を刺激され「霊感」がいつから今の意味合いになったかを調べました。
どういった切り口から調べたらいいかもわからず考えた結果、まずは辞書から!
と調べた成果を載せていこうと思います。

今回調べた物は著作権等の問題がわからないため、画像は載せません。
気になった方は各自見に行ってくださいね。


現在の「霊感」という言葉には

*goo辞書*

1 神仏が示す霊妙な感応。また、神仏が乗り移ったようになる人間の超自然的な感覚。霊的なものを感じとる心の働き。「失 (う) せ物を霊感で当てる」「霊感が現れる」「霊感商法」
2 突然ひらめく、すばらしい着想・考え。インスピレーション。「霊感が働く」

*三省堂 大辞林 第三版 - Weblio 辞書・百科事典*

① 霊的なものを感ずる不思議な感覚。インスピレーション。
② 神仏の不思議な感応。霊応。

というように2つの意味が書かれています。

しかし 1923年(大正12年)に出版された「現代国語辞書」
著者/松本重彦 編
出版者/一誠社
書誌ID/000000546616
コマ番号/600番

霊感、神仏の不思議な感応」としかありません。

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実際にご覧なりたい方は、国立国会図書館のHPから書籍IDの
「000000546616」と検索して見てみてください。
コマ番号600番目にあります。
これより後に出てくるものも同じように検索できます。
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1919年(大正8年)出版の「大日本国語辞典、第四巻に~ん」 
著者/上田万年, 松井簡治 著 
出版者/金港堂書籍 
書誌ID/000000570274
コマ番号/663番

によると「霊感、神仏の不思議な感応」「不思議なる感応」とあります。
そして源平盛衰記と張説詩に出てきている一文ものっています。

-------追記-------
その後出版されました
大日本国語辞典. 卷五
著者/上田万年, 松井簡治 共著
出版者/富山房
出版年月日/1940-1941
書誌ID/000000935253
コマ番号/458番
でも記述は同じです。
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源平盛衰記は平家物語を元にした物語のようなもののようで、江戸時代にできたようです。
1600年代~1800年代の間には日本に霊感という言葉はあったと見ていいのかな?と思います。

張説詩とは張説さんが書いたものですから、wikiで見たところ

張 説(ちょう えつ、667年(乾封2年) - 730年(開元18年))は、中国唐代の政治家・詩人である

とのことなので中国にはこの時代にもう「霊感」という単語が存在していたということなのでしょう。

我が家にある1973年出版の広辞苑第二版には
現在と同じinspirationの意味が書かれております。

そして1965年出版(我が家のは第7版で、初版は1963年)の
英米故事伝説辞典という本の中で
inspireの説明文に霊感という単語を発見しました。

ということは
1940~1964の間で霊感という単語にinspireの意味が混じったのでは
と現在推測されます。


そもそもinspireとは息を吹き込むことなので、感応の方が意味として近いかと思われます。
(八雲さんもご説明されていますのでご参照ください)

関連して感応と神通力に関しても調べてみました

1940年出版の大日本国語辞典. 卷一
著者/上田万年, 松井簡治 共著
出版者/富山房
出版年月日/1940-1941
書誌ID/000000935253
コマ番号/518番

によると感応は「かんおう」であって「かんのう」で引くと「かんおう」と同じとなります。
今と逆なんですよね。
これもいつ変わったのかきになりますねぇ。
戦後だと予測しますが。

で、話を戻して、感応の意味は

①心に感じ応うること。縁に触れて起こる心象。
②二物の互いに感じ合う事。
③神仏に通すること。感通。
④磁気及び~(省略しました)

と書かれています。
現在では

*goo辞書*

1 仏語。人に対する仏の働きかけと、それを受け止める人の心。また、信心が神仏に通じること。
2 外界からの刺激によって心が深く感じ動くこと。「真の芸術に接して感応した人々」
3 ⇒誘導 (ゆうどう) 2

*三省堂 大辞林 第三版 - Weblio 辞書・百科事典*

① 人々の信心に神仏がこたえること。 「天神の-を垂て/今昔 9」
② 事に触れて心が感じ動くこと。 「此神社にて侍と聞ば、-殊しきりに覚えらる/奥の細道」
③ 電気・磁気の誘導の古い言い方。

となっています。

神から吹き込まれた息を感じ取ったという意味で、感応の方がinspireに訳に相応しい気もしますね。

そして神通力に関してですが、神通とともに調べました。

*goo辞書*

じんずう‐りき〔ジンヅウ‐〕【神通力】 の解説
《「じんつうりき」とも》超人的な能力。通力 (つうりき) 。「神通力が失せる」
じん‐ずう〔‐ヅウ〕【神通】 の解説
《「じんつう」とも》どんなことも自由自在になし得る、計り知れない不思議な働き・力。

*三省堂 大辞林 第三版 - Weblio 辞書・百科事典*

じん ずうりき -づう- [3]【神通力】
〔「じんつうりき」とも〕
人間の思慮でははかれない、不思議な霊妙自在の力。
じん ずう -づう [0] 【神通】
〘仏〙 超人的能力。通力。通。 「 -もなき人々の命を捨て/栂尾明恵上人遺訓」 → 六神通(ろくじんずう)

1940年出版の大日本国語辞典. 卷二
著者/上田万年, 松井簡治 共著
出版者/富山房
出版年月日/1940-1941
書誌ID/000000935253
コマ番号/203番

「神通力」
神変自在にして、障碍なく物事を成しえる力。
神変不思議の力。
「神通」
神変自在にして、障碍なきこと。又、其の力。

とあります。

神変自在ってなんだ?!と思い「神変」を調べると
人智にて測り知るべからざる変化。極まりなき変化。
とありました。

つまり1940年時点で神通力という単語には
人智では測り知ることが不可能な変化を起こす力を、何の障害もなく成し遂げられる力」という意味だったんですね。
今の辞書だともうちょっと軽く、説明を省いた感じで
人智を超えた不思議な力」ですね。
必ずしも神仏の働きかけがある力というわけではないようですね。

さて、というわけで脱線もしまくりましたが
現代の霊感という言葉は
霊感、感応、神通力が全部ひっくるめて
ひとつの言葉になっている感じがしますね。

本来はもっと神聖な意味で、今の怖い感じや霊が見えるだとかそういう物ではなかったということですね。
これについては八雲さんが70年代のオカルトブームに変化したのであろうと推測されています。

引き続きいつ頃変化していったのかは調査していくつもりです。
繰り返しになりますが
1940~1964の間で霊感という単語にinspireの意味が混じった
と現在推測しています。
このあたりの辞書をまずは虱潰しに調べていきたいと思います。
また何か分かれば随時更新したいと思います。
もしよろしければサポートもお待ちしてます!

長文をお読みいただき誠にありがとうございました。
何かご存知の方がいらっしゃいましたら是非
情報提供をよろしくお願いいたします!

2021/4/7追記

八雲さんから教えていただきましたwikiと本のご紹介です。
心霊 
スピリチュアリティ 
日本のオカルト150年史


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