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「ひだまりが聴こえる」最終回を観終えて

改めて最終話まで観た感想を総括として書きます。
今回は良かった点だけでなく、個人的に疑問が残った部分について書きますが、作品に、すごく魅力を感じるからこその意見です。素敵な作品だという気持ちに変わりはありません。


ちなみに9話までの時点での感想、およびBLについてアレコレ書いた記事はこちらです。よかったら読んでね😌
割とこっちのほうが、ひだキコを褒め散らかしてます☟(表示されなかったらごめん🌻)



さて、最終話まで観た感想としては、やはり他のBLドラマとはまた違った雰囲気を持った作品で魅力に溢れていたという印象を持ちました。


人物の撮り方、自然の撮り方、とても好きです。キャラクターだけを先行させず、背景描写に力を入れるところは、言うなればジブリ的とも言えると思う。
また、2人の会話をアドリブで挟むなど、空気感や間を重視しているところも大好きです。

最終話の浴衣回も良かったですねぇ…🥺
なんか懐かしい気持ちになりました🎐

小林さんと中沢さんをはじめ、キャスト陣の演技にも、あらためて感心させられた。
よくこんなキャストを集めたよね🌻
知名度とかじゃなく、本当に役に合う人を選んだんだろうな、というのが良くわかります。


しかし…
僕はこの作品、前半までの数話のほうが楽しく感動的に観れていました。
泣きっぱなしなくらいハマってた😭

後半になるにつれてモヤモヤも増えたのが正直な気持ち。
それはドラマ後半になっても、同性同士の恋愛のつらさの部分がほとんど描かれなかったことが理由。これに尽きる。
僕はゲイの当事者でもあるので、やはりその部分だけが全体としてモヤモヤしたところかな。


航平が太一に恋をして、つらく思っている理由が「俺は難聴だし、太一は友達だし」だけになってしまっていて、肝心の「同性の自分を太一が好きになってくれるわけがない」という不安な気持ちが最終回まで、ほぼ描かれなかった。

太一のほうも、相手が同性だということが全く念頭に置かれてなくて「恋なのか?そうじゃないのか?」の気持ちだけに徹していた。

最終回までには、その部分が見える形で描かれるだろうと思っていたので正直残念な部分だ。

内面の感情としては描かれているのかもしれない。ひだキコは役者さんの細かい表情にまで気を配った作品だと感じていたし。
言葉にしないことが一つの表現となっている作品であることも理解しているつもりだ。
ただ、やはり少しでもセリフや心の声で、視聴者に分かる形で、それを表してほしかった。

ひだキコの世界が、太一と航平が男女でも成立してしまう世界になってしまってて、2人の周りの人の反応も異性愛と変わらないのも気になった。

たとえばマヤは、航平が太一を好きだと知っても「別の女性が好きだったんだ…」という反応と、あまり変わらなかった。
太一のじいちゃんや航平のお母さんが登場するけど、2人が同性で恋愛をすることへの反応までは描かれなかったし、ヤス達にしてもそう。同性愛が有耶無耶になっている。

航平のお母さんは、航平が同性に恋をしていると気づいているのだろうか?
だとすれば、どう思っているのだろうか。

太一のじいちゃんは、太一が今後、同性と恋人同士になったとして、それを喜ぶ人だろうか。
それとも、冷たく非難する人だろうか。

もし後者だったならと思うと不安だ。じいちゃんを「言葉の深い人、優しい人」などとは言っていられなくなる。とても怖さを含んだキャラクターにもなりうるのが、じいちゃんなのだ。

特にあの年代の人で、全く同性の恋愛に理解のない人は多い。他のことに関しては人間的にまともなことを言う人が実は差別心を持っていることは実際あるからね。

同性愛者の当事者の自分からすると、じいちゃんに太一や航平が本音を伝えるまでは、本当にじいちゃんが良い人かはわからないから不安なのだ。だから、じいちゃんの「さみしさで選択するな」という名ゼリフもなかなか頭に入ってこなかった。(じいちゃん、ごめんな)

家族や友達にも、同性愛をわかってくれる人や、わかってくれない人や、微妙な反応を示す人、そもそも言うこともできないまま過ごす関係や、差別する人達、色々な人がいるのがリアルな世界だ。その人間関係の中で、人の内面が見えず不安になりながら同性に恋愛のするのだ。

太一と航平の周りの人達には、その部分がない。太一と航平はまだ作品中では友達同士だし、友達として周りが認識していることもわかる。でも、そうだとしてももう少しその「片鱗」を描くことはできたと思う。


難聴については「物語にするな」というメッセージを含んだ作品なのに、同性愛についてはアヤフヤにして、それこそ「物語」にしてしまっていると感じた部分が多かった。

リアルな同性愛者は差別に苦しんだりしているのに、BL作品では、それが無いことにされることは良くあることだ。
ひだまりが聴こえるはそうではない作品だと感じていたけど最終回まで観ると、うーん…😕💦
素晴らしく良くできた作品だし、ある面ではリアリティもある作品なのだが、映像的にリアリティがあるのに内容的に少しリアリティが薄いことには疑問を覚えた。

いくつかのシーンやセリフを足すだけでも、この作品が今の「神作品」から、「超神作品」になったのではないか、と個人的には思う。
ほんと、いい作品なのは間違いない🎐

ひだキコのキャラクター達は、皆いい人達だから、きっと同性同士の恋に偏見を持たない人達なのだろう。(そう信じたい。)
で、あるならば航平と太一の関係を異性愛の置き換えのように描くのではなく、同性だと認識した上で周りのキャラクター達がそれを何も変わらず受け入れるような描写にしてほしかった。そうしたら今より、もっともっと他のキャラクターのことを好きになれたかもしれない。

僕も、周りのキャラクター達に太一と航平の恋を否定なんてされたくない。それは僕自身が否定されたかように苦しいことだから。
だけど、異性愛の置き換え的にではなく、本当の意味で同性の2人を応援する周りのキャラクター達を見てみたかった。

創作物において、どこをどうファンタジーにするのか、消してはいけないリアリティはどの部分なのか、ひだまりが聴こえるだけではなく他のBL作品にも考えてほしいところだ。

原作がありセリフがあるので、それ以外の要素をドラマに含めないことも重々わかる。制約もあるだろう。作品をここまでのクオリティで形にするだけでも大変だっただろうし、僕はドラマチームにとても感謝している。
この作品をドラマにしたいと思ったドラマチームの気持ちもすごくわかるし魅力の詰まった作品だ。

だけど、意見は書き記しておきたいし、また今後の作品で新たな展開を見せてほしいと思ってる。

主演2人はもちろんのこと、脇役も全員が魅力的で、この人達を推したい!と思わせてくれるような人ばかりだった。演技力、雰囲気も含め、他に代わりの効かないキャスト陣に拍手を贈りたい。
犀さん役の池田さんの全力笑顔にやられた…😍w

また映像、音楽、SNSなどで作品を輝かせてくれたスタッフ陣にも感謝したい。

色々と感想を書いたけれど、この作品に出会えてよかったし、色々考えるきっかけにもなりました。ありがとうございました!🌻

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