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【司法試験/予備試験】残り1か月の使い方

「学ぶって、楽しすぎる。」-弁護士の岩瀬雄飛です。

本noteでは学ぶことの面白さや学習のノウハウ等を発信するとともに、自分が学んだことの記録を発信しています。

今日のテーマは「試験まで残り1か月の使い方」。

2024年の司法試験は7月10日~14日(中1日)、予備試験の短答試験は7月14日に実施されるため、本note投稿日現在で約あと1か月に差し迫っている。司法試験・予備試験は年に1回しか実施されないこともあり、1回で合格したいものである。

そこで今回のnoteでは、残り1か月で何をするべきかについて私見を述べることにしたい。もちろん学生と社会人では可処分時間も異なるし、学習の進捗度によってもするべきことは異なる。そのため、これから述べることは一般論であることは留意されたい。


【予備試験】

①当然ではあるが短答に集中

予備試験は短答試験だけが7月14日にあり、論文試験の実施は9月7日~8日である。そのため残りの1か月は短答試験の勉強に集中することになる。

短答後、論文までの間は約1か月半しかないので、理想を言えば論文の学習も平行して行いたいところではあるが、おそらく短答が気になって勉強に身が入らないだろう。

②苦手を克服することが最優先

まず、今まで時間が割けなかった科目(おそらく行政法等)や苦手な科目に時間を充てるべきである。あと5点アップを目指すとき、10点から15点にする方が、25点から30点にするよりも簡単だからである。

③暗記科目もコスパがよい

次に、暗記科目もおすすめである。憲法のうち統治、民法のうち家族法、会社法、民事訴訟法が暗記科目に分類されるといえるだろう。暗記科目は短期的な勉強であっても得点につながる。ひとつでも多くの事項を記憶し、出題されたら正解できるようにしておくことで点数の底上げにつながる。

④得意科目は絞って学習する

得意科目だとしても1か月全く触れていないと勘が鈍ってしまう。そのため、得意科目だとしても1日(社会人であれば数日)に数問は解き、感覚を維持しておきたい。ずっと正解し、記憶に定着している問題を繰り返し解く必要はないため、過去に間違った問題を中心に解くと効率がよいだろう。

⑤復習ノートを作っていた場合は、直前はそれを見返すだけでよい

以前のnoteで紹介したが、司法試験・予備試験に限らず、自分が最も学習で効果的だと思うのは復習ノートである。復習ノートには自分の学習の軌跡である。学習の軌跡から出題されたにもかかわらず失点してしまうことはまさに点数の取りこぼしである。知らないための失点はやむをえない一方で、知っていることの失点は後悔するであろう。

⑥一般教養科目は捨てる

一般教養科目は捨てることでよい。短答試験の最低合格点は法律科目で十分点数がとれれば通過できるラインになっているし、出題範囲が広すぎて勉強が難しいからである。

【司法試験】

①短答試験と論文試験の学習の割合

直前期は多くの受験生が短答試験の学習に時間を割きがちである。足切りも設定されており、短期間で点数を伸ばす場合は論文よりも短答の方が効率がいいため、気持ちが分からないわけではない。

しかし、司法試験は論文と短答で傾斜がつきすぎている。そのため、いくら短答試験の勉強をしたとしても全体でみると短答の割合は雀の涙である。

そこで短答試験の学習は寝起き直後のウォーミングアップの時間(20~30分)と寝る前のラストスパート(20~30分)で十分である(学生で勉強に時間を充てられる場合はこの2倍)。例えば、民法を毎朝、憲法と刑法を毎夜交互に行うというスケジュールになる。

②短答学習するならやはり統治と家族法

予備試験と共通するが、統治や家族法等の暗記科目は直前期の学習としてはコストパフォーマンスがよいのでお勧めする。

③新しいものに手を付けず、覚えてきたことを確かめる

復習ノートを作成していればそれを見返すことが有益である。なお、ただ読むだけではなく、ノートを閉じて暗唱し、正しく覚えられていることを復習ノートを見て確認するというプロセスになる。

直前期なので不安になり、「今年は商法で手形が出るかもしれないからやっぱり手形も見ておこう」等と思い立って新しいことを始めるのはNGである。今まで勉強してきていないものは、過去の自分が捨てると割り切ったものであるから、過去の冷静だった自分を信じてあげてほしい。同様の理由で新しい論証パターンを記憶したり、新しい問題集を買ったりする必要もない。

④ただし、あと1回は初見の過去問を解いておきたい

新しいものには手を付けないといったが、過去問については各科目あと1回はしておきたい(できれば当日の時間割通りに。社会人であれば土:選択科目・公法系、日:民事系、月:刑法、火:刑事訴訟法とすることが考えられる。)。

ここでの目的は新しいことを覚えることではなく、試験の感覚を研ぎ澄ますことである。すなわち、時間配分の管理能力や論文を解くスタミナは過去問を解くことでしか養うことができないため、過去問を解くのである。そのため、たとえ出来が悪くても落ち込む必要はない。むしろ、この年に受験しなくてよかったと安堵するべきである。

まだ解いたことがない過去問が残っていればそれがよいだろう。平成24年以降の新司法試験であれば司法試験の質はさほど変わらない(それ以前は難しすぎたり傾向が異なったりするため過度に不安を煽られてしまう危険性がある)。

終わりに

私自身、予備試験の1か月前も司法試験の1か月前も緊張したことを鮮明に覚えている。その際に効果的な学習ができていたかと言われると自信がない。そのため、自分のことを棚に上げたアドバイスであることは承知している。

その上でさらにアドバイスするとすれば、古くから言われていることではあるが、「あと1か月しかない」ではなく「まだ1か月もある」のマインドを持つべきである。残りの1か月で合格の可能性を高めるためにできることを引き続き取り組んでほしい。

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自分が受験した平成28年年司法試験の全科目の再現答案を公開しています。
本note投稿日現在、憲法と刑事訴訟法は解説付きです(他の科目についても今後追加予定)。
論述の流れや事実評価の学習、合格答案のレベルの確認にお役立ていただければと思います。

・民法以外→415円 ※すべてA評価
(タリーズ水出しアイスコーヒー代にさせていただきます。)
・民法→250円  ※民法は評価がBであるため他科目よりも廉価です
(ドトールアイスコーヒー代にさせていただきます。)

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